正常位は童貞が許可した体位「ゆげ塾の構造がわかる世界史」 [歴史漫画]
長澤まさみに対するセクハラシーンがあるなどと文句を言っている人がいるらしい。
どれぐらいの温度で、何人ぐらいいるのか知らんけど。
なんともつまらん感性だなあと思う。
スカート姿の女優をローアングルから撮っているシーンがあるのだが、
下着とか絶対見せるわけないって分かりきってるし。
カメラの角度をいじりまくっても絶対見れないTVゲームを見てるような感覚だったよ、あれ。
お尻叩くシーンだって全然セクシーじゃないし。
まあ、なんかちょっと作り手の顔が浮かぶ、滑ってるシーンだなとは思ったけど。
映画というのはある程度、官能的であるべきものだろうと思う。
巨大フジ隊員で性に目覚めた人もいるというし、
それに比べりゃスカート姿の長澤まさみなんて若干レベルを落とした表現だよ。
こっち関係、最近なんとも過敏な世の中である。
思い出すのは「ゆげ塾の構造がわかる世界史」だ。
その漫画によると、
正常位というのは英語で
「Missionary position(宣教師が指導する体位)」なんだそう。
ローマ=カトリック教会はセックスのやり方までルールを作っており、
正常位以外の体位はダメ。
子作り以外の目的ではダメ。
昼間にしてはダメ。
生理中、妊娠中、授乳中はダメ。
日水金土曜日はダメ。
裸でしてはダメ。
これらは刑法上の罪であるGuiltとは別の宗教上の罪、Sinと呼ばれているらしい。
ラーメン二郎のギルティは刑法上の罪だったんですな!
(画像は「エリア88」10巻)
女性とお風呂に入るのもイッツァーシンなんだそうです。
江戸時代に日本に来た外国人が混浴に驚いたりする記録が残っていますが、とんでもないことですな。
(画像は「おかしな猫がご案内ニャンと明治時代はこうだった」)
ゆげ塾の漫画は言います。
>このようなルールブックを作ったのはローマ教会。そして、彼らはボーサン。妻帯を禁じられた清い身、そう…童貞だったのです。贖罪規定署に無理が多いのは、中学2年生の妄想で作ったルールブックだったからでした。
さらに、こんな童貞ルールを中世ヨーロッパが受け入れた理由として、
中世ヨーロッパがとても貧しかったからだと説明しています。
食糧不足から参事制限をしないといけない。
貧しさに耐えるために神への強い信仰を必要としたのだと。
最近の日本における過剰なエロ規制キャンペーンをしたがる人々。
彼、彼女らがどこまで受け入れられるのかよく分かりませんが、受け入れられるかどうかは日本が貧しくなっていっているリトマス試験紙なのかもしれないなあと思ったりします。
さてこの「マンガゆげ塾の構造がわかる世界史」という作品。
国を擬人化してなんとなく歴史が学べる今時の作品で、
Kindle Unlimitedでも読めるので入会されてる方はすぐ読まれたし。
自分が最初に読んだのはたぶん2年前ぐらい。
大変面白いと思うのだけど、続刊があまり出てないようでさみしい。
ちょっと作画につたないとこがあるのが弱点かな。
新選組知識をアップデートする?相川司「新選組隊士録」 [歴史漫画]
服部武雄、阿部十郎、加納鷲尾、前野五郎、藤堂平助が登場。
藤堂平助以外の4名は知らなかったので、
手持ちの新選組名鑑、「新選組隊士録」を引っ張り出して調べる。
(文字の本である。念のため)
3年前に購入したものの、去年の今頃に安藤早太郎という隊士について調べるために読んだぐらいでほっぽり出してあった本である。
2011年初版、著者は相川司。
520名の隊士を入隊した年代に分けて紹介している。
今回読んでみて初めて気がついたのだが、この本、ベタな豆知識カタログではなく、けっこう攻めた尖った本というふうに印象が変わって面白かったので紹介したい。
まず軽いジャブ。
この本は新見錦を「しんみにしき」としている。
「にいみにしき」と読むのが一般的だ。
山南敬助は「さんなんけいすけ」表記だ。
こちらも「やまなみ」で知られている。
誤植でも間違えてるわけでもなく、何かしら著者に根拠があってその表記にしている。
一応、索引には「にいみにしき」も用意してくれている。親切。
河合耆三郎の死んだタイミングや、
谷三十郎の性格についても、広く知られる通説に異議を唱えている。
早い話、「新選組隊士録」は通説に異議唱えまくり本なのだ。
油小路事件に関しては特に熱心だ。
通説は
・表には出さないが、ピリつく関係の新選組と御陵衛士!
・スパイ斎藤一が暴いた近藤勇暗殺計画!
・新選組の罠と分かっても油小路に飛び込む御陵衛士!
と、なっているのだが、「新選組隊士録」は以下のように否定する。
1・新選組と御陵衛士は仲が良かった!
2・斎藤一は伊東の金50両をチョロまかし逃亡していた!
3・新選組の罠と気づかず油小路にお出かけした御陵衛士!
その根拠になるのは篠原泰之進本人、あるいは関係者が残した資料を元に書かれた新選組始末記。
油小路事件の際、原本から始末記に採用されなかった御陵衛士・鈴木三樹三郎のセリフがあり、
それを意訳すれば「※新選組が見張っているのだから安全だろう」になるという。
(※=「新撰組より番するに於いては、暗殺形に顕れ図ず」/秦林親日記)
通説では、新選組に襲われることを知りつつ、御陵衛士は油小路に向かったことになっている。
しかし、実際には「新選組がいるのだから安全だ」と言ったニュアンスの会話がなされているという。
(画像は黒鉄ヒロシ「新選組」)
そしてとにかく急いで駆けつけたかったのか、面倒くさかったのか、ビビってると思われたくないと見栄を張ったのか、服部武雄の提案を無視し、油小路にたどり着いた一行はそこで初めて新選組の裏切りを知った。皮肉にも用心を怠らず武装した服部武雄と、新選組幹部が逃がしたかった藤堂平助と他1名が討ち取られ、篠原ら4名は命からがら逃げ延びた。しかし醜態である。
なので生き延びた篠原は、のちに話を盛った。
(画像は森秀樹「新選組血風録」3巻 ちなみにこの漫画の服部武雄は二刀流ではない)
「俺は知っていてわざと無防備のまま死地に飛び込んだんだ!」と。
…と、いうのが書籍「新選組隊士録」が推測する、油小路事件の真実である。
ちなみにこのすぐ直後に篠原らが起こした近藤勇暗殺未遂事件。
篠原は自分の功績を盛って周囲に吹聴したとして御陵衛士の仲間だった阿部十郎に絶交され、悲しむ書簡を仲間に送っているそうなので、篠原嘘つき説には真実味がある。
さらに本によると阿部十郎は斎藤一の横領も証言している。
御陵衛士に入った斎藤一は女に入れ上げ、伊東甲子太郎の金・五十両を盗んだため、御陵衛士に行き場がなくなり新選組に戻ったのだと。
(「るろうに剣心北海道編」7巻にて再会する阿部十郎と斎藤一。るろ剣では阿部十郎も油小路にいたという脚色がされている)
そうなると斎藤一の入手した近藤暗殺計画は、新選組に戻るための方便とも取れる。前からスパイ斎藤一の御陵衛士離脱のタイミングは変だと思っていた。道理で考えれば、斎藤の抜けるタイミングは伊東が死んだ直後か、それ以降でなければ相手を警戒させてしまう。暗殺計画が事実であれば、伊東甲子太郎が一人で近藤勇に会いに行くこともなかったろう。
この話に関しては、斎藤は怪しまれず離脱できる理由を作るために金を盗んだのだとする解釈もあるようだ。鉄の掟のある新選組の幹部だった男が組織の金を盗むかなと言う疑問もあるので、そうなると策士であるといえる。ただ、斎藤ほどの男が女のために金を盗むなどという汚名を甘んじて受けることができるのかとも思う。ちなみに壬生義士伝では斎藤一がスパイ行為に協力した愛人に金を渡すシーンがある。
「新選組隊士録」は2011年初版の方だが、油小路事件で検索してみると書かれてある説はまだ一般的には新説といえるように思う。私のような半可通が引用するのは火傷が伴う本なのかもしれない。他から出版されている隊士録と読み比べてみても面白いと思った。
新選組と御陵衛士の仲が良好だったとしてもどこかのタイミングで決裂したわけで、その辺が興味深い。
伊東甲子太郎は坂本龍馬暗殺の三日前に中岡慎太郎を通じて、新選組が狙ってるから気をつけろと龍馬に忠告を与えたらしい。
三日後、坂本龍馬暗殺の現場に残された犯人の遺留品を見て新選組のものであると証言している。
さらにその三日後、新選組によって伊東甲子太郎は暗殺され、死骸は油小路にさらされた。
龍馬は幕府にとって都合の良い人物だから殺さないようにという通達が出ており、近藤勇もそれをよく理解していたという。伊東甲子太郎の行動は執拗に新選組を陥れようとしているようで、近藤らの逆鱗に触れたと考えるのが自然のように思う。
が、それだと伊東が近藤宅に一人で訪れるのもあまりにも間抜けだ。遺留品を見て新選組の持ち物だと証言したのは阿部十郎という説もあるので、それを聞いて近藤らが過剰反応し、悪気のない伊東が被害に遭ったということなのかもしれない。
考えるとキリがないのでこの辺で。
今回、読み返してみると「壬生義士伝」はよく出来てるなと感心することが多かった。
何かしら細かい史実を反映してる形跡がある。
「壬生義士伝」では坂本龍馬暗殺は伊東甲子太郎の仕業で、斎藤一が実行犯ということになっている。これもよく出来ている。ただ、そうなると中岡慎太郎という生き証人が「犯人は斎藤」と言い残したはずで矛盾が残る。その辺どうなのか、いつか小説版も読んでみたい。
新選組最強は服部武雄?るろうに剣心が四半世紀ぶりにアニメ化 [歴史漫画]
ソースは北海道編の新刊、7巻の帯。
人誅編をやるのかな?
あと小池徹平主演で舞台化もされるそうである。
さて新刊、7巻を読んでのお話を。
今回は史実にもある油小路事件が大きく絡んだ話が主である。
初登場の新選組隊士が5人も出てきて面白かった。
やっぱり「るろ剣」は史実と絡めた展開が良いですよ、うん。
今回初登場の隊士は、
服部武雄、阿部十郎、加納鷲雄、前野五郎、藤堂平助。の5人。
藤堂平助は油小路事件の回想に登場。美少年タイプに描かれている。こう来たかと思った。
沖田総司や瀬田宗次郎とあまり変わらないんじゃないか?いいのかこれで。
藤堂平助といえば油小路事件の主役と言っていい。
御陵衛士のメンバーは新選組にとって裏切り者であり、皆殺しにしたい集団ではあるが、唯一の例外が藤堂平助であった。1965年のTVドラマ「新選組血風録」を見返すと、いかにして藤堂平助を逃そうとするかのドラマになっているし、2004年の大河ドラマ「新選組!」も同様だったと思う。
しかしそんな藤堂を押し退け、
るろうに剣心での油小路の主役に躍り出たのが服部武雄(はっとりたけお)である。
ウルヴァリンの図体をデカくしたようなシルエットなんだけど、瞳は大きくキラキラしていてしている。口元はマスクでよく分からないが、けっこう歳いってるっぽい。その服部武雄がなんと斎藤一と永倉新八の二人を相手に互角の戦いをしてしまうのである。
もちろん平隊士などは無双されてしまう。この服部をやっつけるには3人目の原田左之助を加えなければならなかった。めちゃくちゃ高待遇である。これじゃ比古清十郎ぐらい強いんじゃなかろうか。
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実際、服部は漫画でも描かれている通り新選組剣術師範で二刀流の達人だったそうだ。
「壬生義士伝」では主人公の吉村寛一郎と戦って死んだことになっている。
新選組は鎖帷子(くさりかたびら)という防具をつけて戦うのが常なのだが、襲撃された御陵衛士の中でそれに倣っていたのは服部武雄のみ。鎖帷子vs鎖帷子ということになると、壬生義士伝の吉村曰く相手を突き殺すしかないという。だが突き殺してしまうと抜く際に隙が生まれるので、大勢の新選組隊士を相手にする状況の服部にはそれが使えず、またその不利を理解している吉村が一突きで服部を討ち取るという話になっていた。ちなみに通説ではトドメを刺したのは「るろうに剣心」と同様、原田左之助のようである。
るろ剣初登場の新選組隊士五人、服部武雄、阿部十郎、加納鷲雄、前野五郎、藤堂平助のうち、藤堂以外は知らなかったので、手持ちの新選組資料、「新選組隊士録」を読んで調べてみることにする。
この本は3年前に買って以来、去年の今頃にアサギロに登場する安藤早太郎について調べたぐらいでろくに読んでなかった本なのだが、今回読んでみてとても尖った本だと気づいたら面白かった。
次回はそのことについて書こうと思う。
続く。
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俺の「さかろ」フォルダが火を吹くぜ!鎌倉殿の13人 [歴史漫画]
#鎌倉殿の13人
— 敷島_金鵄@艦これ提督 (@551_confucius) May 8, 2022
船のお尻(船尾)にオールこと櫓をつける
ので逆櫓 pic.twitter.com/mW7vZOefg4
大阪から四国へ渡ろうとした源氏軍において、
船の両側に櫓をつけたら便利なのではと進言した梶原景時(かじわらのかげとき)を、
義経が一蹴するというエピソード。
史実ではないのかもしれないが、大阪に碑が建てられているらしい。
逆櫓の松、一応モニュメント残ってるよ。中之島の旧阪大病院のそばだよ。淀川じゃなくて大川の河口出発らしい。めっちゃ陸地のど真ん中にあった。阪神電車の大物駅もそうだけど、大阪湾の海岸線は平家物語の時代よりだいぶ前進している。 pic.twitter.com/XJ3xT4PIC1
— MamBO@望みを捨てぬものだけに道は開ける (@MamBO666_888) May 8, 2022
この先、義経と頼朝が決裂する原因を作ったとされるチクリ魔、
学級委員長・梶原景時のキャラクターをわかりやすくする勧善懲悪話として色んな漫画に採用されている。
大倉元則「人物日本史 源義経」
田中正雄「人物日本史 源義経」
横山光輝「平家物語」下巻
竹宮惠子「吾妻鏡」(中巻)
北崎拓「ますらお 秘本義経記 波弦、屋島」4巻では少しアレンジされている。
思いつきを義経に一蹴されて逆恨みした景時は、義経の失態をあることないこと頼朝に言いつけ、美しい兄弟愛に亀裂が。そして平家滅亡の功労者である義経は没落していく。。。
梶原景時はこんな分かりやすい典型的な憎まれ役にされているにも関わらず、自分にとってはこの年になるまで全く記憶に残っていないキャラクターだった。
考えてみれば梶原景時はボスにヘイトが向かないようにするNo.2という重要な役割である。
諸葛亮孔明、土方歳三、佐渡島方治と同格だ。
にも関わらず、ほとんどの作品で景時の扱いは軽すぎる。
梶原景時とは頼朝の全権委任大使であり、頼朝の人格の一部と言ってもいい。
竹宮惠子「吾妻鏡」はその辺をしっかり描いていて面白いので超オススメ。
考えてみれば、
景時は頼朝の命の恩人として温かく源氏軍に迎えられると思いきや、
最初に与えられた仕事は当時の源氏軍最強の上総介広常の暗殺。
頼朝のこのやり方はヤクザの手口そのものである。えげつない。
上総介(かずさのすけ)といえば、鎌倉殿の13人は通説である「頼朝の内に秘めた上総介への不審」を全く描かず、サイレントに粛清が進行していたということで意外性を演出した。この三谷幸喜の脚本は見事だった。通説というものがあるから歴史物は意外性を演出するのが難しいのだ。(上総介みたいなバリバリの武人が重量のある刀をスられて気づかないかなという疑問はあるのだが)
兵を集めるのに苦労するエピソードが多いこの時代において、
上総介は二万人とも言われる圧倒的な兵力を動員できた男。
妖狐をやっつけたという坂東武者アベンジャーズの一人でもある。
そして部下でありながら頼朝を前にして挨拶しない男だった。
相当な荒くれものだったと想像できる。
そんな男を殺してこいと命令されたらあなたはどんな気持ちになるか。
現代で言えば、ヴァンダレイシウバと麻雀をしてる最中に張り手をかましてこいと言われるに等しい。
それをやり遂げてしまったのが梶原景時という男なのだ。
ただの「がっきゅういいんちょう」ではない。
鎌倉殿の13人でこんな役を与えられた中村獅童、美味しいという他ない。
それを理解してから読み返すと変だなと思うのは北崎拓の「ますらお」である。
義経が景時と碁を打つシーンがあるのだが、義経は退屈そうにしている。
この時代の人間だったら、梶原景時にボードゲームを誘われようものなら自分も殺されるんじゃないかと震え上がったはずである。
一応「刺してみろ」と挑発するシーンがあるので「上総介のように」という枕詞が含まれているのかと解釈できなくもないが、ちょっと無理かもしれない。
ますらおの景時のキャラクター形成は上総介暗殺の経歴が全く反映されておらず、文字通り退屈な「がっきゅういいんちょう」になってしまっている。史実が反映されていれば、「ますらお」の義経であればなおさら景時相手の碁に退屈するはずがないのだ。
「ますらお」は少年漫画として始まっているので那須与一のエピソードを一生懸命膨らまそうとしている。景時を膨らまして綺麗に着地するのは相当難易度が高かったので避けたのかもしれない。「ますらお」では義経と頼朝の決裂の直接の原因は頼朝の性格の異常性として描かれるっぽい。現在連載中断中なのでこれが描かれるのがいつになるのか分からないのがまた厄介ではあるが、挽回に期待したい。
…で、
この文章を書きながら思ったが、よくよく考えると鎌倉殿の13人もそれと同じで周囲の人間が暗殺をやり遂げた景時を恐れる描写があまりないのは嘘っぽいかもしれない。
経験ないのに自信もなかったらの元ネタは?鎌倉殿の13人第10話 [歴史漫画]
上総介が交渉相手の軽口に激怒して暴走。
この暴走はのちの上総介粛清につながってくるのだろうか。
暴走に至った言葉が相手の「老けたな」というメタギャグだったのがすごい。
戦いに持ち込ませない為に交渉に行ったのに佐竹殿から
— akir (@arien0727) March 13, 2022
「お前老けたな」
と、おっさん同士の軽口挨拶でカチンと来て、いきなり斬ってしまった上総介殿のまさかの展開
(大人とは)
小四郎もマンガみたいな顔になるよ
#鎌倉殿の13人 pic.twitter.com/a0RtiHr4KE
佐藤浩市が最近一気に老けちゃったのは大病を患ったせいらしい。
しかし問題児っぷりで存在感を示すのは上総介よりも圧倒的に義経。
初陣で歴戦の坂東武者を差し置いて大言壮語を吐く義経に周囲の冷ややかな声。
「戦の経験もないのになんでそんなに自信あるの?」との問いに
「経験もないのに自信もなかったら何も出来ないじゃないですか!」
これは脚本の三谷幸喜の舞台、「You are the top〜今宵の君〜」での戸田恵子のセリフ。
舞台でこの言葉を引き出すのは13人でじさまこと伊東祐親を演じる浅野和之だった。
「You are the top〜今宵の君〜」はDVDで30回ぐらい見たかもしれない。井上陽水の作曲、三谷幸喜作詞のメインテーマもすごくおしゃれな名曲。DVDとは別に音源をお買い求めすることをお勧めします。
「あなたの作戦に私たちの郎党を危険に晒せと?」と、義経にツッコミを入れる中川大志演じる畠山重忠。その姿はまるで「新選組!」で山南敬助を演じた堺雅人である。次期三谷大河の主役候補だろうか?この先、畠山重忠は共闘するうちに義経に傾倒していく事になる。逆落としで有名な一ノ谷の戦いでは、畠山は馬を担いで崖を降りたなんて話もある。
ついに大庭景親死す。
國村隼がいい感じに貫禄があって良かった。
史実ではこの大庭景親には兄がいて、旗揚げ以前から頼朝を支える古参中の古参だったりする。
名前は大庭景能(おおばかげよし 景義とも表記)。
後に奥州藤原氏を征伐するときに頼朝からアドバイスを求められるのが最大の見せ場。
でも13人には出てこないみたいね。「草燃える」には出てきたみたいだけど。
(竹宮惠子「吾妻鏡」)
(あおむら純「少年少女日本の歴史」7巻)
(「少年少女人物日本の歴史10源頼朝」では主人公的な扱いになっている。作画は小井戸繁だと思われるが、あおむら純のデザインに寄せている。)
あまり記憶のない安彦良和の「安東ーANTONー」(Amazon読み放題対象作品)を読み返してみたら、ラスボスに北条義時。お面かぶって出てくるのでびっくりした。桜玉吉みたい。
最終巻だけプレミアがついているので2巻までしか持っていなかったのだが、Amazon読み放題で3巻読んだらもうどうでもよくなりました。
ところでこないだ殺生石の封印が解かれた話が話題になった。
藤田和日郎や椎名高志の漫画に出てきてたような気がするが、
娘の姿に化けて宮中に忍び込んだ妖狐が、退治されて殺人ガスを発する石になったって伝説ね。
九尾の狐の伝説が残る、殺生石にひとりでやってきました。
— Lillian (@Lily0727K) March 5, 2022
縄でぐるっと巻かれた真ん中の大きな岩がそれ…
のはずなのですが、なんと岩は真っ二つに割れて、縄も外れていました。
漫画だったらまさに封印が解かれて九尾の狐に取り憑かれるパターンで、見てはいけないものを見てしまった気がします。 pic.twitter.com/wwkb0lGOM9
藤子F不二雄「TPぼん」にも出てくるエピソードだけれども、妖狐を成敗した武士が誰であるかは特に記述がなかった。
その妖狐を退治したのが陰陽師の安倍晴明と、
上総介と千葉常胤と、山本耕史演じる三浦義村のおじいちゃん三浦義明だったらしい。
義時や義村のおじいちゃん世代はあの地域のアベンジャーズだったのね。
最後に上総介演じる佐藤浩市のチーフマネージャーはゲームセンターCXの二代目AD、笹野大司なんだってさ!びっくり。
ゲームセンターCX、二代目AD笹野大司は佐藤浩市のチーフマネージャー?Σ(°Д°; 2011年の話だけど。
— 本棚持ち歩き隊 (@hondanamotiaru) March 14, 2022
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鎌倉殿の13人完全コミカライズ?竹宮惠子「吾妻鏡」 [歴史漫画]
それ以上によく考えることは、謀反の疑いをかけられたらどう回避するか?ということ。
みなさんは鎌倉殿の13人を楽しんでいますか?
僕は楽しんでいます。
2004年ごろに書かれた竹宮惠子の「吾妻鏡」(文庫版)上中下巻を購入。
今回の大河ドラマの原作とも言える、北条氏が残した歴史書のコミカライズ。
これの読破と「草燃える」総集編を視聴したことによって、今後の13人の大筋が掴めました。
これをネタバレと嫌う向きもあるだろうけども、
過去の定石を理解した上で、脚本の三谷幸喜がどう脚色するか?
そこが見所だと思うんですよね。
さて、時代劇でよくあるシチュエーション。その気はないのに謀反を疑われたとき、どうやって無実を証明して生き残るかという妄想は男のロマン。韓信は、義経は、どうやったら戦後も生き延びることができたのか。
吾妻鏡を読むとそれは回避不可能なんだなって思い知りました。魔女裁判みたいなもんだ。疑いかけられたら即終了。頼朝や北条氏の功臣粛清っぷりは漢の劉邦に匹敵。陰険に見えた徳川家康がノーベル平和賞を受賞しそうに思えてくるほどだ。(実際、吾妻鏡は徳川家の愛読書だったらしい。反面教師でもあったのだろう)
特に吾妻鏡では公明正大で腕っぷしも強い、
畠山重忠までも陥れられて殺されてしまうので衝撃を受けた。この畠山重忠、三国志で例えるなら趙雲子龍といった名将である。
(画像右が畠山重忠。左は重忠に因縁つけて逆に恥をかく和田義盛)
「鎌倉殿の13人」8話で頼朝の傘下に入り、軍の先頭で馬を進めて村娘たちから「あらイケメン」と絶賛されてしまう男だ。演じるのは中川大志。真田丸では豊臣秀頼を名君っぽく演じていた。漫画「吾妻鏡」でも作者の竹宮惠子の愛を一心に受けて作画されている。まるで主人公のような扱いだ。
「鎌倉殿の13人」では山本耕史演じる三浦義村や、よく知らない役者が演じる和田義盛とよく絡みが出てくるが、この二人も鎌倉幕府成立の功臣となるが結局北条氏に滅ぼされてしまうのだから容赦ない。というか将軍家ですら2代目3代目と殺されていくのだから凄まじい。ドラマでは採用されないとは思うが、頼朝ですら北条家に暗殺されたという説もある。小栗旬演じる北条義時の父、時政ですら安泰ではなかった。
そして義経。
ついに菅田将暉演じる義経が8話で本格登場した。
卑怯な手を使って罪ない人をあっさり殺して悪びれないキャラクターが衝撃的。
1979年の大河「草燃える」ではヒステリックで高慢ちきに演出されていたような気がするが、「鎌倉殿の13人」では空気の読めないサイコパス野生児といったキャラクターのようだ。
狂気の義経漫画といえば北崎拓の「ますらお」があるが、俺が思い出したのは手塚治虫の「火の鳥 乱世編」に出てくる義経。ブッダのダイバダッタ的な野望のためには手段を選ばず、最後には自滅するキャラクターで、弁慶が巻き込まれるだけの気弱で善良な男になってるのが面白い。
この空気を読まない菅田義経が、空気を読みすぎる風紀指導委員長の梶原景時(演:中村獅童)とこの先に何度もぶつかることになる。その掛け合いがどうなるかが非常に楽しみだ。梶原景時が頼朝に色々チクったことで義経は没落していき、梶原は後世にチクリ魔の名を残すのだが、それ以前に鎌倉のみんなから嫌われて殺されてしまうのだからちょっとかわいそうだ。
さらに梶原景時は義経の前に、佐藤浩市演じる上総介の暗殺という大役も待っている。こないだ佐藤浩市が武衛という言葉を誤用するシーンが笑えたが、あれが死亡フラグなのではないだろうか。
歴史的には頼朝を見逃したことで出世したと見られている梶原だが、そんなことで俺に借りを作ったと思うなよと圧力をかけてくるのが頼朝という男だ。上総介暗殺は、命の恩人と厚遇してくれるに違いないとすり寄ってきた梶原に頼朝が食らわせた強烈なカウンターパンチであり、踏み絵だったのではなかろうか。ヤクザみたい。
ブログのアクセス解析をしていたら、三谷幸喜が女優の杏と犬の散歩で遭遇した記事のアクセス数が上がっていた。その記事を自分で改めて読み返して、杏が大河ドラマ「平清盛」で北条政子を演じていたことを知る。
どんな塩梅なのかと検索してみたら、出てきたよ。
坂東武者令嬢って感じの北条政子が。
いやこれはすごい。
実際はこんな感じだったんだろうなあと思わせられる。
パイレーツオブカリビアン大河と呼ばれた「平清盛」でしたけど、逆にその辺が世間的には不評だったりするよね。
大河って毎年イチャモンがつけられやすいけど、保守的で大した視聴者層ではないとボカァ思うね。(←偉そう)
現代口調にろりろりする時代劇ファンの13人 [歴史漫画]
「ろりろりするでない」というセリフが。
トリビアでやってたやつだ!
慶長時代に宣教師が書いた記録に出てくる言葉らしい。
意味がわかった人はどれぐらいいたのだろうか。
自分はこの「新九郎」という漫画にいまひとつピンときてないのだが、熱心に読んでいる知人二人に「ろりろり」についての反応をうかがってみたところ、「そんなセリフあったっけ?」という反応だった。…うおーい!
ところで、
三谷大河の序盤は「この言葉遣いはねーだろ」という批判が浴びせかけられ気味。
今回の「鎌倉殿の13人」でも「首ちょんぱ」とか「頼朝と八重さんがデキちまったんだよ」今風な言葉が話題にはなりましたけど、さすがに三作目ということで慣れたのかバッシングというまでには至らなかった印象。
togetterも好意的な意見が多いが、違和感を持つ人も多い。
>時々出てくる現代的にくだけた口調が引っ掛からないで見られるようになるまでちょっとかかりそうかも。
>なんでこんな現代語ばんばん喋ってんの?黄金の日日は戦国時代だが主人公の一人称ワシ呼びだぞ?平安鎌倉にオレ呼び?あり得たの?
>ひどい 口語が過ぎる バカにしてるのか
>これって現代劇だっけ?セリフの口調が時代劇じゃなさすぎて、ビックリなんだけど〜
ちょっと考えてみよう。
現代口調でない時代劇ってどんなだ?
自分はそれほど時代劇に詳しいわけではない。今までで自分が見た一番古い時代劇は太平洋戦争で亡くなった山中貞雄の三作品あたりだろうか。内容についてはあまり記憶がないけど、特段、近年の時代劇とセリフ回しに関して差異を感じたことはない。
というか、いうほど時代劇は現代口調を使っていないのであろうか。
過去の時代劇は現代口調では無かったと憤慨する人たちは、それっぽい言葉を聞いて満足してただけなのではなかろうか。
それに実際「ろりろりするでない!」みたいなセリフが氾濫した時代劇を見せられたら、それこそろりろりするばかりなのではなかろうか。(ちなみにろりろりを使った新九郎も現代口調に頓着しない作品である)
何百年前の日本にタイムワープして、言葉が通じるかという議論は昔からある。
特に明治時代に多くの言葉が出来たという。
それ以前は「自由」という言葉すらなかった。
(元は仏教用語なのでお坊さん除く)
※余談だが、対面した二人が「アメリカはすごい。フリーダムは訳す言葉がない」と打ち震える漫画がなんだったか探してます。知ってる人は教えてください
みなもと太郎「風雲児たち幕末編」によると、
哲学、理想、本能、意識、命題、芸術、技術、権利などは西周(にしあまね 1829〜1897年)の造語だという。
となると例えば戦国時代ドラマで「お主のおかげで自由の身になった!」とか、「それがしの理想は!」とか喋ったら、サンキューベリーマッチとか言ってるのとあまり変わらない事になる。そのことを、時代劇に現代口調はありえない派の人たちはあまり気にしてないような気がするがどうだろうか。
以前も「よろしかったでしょうか撲滅委員会を撲滅する!」の記事で取り上げましたけど、明治文豪の日本語が今と違うって話もありました。
(画像は「月と日本語」井上純一)
お分かりいただけただろうか。
800年前の歴史を映像化するのに、
現代口調が入らないわけがないのである。
完全再現など出来るはずもなく、仮にされたとしても「ろりろりするでない」などの意味不明で難解で変態しか見ようと思わない映像になってしまうのは間違いない。時代劇の現代口調に文句をつけるのは、歴史小説が漢文で書かれてないとクレームをつけている様なことかもしれない。
漫画「風雲児たち」は他にも言葉に関しての面白エピソードが満載だ。
アメリカへの返書を送る際にプレジデントをどう訳すのかに困り、大工の棟梁から「大統領」という言葉を生み出すエピソードなども印象的。
時代劇に関わりが深いみなもと氏のエッセイ「挑戦者たち」ではこの件に関してとんでもない真理が飛び出す。
>「時代劇には『なに時代』というのはないのじゃ。
あるのは『時代劇時代』というものだけじゃっ」
氏の作品を2度に渡って映像化している三谷幸喜が、その辺のDNAを受け継いで鎌倉殿の13人の脚本を執筆しているのは当然なのである。
ちなみに旧13人ともいうべき1979年大河「草燃える」でも「現代口調でやる」がコンセプトだった様だが、実際にその映像を見ても自分の感覚では普通の時代劇と大差ない。
宮沢りえ大暴れの未来!鎌倉殿の13人、光栄のゲームではどうなっている? [歴史漫画]
三谷幸喜の「ボクもたまにはがんになる」を読了。
前立腺癌になっていた三谷幸喜が、担当医師とともに病気を振り返る対談本。
今はステージ1とか2とか言わないとか、射精した感覚があっても液体が出ないとかの豆知識が衝撃的。
ちょっと気にして読んでいたのが昨年8月7日に癌で亡くなったみなもと太郎先生のこと。
後書きでみなもと先生の原作を歌舞伎化した「月光露針路日本 風雲児たち」に触れているが、先生が亡くなったことについての言及は無し。奥付を見ると本の初版は2021年10月25日。微妙なタイミングだったのかもしれない。
さてNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」なかなか面白いと思うのですが、
皆さんはどうお思いでしょうか。
当然意識されてると考えられる79年の大河「草燃える」もちょっとだけ見てみました。
こっちではなんと義時役が「13人」で平清盛を演じている松平健なんですな!
頼朝が「なんでも鑑定団」の石坂浩二。その従者が武田鉄矢。藤岡弘も出てました。
今回も雑誌「歴史人」大河ドラマ便乗号を読んで、
馴染みのない北条義時話をなんとか理解しつつ、
鎌倉殿〜でどんな三谷ワールドが展開されるのか、ちょっと想像してみた。
宮沢りえ演じる時政の後妻、牧の方(りく)。
すでにドラマでも結構な存在感を出してきているが、
この先も派手な見せ場が用意されているようだ。
まず大泉洋演じる頼朝の浮気を知った宮沢りえ。
小池栄子演じる妻・政子にチクり、なおかつ自身の父に浮気相手を殺させようとするらしい。
それを阻止したのが小栗旬演じる義時。
これを屈辱に感じた宮沢りえは時政と一緒に領地に引き上げてしまう。一族でただ一人残ったのが小栗旬演じる義時だったので、大泉頼朝は感激して二人の絆が深まるという流れが史実なんだそうだ。ちなみに頼朝の不倫相手を演じるのは江口のり子。
今週、片岡愛之助演じる義時の兄が死んでしまった。
まさかあんな最期だとは。
1話に続いて梶原善に再び出番が回ってくるとは思わなんだ。
さすが泥沼亀之助だよ。
ここで北条家の後継は小栗旬義時ということになるのだが、
この後に宮沢りえが自分が産んだ子供を時政の後継者にしようというお家騒動が巻き起こるらしい。
しかも宮沢りえの産んだ子供は若くして義時よりも上の官位を賜ったりして。
いじける小栗旬義時の顔が目に浮かぶではありませんか。
結局宮沢りえの産んだ息子は早逝してしまうのだけれど。
ところで大泉頼朝と小池政子の長女も早くして亡くなってしまう。
その辺は18年ぶりに連載再開した北崎拓の義経漫画、「ますらお 秘本義経記 大姫哀想歌」で読むことができる。こちらでは木曽義仲の嫡子との政略結婚失敗で気狂いとなっていたというキャラクターになっている。イメージを掴むために先行して読んでおくのも楽しいかと思う。なお、最新刊にして那須与一編完結編の帯は「鎌倉殿〜」に便乗したものになっている。
後継者争いに失敗した宮沢りえの野望は止まらない。
今度は娘婿を将軍にしようと鎌倉幕府3代目将軍の実朝を暗殺しようとする。
このことは政子&義時に顰蹙を買い、時政との仲を完全に断絶させることになるのだそうだ。
宮沢りえの毒牙からは逃れた実朝だったが、結局他の人に暗殺されてしまう。
小栗旬義時も暗殺のターゲットになっていたが運良く難を逃れたそうだ。
が、実朝暗殺は義時犯行説もあるという。
最後に、真田丸からお馴染みになった地図を作っているコーエイテクモゲームスですが、その昔「源平合戦」という歴史シミュレーションゲームも作っていました。同社による「信長の野望」などと比べるととんでもなくマイナーな作品ですが、このゲームにももちろん北条義時が出ています。光栄といえば武将の能力値ですが、義時らの数値は以下の画像のようになっています。
フォーカスされているのは源平合戦なせいか、能力値が文官っぽい二人の存在感はゲームではあまりなさそう。解説文では頼朝死後にポッと出てきた人物みたいになっています。ビジュアルは鎌倉殿のイメージとほぼ変わりませんな。
ちなみに「少年少女日本の歴史」では義時はちぢれた顎鬚の変なオッサンになってます。時政は貫禄あるんだけどなー。
ちなみにゲームの源平合戦は、定価1980円の廉価版がAmazon中古で24980円。攻略本に至っては価格が33万8185円から151万5151円となっています。どないやねん。
竜馬がゆくを汗血千里の駒で引き算したら真実の龍馬像が明らかに? [歴史漫画]
今そのまとめを探そうと検索したら、2018年頃に書かれた記事が大量に出てくる。
定期的に出てくる龍馬サゲのスレッドなのだろうか?
で、スレッドの流れは
やら「坂本龍馬なんて何もしてない」とか、
「司馬遼太郎が作り上げた虚像」とか、お決まりの書き込みが踊るわけですが。
まあね、
「孔明すげえ!」をきっかけに歴史にハマって→「孔明なんて無能www」ってイキって多幸感に親しむ時期は歴史好きなら誰しも通る道なですよ。かわいいじゃないですか。
そういった書き込みの中でちょっと気になったのが、
「『竜馬がゆく』が書かれるまで坂本龍馬は全くの無名だった」
という、これまたよく見かけるガセ情報。
一度、この件についてしっかりまとめておこうと思った。
みなもと太郎の龍馬伝ともいえる「風雲児たち」にて、
40年以上の連載期間を経て、ついに龍馬と海舟が対面するわけですが、
>「1962年、産経新聞で『竜馬がゆく』が連載開始された時、先輩作家たちは『誰でも知ってる話を何で今さらと不思議がったという。司馬遼太郎は『竜馬』を戦後の昭和にリニューアルしたと言っていい(司馬遼風文体)」…という注釈が入り、『汗血千里駒』(かんけつせんりのこま)という明治時代に書かれた本が紹介されている。
「風雲児たち」ではこの後、作者が「汗血千里の駒」を読んでみるも、あると思っていた龍馬伝記の定番シーン、「勝を殺しにやってきたのに弟子になって帰っていった龍馬」描写がなかったことが説明されている。
龍馬は司馬遼太郎が作った幻想の英雄などとは言いたくないが、盛った部分は間違いなくあるはずで、そこは明確にどこなんだと。「竜馬がゆく」に「汗血千里の駒」を引き算してみればわかるんじゃないかと思い、自分でも「汗血千里の駒」を購入してみた。
みなもと太郎が購入した岩波文庫版は昔風の文体で読みにくく、現代語訳の完全版は高かったので、6割ぐらい現代語訳してあるという『坂本龍馬伝 明治のベストセラー「汗血千里の駒」』を発注。
この現代語訳は、福山雅治の「龍馬伝」の冒頭で、岩崎弥太郎に龍馬のことを尋ねる坂崎紫瀾なるインタビュアーが出てきたことから企画したものだそうだ。この坂崎紫瀾が「汗血千里の駒」の作者である。
紫瀾は龍馬と17歳違いの土佐人。ドラマのように岩崎弥太郎にしたかは知らないが、実際に関係者に取材をして坂本龍馬の一代記を新聞に連載し大ヒット。明治16年、歴史に埋もれていた龍馬という人物が再評価されて、やがて戦前の教科書に載るぐらいに誰でも知ってる人物となるのである。
ちなみに自分は「竜馬がゆく」を読んだことがない。
が、子供の頃に伝記漫画の坂本龍馬を読み耽った(安田タツ夫、ムロタニツネ像、小井土繁など)ので、だいたいの龍馬定番エピソードは分かる。
汗血千里の駒は井口村刃傷事件から始まる。
井口村刃傷事件は身分の高い武士の横暴に反抗した下級武士が、最終的に切腹して終わった事件。
「お〜い!竜馬」に出てきた刀の紐に血を付けるシーンは汗血千里の駒にも出てきた。しかしこれに龍馬が絡むのは史料的には辻褄が合わず、紫瀾によるフィクションであるらしい。
この井口村刃傷事件を掴みに、汗血千里の駒では次章から龍馬の出生がざっと語られる。明智光秀の末裔という伝説。家族構成。発育が遅かったというキラーエピソードは説明はあるものの、ほとんど印象に残らない文量である。ただ雨の日に水泳の練習をしていた話にはしっかり行数を割いている。ここまでで乙女姉さんは登場していない。
そして江戸への剣術修行の話になり、千葉さな子との出会いについてはかなり面白おかしく書かれている。当時は本人が存命だったせいか、名前が光子(みつこ)とされていて違和感がある。
(画像は安田タツ夫「学研まんが伝記シリーズ坂本龍馬」)
そのあとは近藤長次郎や山本琢磨の時計を盗んだ話が出てくる。時計は懐中時計ではなく柱時計!柱時計の定義はよく分からんが、でっかいイメージだ。やはり「お〜い!竜馬」に出てくるように懐中時計の方がスマートだろうということで後の作品では脚色されていったのか。
武市半平太や土佐勤王党の描写はあっさりである。暗殺描写がまだ生々しい明治16年の執筆なので、その辺は避けられたのだろうか。乙女姉さんはこの後に龍馬が手紙を送った相手として初めて登場する。名前は「留(とめ)」になっていた。
この後、大きく項を割かれるのは勝海舟との出会い。薩長同盟からの寺田屋(瀬戸屋名義)襲撃でお龍さん(お良名義)が半裸で龍馬の危機を救う名シーンは汗血千里の駒から健在である。その後の日本人初のホニームーン(原文ママ)の描写は当時の読者に大きなインパクトを与えたようだ。
そして海援隊、いろは丸事件と続くのだが、大政奉還についてはなんと諸大名が勢揃いする二条城にて、龍馬自ら慶喜に決断の説得をするという荒唐無稽な展開となっていて度肝を抜かれた。後世、いくらなんでもこれはないわということで、アイディアを最初に思いついた人ぐらいの描写に落ち着いたのだろうか。学研の伝記漫画はこの路線だが、自分が大人になって考えてみると幕府が政権を朝廷に返上するというアイディアを龍馬以外が思いつかないということはありえない。
その後は龍馬暗殺が語られ、犯人は新選組ではないかとほぼ断定する形になっており、天満屋事件の説明が入って汗血千里の駒は終わる。
(天満屋事件が語られる漫画といえば壬生義士伝9巻)
勝海舟が「暗殺にきた龍馬」を語ったのも汗血千里の駒ブームのあとのようなので、竜馬がゆくと汗血千里の駒を引き算をしたとしても司馬遼太郎が初出かどうかは単純には分からないことに気づく。千里の駒から竜馬がゆくまで75年の間に、さまざまな人が語ったり、調べた新事実が分かったりしたことだろう。
(画像は黒鉄ヒロシ「坂本龍馬」)
が、印象としては主要エピソードの輪郭は千里の駒からすでに出ているような気がする。現在の龍馬ファンたちに司馬遼太郎が与えた影響が強いのは間違い無いだろうが、アンチ龍馬が振り撒くような、戦後突然にメジャーになった人物でもないし、その際に業績を付け足されたわけでは無いことは今回ハッキリと分かった。
さらに面白いことが分かったので次回に続く。
三谷幸喜ファンによる鎌倉殿の13人の見どころ [歴史漫画]
dマガジンの「歴史人」が今年のNHK大河「鎌倉殿の13人」特集だったので読んでみた。
バカ売れみたいだ。
Amazonに在庫がない。
「鎌倉殿〜」がどんな内容なのか全くピンときてなかったので、「歴史人」とウィキや「少年少女日本の歴史」を何度も並行して読み比べて、ようやくどんな全貌なのか掴めた。
むかし大河ドラマで「北条時宗」ってのがあったけど、あれのエピソード1みたいなもんか。
源頼朝が旗揚げした時からバックアップしていた北条一族。
それがやがて鎌倉幕府を乗っ取るまでの話らしい。
「逃げ上手の若君」エピソード1でもある。
頼朝亡きあと、北条時政を筆頭とした13人の合議制で政治を仕切りまっせ〜になり、それがタイトルの由来。鎌倉殿(かまくらどの)は鎌倉幕府、または頼朝、その後継者のことを指す名称なんだそうな。
小栗旬演じる主人公は時政の息子の北条義時。ラスボスはおそらく後鳥羽上皇(配役未定)。小池栄子演じる北条政子が「頼朝の御恩を忘れるな」と感動のスピーチをして部下を煽るシーンがクライマックスになるのであろう。だから大泉洋演じる頼朝の「御恩」はドラマでかなり丹念に描かれると思われる。
ドラマの山場は他にどんなのがあるのか?
源平合戦は誰でも知っているから省くとして、歴史人などを読んでみてそれ以外でふたつ考えられることがわかった。
ひとつは上総広常(かずさひろつね)絡み。
上総広常は頼朝の旗揚げに呼応した中では最大勢力。
なので頼朝に対して無礼な振る舞いがあっても黙認された人。
これを佐藤浩市が演じる。「新選組!」の芹沢鴨まんまの配役であり、非常にイメージがつきやすい。死んだ後に頼朝ラブだったことが暴かれてしまい(史実)、歴史に残るツンデレキャラのようだ。
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当然、「狡兎死して走狗煮らる」ということになり、用済みになった上総広常はなんと双六やってる最中に暗殺されてしまう。その刺客、梶原景時は鎌倉幕府のチクリ家的な役どころで、義経も彼のチクリの被害者だとも言えるらしい。当然、周りから好かれるはずがなく、66名もの諸将たち連盟で鎌倉を追放されることになる。その梶原景時を演じるのが中村獅童。こちらも「新選組!」の捨助まんまである。
もうひとつの山場は、曽我兄弟の仇討ち。
忠臣蔵と並ぶ日本三大仇討ちのひとつなのだそうだが全然知らない。
ちなみにもうひとつの仇討ちは鍵屋の辻の決闘というらしい。やはり知らない。
この曽我兄弟の仇討ち、
あれこれ調べたのだが、何度読んでも意味がよく分からない。
仇討ちのターゲットになるのは工藤祐経(くどうすけつね)。
「鎌倉殿〜」で演じるのは坪倉由幸。お笑い芸人の人なんだそうな。
曽我兄弟の仇討ちを極力シンプルに解説してみる。
平家から頼朝の監視を任されたエリアのボス、伊東祐親(いとうすけちか)の甥っ子がお笑い芸人演じる工藤祐経。(一族だから仕方ないのだが、名前が似てるのも混乱する一因)
ビッグボス伊東祐親は三谷作品でお馴染みの浅野和之が演じている。
「鎌倉殿〜」第一話で因縁が説明されたが、お笑い芸人はビッグボスと不仲である。
土地や奥さんをビッグボスに奪われたお笑い芸人。そりゃ怒る。
ちなみにビッグボスからすると、お笑い芸人は自分が継ぐはずだった家を奪った継母の息子である。そりゃ揉める。
二人でやってりゃいいのだけれど、巻き添え的な人が出る。
それが曽我兄弟の父親でビッグボスの息子、河津祐泰(かわづすけやす)である。
曽我兄弟はお笑い芸人をぶっ殺し、日本三大仇討ちだと持て囃されるのだ。お分かりいただけただろうか。俺はよく分からない。
そんなわけでさらに「歴史人」を読んでいると、三谷幸喜の脚本がどうなるか、ありありと浮かんできた気がするので続く(予定)
↓続き
「宮沢りえ大暴れの未来!鎌倉殿の13人、光栄のゲームではどうなっている?」
https://ihondana.blog.ss-blog.jp/2022-02-06