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プルートゥの声は皆口裕子が演じるべきだった理由。浦沢直樹「PLUTO」 [この人気漫画が面白くない]

PLUTO デジタルVer.(1) (ビッグコミックス)

PLUTO デジタルVer.(1) (ビッグコミックス)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2022/10/28
  • メディア: Kindle版

鉄腕アトムの「地上最大のロボット」を読んだあとは浦沢直樹「PLUTO」全8巻を読んだ。

「PLUTO」は数々の漫画賞を受賞。
単行本1000万部。
アニメがネットフリックスで配信。
ハリウッドで実写映画化の話もあるという。

だから俺一人ぐらい批判的な感想を書いても構わんだろうと思う。
まあいつもの浦沢直樹批判です。

浦沢直樹の「MONSTER」風にアトムを脚色した漫画という感想をもったのだが、選択したエピソードが「地上最大のロボット」で正しかったのかどうかというのがまず引っかかる。

「地上最大のロボット」は他のエピソードと比べて話にそれほど深みがない。
プルートウも初っ端から姿を読者に見せているし、目的も明確である。
浦沢→手塚の順番で読んだ人は、あまりの話の単純さに驚いてしまうことだろう。
ちなみにPLUTOは単行本全8巻だが、地上最大のロボットのページ数は1巻分に足りない。

ちじょうさいだいのもつれ6.png

だからPLUTOのMONSTER風の味付けは、針小棒大に無闇矢鱈に風呂敷を広げた、いつもの空虚なサスペンスに思えてしまう。もっとMONSTER的アレンジがふさわしいエピソードが他にあったのでは無いか?たぶんあったのだろう。

「地上最大のロボット」を選択したのは、作者自身子供の頃に読んだ中で特に思い入れがあったから。それは分かる。手塚治虫も楽しんで描いたと語る、作中屈指の人気エピソードだ。同じように「地上最大のロボット」を元ネタにしたからこそ惹きつけられた読者も多かったことだろう。

他のエピソードのアレンジでは、ここまでのヒット作にならなかったのかもしれない。
この辺を間違えないのが、さすが浦沢直樹だと思える。

が、やはり「MONSTER」的な味付けがイマイチしっくりこないのである。
「地上最大のロボット」の元ネタである「伊賀の影丸」がスポーツ忍者漫画みたいなテイストだったので、「YAWARA!」的な味付けの方が面白く思えたかもしれない。

スイスナンバーワンロボット、モンブランを投げ飛ばした謎のロボットがいた!それをスクープしたドイツの刑事ロボットゲジヒト!「7人のロボットを次々に倒して金メダルぢゃ!」「おじーちゃん!(CV:皆口裕子)

YAWARA! 完全版 デジタル Ver.(1) (ビッグコミックス)

YAWARA! 完全版 デジタル Ver.(1) (ビッグコミックス)

  • 作者: 浦沢直樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2021/12/28
  • メディア: Kindle版

浦沢直樹は作画のセンスも一流だが、この世に存在しないメカの描写はイマイチ過ぎると思う。
20世紀少年の時も思ったことだが。
西原理恵子もPLUTO4巻巻末のオマケ漫画で同じようなことを書いている。
※=通常盤で確認

ちじょうさいだいのもつれ7.png

単行本2巻の巻末、手塚眞の解説によると、プレゼン時にはもっと手塚寄りの作画だったので、それをやめるように勧めたという。どんなだったのか見てみたい。

そのせいかどうか分からないが、PLUTOのロボットたちは人間と変わらないデザインにアレンジされたものが多い。しかもそのロボットが家に帰ると、人間と全く変わらない、いつもの浦沢的な家族の団欒を表現して見せるのだ。サラダを苦手そうに食べるし、お尻ペンペンして子供ロボをしつけるロボット。いったいぜんたい、どんなふうに作られたのだろう?高級なロボットほど人間くささを再現すると言っても限度があると思う。本当ならこれ一本で大河漫画にできてしまう。ある意味シュールで、読んでいて妄想が止まらなくなり、ページをめくる手が止まってしまう。

ちじょうさいだいのもつれ2.png

原作でもそうなのだが、アトムの世界ではロボットにも人権が認められている。
いかにも漫画らしい、手塚治虫の作風だと気にならない牧歌的な設定なのだ。
しかし手塚よりリアルな描写に比重を置いた浦沢直樹の作画では浮いた設定に思えてしまう。

ロボットに人間らしい暮らしを保障したこの世界は、失業者や居住スペースはどうなってるのだ?
浦沢作画だと、どこまでも気になってしょうがない。
繰り返すが本来、これだけで1本長編漫画が描けてしまう深淵なテーマであり、それこそまさにSFである。
そんな漫画が私は読みたかった。

 
「PLUTO」を読み終えた後は、U-NEXTで過去3回アニメ化されたアトムの「地上最大のロボット」を、それぞれ鑑賞した。とくに良かったのは3回目のアニメ!当時もすごいと思ったが、作画が豪華すぎて劇場用アニメのようだった。デザインを見比べてみるのも楽しいと思う。

オープニングにもプルートウが登場している。声は大塚明夫


浦沢直樹「PLUTO」で一番面白かったのは、
お茶の水博士がパトカーのデザインを犬型に決めるところである。

ちじょうさいだいのもつれ3.png

原作では何の説明もないが、犬の頭の形をしたパトカーが登場する。タイヤのないエアカーなので、なかなか車には見えない。なぜこのようなデザインになったのか?車の作画が面倒だったのか?原作を読んでる時も、このシーンはいつもページをめくる手が止まってしまう。

ちじょうさいだいのもつれ5.jpg
パースもおかしい。

若い漫画家と手塚のやりとりで、
Q「どうやって車を描いてるんですか?」A「模型を見て」というやりとりがあった。
意外と苦手だったのかな。

ちじょうさいだいのもつれ4.PNG


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ホームズを最初に支持した読者層とは?小林たつよし「まんがシャーロック・ホームズ全集」 [この人気漫画が面白くない]

誰もが知ってる。
でも意外と読んだことない人も多いんじゃないか、シャーロック・ホームズ。

ホームズ関連作品を読む機会が最近増え、そろそろ原作に触れなければと思いました。
でもそこは活字嫌いの私、漫画で読みたい。
しかしこんなに有名な作品なのに、パッと浮かぶコミカライズ作品がない。
パブリックドメインになったのは今年からだそうです。

検索して出てきた中で、
一番面白そうだったのが小学館「まんがシャーロック・ホームズ全集」全6巻。

まんが版 シャーロック・ホームズ全集1 緋色の研究

まんが版 シャーロック・ホームズ全集1 緋色の研究

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/02/08
  • メディア: Kindle版

子供向け学習まんがの類っぽい。
作画は「ドラゴン拳」の小林たつよし。
聖典と呼ばれるホームズの作品数は60。そのうち19のエピソードをコミカライズしている。
3分の1の量で全集と銘打った理由がよくわからない。

ワクワクしながら読んでみたんですが…正直ピンとこなかった。
事件のどこに注目すべきか頭に入ってこないし、依頼者たちもあまり印象に残らない。
ちなみに私の好きな探偵漫画は弘兼憲史「ハロー張りネズミ」とかわぐちかいじ/狩撫麻礼「ハード&ルーズ」
それというのも、ツッコミ役であるべきワトソンがあまり機能していない気がするのだ。

一巻220ページぐらいで2から4のエピソードを収録しているので、詰め込みすぎなのかもしれない。
池田邦彦「シャーロッキアン!」で紹介されていたデティールのいくつかは、この全集で確認することができない。

ぜんしゅう5.png


以上はコミカライズする側に起因する問題だが、
ピンとこなかったのは原因は原作にもあると思う。
ミステリーのグレードが低いというと怒られそうだが、ちょっと子供向けな気がするのだ。

ホームズの記念すべき第一話、「緋色の研究」でロンドン警視庁は毒殺された死体を凶器によるものだと思い込む。しかし当然外傷がないので混乱して、ホームズに助けを求める。ホームズは死体の口臭をかいで死因は毒殺とアッサリ見抜いてさすが名探偵!となるのだが、ずいぶん間抜けな話ではないだろうか。

知人に黒澤明の「用心棒」を勧めてみたところ、「敵が間抜け過ぎない?」という感想が返ってきて目からウロコが落ちたのを思い出した。

他にも印象に残った変な事件として、
義理の父親が娘の遺産を奪うために変装して、娘と交際する「花むこの娘」なんて話もある。
娘が近視なのを利用したんだと。いくらなんでも無理筋だろうと思う。

ぜんしゅう4.png

当時の俗説なのか、
忘れ物の帽子のサイズが大きいことから、持ち主は頭がいいなんて推理もホームズはする。
ちなみにこの迷推理が登場するのが以前ブログでもふれた「青いルビー」。※この全集では「青いガーネット」表記

ぜんしゅう1.png

全集の巻末に毎回掲載される解説にて、こういった矛盾点に対する容赦ないツッコミが加えられており(もちろん帽子の件も含む)、漫画部分よりもそっちの方が読んでいて手に汗握ったりする。編集者にホームズ愛がないわけではなく、全集に掲載された作者のコナン・ドイルの肖像と解説文は6巻全て違うものにしているなど、かなりのこだわりが伝わってくる。

前回紹介した女ホームズ小説「ビブリア古書堂〜」のスピンオフ、
書評バトル漫画「こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌」
その中でシャーロック・ホームズを初めて読んだ学生のセリフは「正直そこまですごい名探偵だろうかって思ったんだ」というものだった。少々ニュアンスは違うが、自分の恐れ多い感想もあながち間違いではないらしい。

ぜんしゅう2.png

ホームズを最初に支持した読者はどのような層だったのだろう。
ひょっとしたら少年少女たちではなかったのだろうか。
その辺を検索して調べてみたのだが、そういった言及は見つけることができなかった。

ホームズの第一話「緋色の研究」は1884年の作品。
ブレイクしたのが7年後の1891年にストランド・マガジンに掲載されてからだという。
このストランド・マガジンはファミリー層を狙った雑誌なのだそうだ。
7年というと、藤子・F・不二雄がいう「読者が一周している」ぐらいの期間だ。

ぜんしゅう3.png
(画像は小林よしのり「ゴーマニズム宣言」4巻

一周した読者が卒業しないまま大人の一員になる。
最初はジャリ向けと歯牙にもかけなかったのがほとんどだった大人の中に、
年を追うごとにホームズを支持する人の割合が増え、社会的影響力が増していく。

少年漫画が社会的地位を得ていく過程と同じ道をホームズも辿ったのではなかろうか。
これは私の妄想である。

前述した書評バトル漫画「こぐちさん〜」では
有名な作品には固定化されたイメージが付き物ですが…イメージが実際の内容と異なることも多いんです。でも…そのギャップを味わえるのも名作の楽しみ方の一つだと思います」とまとめている。

ホームズが宿敵モリアーティ教授と滝壺に落下していく最初の最終回は、実に少年漫画的だと思っていた。「実は生きていた」のも含めて。「シャーロッキアン!」を読んで最初に知って衝撃を受けたのだが、あれはワトソンの目の前で起こったのではなく、現場に残された物証からワトソンが推理して想像した光景だった。落下していくホームズを目の当たりにしながらワトソンが泣き叫ぶ劇的なイメージだったが、一気に微妙に!

ホームズの性格も、読む前に想像してたよりはずっと気難しい人物で、ワトソンとの関係はそれこそ岸辺露伴と康一くん(ビーティーと公一くん)のようである。「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦はことあるごとにホームズファンであることを公言している。そういうホームズスピリットを知らないままステルス摂取し過ぎた人間では、いまさらホームズを読んでもピンとこないというのもあるかもしれない。

ぜんしゅう7.png
(画像は「このミステリーがすごい!2023年版」

シャーロック・ホームズの小説はそのうち挑戦します。
が、読まないといけない活字の本がいっぱいで…。

 
<追記>
こぐちさん以外にもシャーロック・ホームズを読んだけどピンとこない人を描く漫画があった。
黒咲練導「制服date 」3巻。こちらもそのうち読んでみたい。

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「逃げ上手の若君」が超えないといけない高い壁 [この人気漫画が面白くない]

逃げ上手の若君 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

逃げ上手の若君 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者: 松井優征
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/07/02
  • メディア: Kindle版

連載前から話題になっていた「逃げ上手の若君」の感想をそろそろ書いてみる。
少年ジャンプ連載、「ネウロ」「暗殺教室」などで知られる人気漫画家の新作。
なんと歴史ものだ。

しかも主役が北条時行
大河ドラマ「太平記」でもスルーされたぐらいの、室町時代のマイナー人物である。
とてもヒットするとは思えない。
要求されるハードルが高いのだ。
逃げ上手2.png
(画像は少年少女日本の歴史に1コマだけ出てくる北条時行)

 
そこで作者が北条時行にした「逃げ上手」という脚色。
これだけで世間では北条時行が桂小五郎や徳川家康、劉備劉邦を上回る逃げ上手だということになってしまった(のかもしれない)のはすごい。
逃げ上手5.png

 
で、蓋(ページ)を開けてみると、
「逃げ上手の若君」は逃亡劇というよりはバトル漫画なのである。
「こんな弱そうな主人公をバトル漫画の常勝主人公に仕立て上げてご覧に入れますよ!すごいでしょ?」
…みたいな作者の意気込みを読んでいて感じる。

が、3巻まで読んでみた結果、いまいちパッとしないのである。
よその漫画における「怒りに任せて殴ると変形してしまう」とか「パワーはそれほどではないけどスローに感じるので逆にキツい」みたいな、なんがか込み入った説明されてるけど大してハネないのでやがて無かったことにされてしまうスタンドの変な新設定を見せられている感じ。
逃げ上手1.png
結局パワー重視でオラオラやっとけば読者は満足なんだよみたいな。


よく考えてみれば、
ジャンプには漫画史に残る逃げ上手キャラが既におり、
逃げ上手の若君が越えなければならないハードルは相当に高いのである。

ジョセフ・ジョースター
逃げ上手3.png

そしてある意味ジョセフを超える逃げ上手、ポップ。
逃げ上手4.png
この最強ツートップを超えるか、
あるいは匹敵する逃げ上手っぷりは果たして読むことができるのであろうか。
 

そういえば北条時行の子孫には「新九郎、奔る! 」の伊勢新九郎や、横井小楠などがいる(という説もある)らしい。そこで「逃げ上手の若君」の最終回がどうなるか想像がついた。

結局足利尊氏を倒すことが叶わなかった北条時行だったが、
彼の子孫、横井小楠は坂本龍馬らに大政奉還のアイディアを授け、
室町幕府を飛び越え江戸幕府を倒すことに成功したのである!…というのはどうか。
逃げ上手6.png
ちなみにこれは「子孫の真田幸貫の家臣の佐久間象山が倒幕の原動力になったのでセーフ」という、真田丸パターンである。



逃げ上手の若君 コミック 1-3巻セット

逃げ上手の若君 コミック 1-3巻セット

  • 作者: 松井優征
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/11/04
  • メディア: コミック



中先代の乱-北条時行、鎌倉幕府再興の夢 (中公新書 2653)

中先代の乱-北条時行、鎌倉幕府再興の夢 (中公新書 2653)

  • 作者: 鈴木 由美
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2021/07/19
  • メディア: 新書



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ついに娼婦無双はじまる!?なろうなのか、エロ漫画なのか、平鳥コウ/山田J太「JKハルは異世界で娼婦になった」 [この人気漫画が面白くない]

「JKハルは異世界で娼婦になった」の漫画版を読んでみた。

出会いは本屋。
出版社の用意したお試し小冊子を読んだ。
ポップもあったかもしれない。

よくある「なろう系」の異世界転生無双の娼婦版だということに大いに興味を惹かれた。
それで面白くなるの???と。

現在の性知識を使って、無双?
そんな感じ?ってどんなだ。
ランスの女性バージョンみたいな?

小冊子を読んだ段階では、
「ああ、そういうことかあ」みたいなトコまで書かれていない。

絵はとてもクオリティが高い。
エロいかと言われれば、俺的には反応しない。
エロ漫画を買えない小中高生のためのエロ漫画と言えばそうなのかもしれない。
jkハル3.png
1巻読めばこの漫画が面白くなるのか?
非常に興味を惹かれる。

買うからには全巻付き合えるという確信が欲しい。
その日は買わずに帰った。
月に100冊買うこともあるのに我ながら慎重。

U-NEXTの毎月もらえるポイントで電子書籍版を買えばいいと最近思いついた。
そして1巻全部読んでみたのだが。。。

…あまりピンとこない。
交通事故にあった援交女子高生の小山ハルが、剣と魔法の世界で自活していくために娼婦になる。
jkハル.png
が、なんの取り柄もなく、無双もできずにお茶引くようなしょぼくれた毎日。事故に巻き込まれて共に異世界にやってきた同級生のキモオタはチート能力を手に入れており上手く生活している。ハルは元の世界では相手にしなかったキモオタを、内心軽蔑しながら常連客として日銭を稼いでいたという話。
jkハル4.png
キモオタの他にも、異常にシャイだが金持ちのキモメンを相手にしたりする。
普段キモいキモい言われてる人が読んでるのをバレたら、さらにキモいと思われるような漫画だというのに、読者層全否定で大丈夫なんかいなと疑問に思う。読んでる人は「自分は違う」と思うのかもしれないが。
jkハル2.png
それとも嫌々付き合っていくうちにキモメンの良さをハルが理解し、読者の溜飲が下りるというオチなのか?1巻の時点では分からない。

娼婦なので、キモオタの同級生に恨みを持つ奴も相手にしないといけないという展開はなかなかスリリングだった。
jkハル1.png
DVされそうになるとヒロインは機転をきかせ、相手の虜になったように振る舞い、難を逃れる。この展開はなかなか面白かった。こういうアイディアが満載な漫画なら、続きも読みたいなあと思うのだが、今のところ微妙だ。

 
それにしても時代は変わったなと思う。
異世界転生は自分が子供の頃にも「聖戦士ダンバイン」や「リュウ」、「扉を開けて」など名作があったけども、今の転生先は一見、同じような中世ヨーロッパ的な世界なんだけども、パラメーターがどうとか、スキルがどうとか、ゲームの世界でもあるのね。

わかるようで分からんなあと思う。
ジジイになったということだ。

 

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JKハルは異世界で娼婦になった 1巻: バンチコミックス

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  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: Kindle版



【Amazon.co.jp 限定】JKハルは異世界で娼婦になったsummer (ハヤカワ文庫JA)

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  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: 文庫



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大人気「鬼滅の刃」を読んで思い出した、鬼を日本刀で斬るアクションものあれこれ。 [この人気漫画が面白くない]

コミックスが爆売れ中だという「鬼滅の刃」(きめつのやいば)の単行本1巻を立ち読む。
単行本が1200万部。
こないだ本屋で全巻大人買いしてる人を見た。
勉強のために続きをアニメ(Amazonプライム)で見る。

 
舞台は大正時代の寒村から始まる。
えらいマニアックな舞台設定だなと思った。
主人公は炭売りで家族を支える心優しい少年。

頭にあざなのか、キズなのかヤケドなのか、いわゆるシンボルマークがあるんだけど、それに加えてお洒落な耳飾りなんかしてらっしゃって違和感がある。わざわざ大正時代の炭売りの少年みたいなマニアックなキャラ付けにしておいて、変なとこでリアリティを失っている。

まあ、そういう世界観なのだろうと納得して読み続ける。
お笑い芸人の椿鬼奴(つばきおにやっこ)が、タモリ倶楽部出演の際に同じ耳飾りをしていて最近話題になっていた。愛読者なんだそうである。
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華丸さんのもらい酒みなと旅でぶら下げてたイヤリングは、そうです、炭治郎とお揃いなのです!昔JUMPショップで買ったお気に入り!なのに、もらい酒みなと旅でハシゴしたお店のどこかに落としてしまい[涙]やっぱ飲んでる時は耳まで集中力いかないよね?と薄々感づいていたので一個だけつけて行って一個は助かりました。 #もらい酒みなと旅2 #華丸 さん #鬼滅の刃 #竈門炭治〓 #もちろん炭治郎の目ヂカラを意識しています #junpshop で #禰豆子 のエコバッグも買った #猫を飼えるなら2匹飼って炭治郎と禰豆子と名付けたい

椿鬼奴さん(@tsubakioniyakko)がシェアした投稿 -


炭売りから帰ると一家が何者かに斬殺されており、唯一助かった妹は吸血鬼になってしまっていた!ジャンプ王道バトル漫画だと思って読んでいたので、「そっち?」と慌てて気持ちをそちらにシフトする。しかし妹はまだ人間性を残しており、吸血鬼のお約束の身体能力で、敵吸血鬼を圧倒したりする「戦力」になる。

これではまるで花沢健吾のゾンビ漫画、「アイアムアヒーロー」のひろみちゃんである。ひろみちゃんは主人公とともにゾンビが増殖する世間から逃亡するヒロイン。物語の途中で、中途半端にゾンビに噛まれたせいか、怪力で主人公をサポートする変なゾンビになる。実写映画では有村架純が演じた。

ゾンビ映画は奥が深いので、こういうパターンが「アイアムアヒーロー」が初なのかは分からない。念のために言うと、「アイアムアヒーロー」はゾンビヒロインを前面に打ち出した漫画でも無い。連載期間は2009年から2017年。鬼滅の刃の連載開始は2016年からだが、前身となった読み切りは2013年なんだそう。あまりアイアムアヒーローに詳しく無いので、どちらが先という話は興味があるが、とりあえず置いておく。

 
で、「鬼」を日本刀で退治する組織に助けられた主人公は、弟子入りして修行の日々というバトル漫画らしい展開になる。ジャンプ漫画は友情努力勝利だと謳いつつ、努力を描くと人気が落ちると言われているが、しっかり努力の日々を描いている。試験に合格して化け物を倒したところまでをアニメで見た。後は寝てしまった。

まあ予想してた通りだが、やっぱり面白さがよく分からない。
主人公がバトル脳でなく、ちょっと乙女な感じが現代的だなと思った。
チャンバラ組織漫画というのは「ブリーチ」とかぶんないのかなと思う。
ブリーチもちゃんと読んで無いので分からないのだが、同じジャンプで人気があるということは、かぶってないのだろう。

日本刀で鬼退治といえば、楠圭の「鬼切丸」を思い出す。
鬼切丸.jpg
鬼切丸の連載は1992年から2001年。
こちらは現代を舞台にしたもの。
通してちゃんと読んでないのだが、現代人の病理を鬼に喩えて描写したようなホラー漫画だったと記憶している。主人公は一匹狼の学生服の少年で、ライバル剣士や組織のような物はなかった。。。ような気がする(自信ない)。

日本刀で鬼退治アニメといえば、
2005年から2006年に放送された「BLOOD+」は知っている人も多いのではなかろうか。
こちらはセーラー服の少女が日本刀を振り回す活劇だ。

俺は見てなかったから「BLOOD+」は語れないけども、前身となった2000年のアニメ映画「BLOOD THE LAST VAMPIRE」はたくさん見返したので印象深い。こちらもセーラー服の女子高生が日本刀を振り回して吸血鬼を退治する。BLOOD+は現代が舞台だが、後者は敗戦直後の日本が舞台。

実写版もあったのをすっかり忘れていた。

そうして考えると、学生服が日本刀を振り回して鬼退治するジャンルは
「鬼切丸」と「BLOOD+」が昭和と平成を。「BLOOD THE LAST VAMPIRE」は終戦直後を。ちなみに鬼切丸の続編である「鬼切丸伝」は平安時代から江戸時代を舞台にしているという。

鬼滅の刃が大将時代を選んだのは、その辺のイメージ被りを避けるためと考えるのが一番納得できる。最も、一番被りを恐れたのは「ブリーチ」だったかもしれないが。

しかし鬼滅の刃の前身となった読み切りの時代設定が、調べたけどもよく分からなかった。これで大正時代が舞台のままだったら、作者の趣味ということになるな。

アニメを見ているとあまり感じないが、漫画の方の怪奇描写を見ると、高橋葉介と嗜好が似ているのかなと思った。高橋葉介といえば夢幻紳士。舞台は昭和初期と、大正に近い。


作風的に大正が合うのかなーという気がだんだんしてきた。
取り止めのないことを書いている気もしてきた。
やはり、分からないと思う物について書くのはあまり良くないと思う。


しかしイチ社会人としては、今後若い衆から鬼滅の刃の話を聞かれたら、
「あーあれ、面白いよねー!」と答えなければならない。
鬼切丸がどうとか言い出したら、「あれ?この人、なんか普通と違う…キモっ」と言われてしまうだけである。

だから私はブログに穴を掘って、今日も一人、悲しい本音を叫ぶのである。

 

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Yaiba (1-24巻セット 全巻)

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  • 作者: 青山 剛昌
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1994/02/18
  • メディア: コミック



鬼滅の刃

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  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版



鬼切丸 文庫版 コミック 全8巻完結セット (小学館文庫)

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  • 作者: 楠 桂
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: 文庫



アイアムアヒーロー コミック 1-22巻セット (ビッグコミックス)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • メディア: コミック



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ワンピースのプロトタイプ「ロマンスドーン」アニメ化記念に語る尾田栄一郎幻の短編「一鬼夜行」 [この人気漫画が面白くない]

イーストプレス「まんがで読破」や、講談社「まんが学術文庫」シリーズの原作者的立ち位置であるという、兼久政彦氏。調べてみると、昔のジャンプの新人に同姓同名がいたので、作品が収録されているホップステップ賞セレクション13を取り寄せてみた。
一鬼3.png
1994年に発売された単行本だけども、審査員の作家陣が若い!

沖縄出身と描いてあったので間違いない。
ハンドボール漫画で受賞しており、印象に残っていた。

 
ちなみに同単行本には「ワンピース」の尾田栄一郎の作品、「一鬼夜行」も収録されている。
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こないだアニメ化されたワンピースのプロトタイプ、「ロマンスドーン」は知っている人も多いと思うが、この漫画はあまり知られていないのではなかろうか。
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師匠を探す旅をしている気弱なお坊さんが、立ち寄った村で化物退治を依頼される。断りきれず、夜逃げしようとしたところ化け物に襲われ死にかけるも、それが師匠の敵だと知ると覚醒して化け物を一刀両断するというストーリー。
一鬼1.png
…正直、読んだ時は才能ないなと思った。
才能ないのはお前じゃ!という話なのだが、今読んでも全然ピンとこない。
それでもジャンプ編集部はこの才能を見抜いたわけで、すごいなあと思う。

でも編集長だった鳥嶋氏もワンピースの面白さが理解できなかったと昔から言っている。
俺はワンピースはすごいなあとは思ったけれども、単行本を買うほど面白がれてない。
一応エースが死ぬとこぐらいまでは読んだ。

 
こないだ漫画原作者のレジェンド、梶原一騎の生涯を追ったドキュメント番組を見たのだが、その中で氏の代表作である「巨人の星」や「あしたのジョー」の面白さがわからないと涙して怒り、単行本を叩きつけた手塚治虫の話が出てきて印象的だった。

自分が手塚治虫や鳥嶋和彦だという気はないけれども、面白さは人それぞれで絶対値はなどは無い。あるとして語れる唯一公平な基準は売り上げや発行部数など。面白いと思う心が飽きられず継続し、さらにリレーになればその作品は名作として残っていくことになる。それでも永遠のものでは無い。

TV番組も20%とれば大人気番組だが、残り8割も見ていない人がいるのだ。
生きているうちに採算がとれ続ければ、誰がなんと言おうと、その作家は勝ち組であろう。

…という前振りをした上で、
最近アニメを見た大人気の「鬼滅の刃」の感想を語りたいと思います、そのうち。

 

ホップステップ賞受賞作SELECTION 13 (ジャンプコミックス)

ホップステップ賞受賞作SELECTION 13 (ジャンプコミックス)

  • 作者: ジャンプ編集
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1994/09
  • メディア: コミック



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典型的なオタクノリのアニメ、「ダンベル何キロ持てる?」を俺はなぜ毎回見ているのか [この人気漫画が面白くない]

「ダンベル何キロ持てる?」というアニメを勧められて見てみた。
体型が気になりだした女子高生ギャルが、モテたいがためにフィットネスジムに通いだすという話。
ダンベル2.jpeg
サンドロビッチ・ヤバ子の原作漫画も少しだけ読んだことあったのだが、今ひとつ好みでなかった。表紙はポップな感じでいいのだが。
アニメも同様だ。

いわゆる、けいおん!から始まる、趣味を語るために主人公を女ゴレンジャーにするというあの体裁をとっているジャンルのアニメである。作画がやや貧相という気がする。俺は鍛えた体の女は好きなのだが、アニメではそのデティールが表現できていないと思う。

あとマッチョでひとつ笑いをとろうとしているのだが、マッチョで笑いをとろうとするのはかなり難度が高いと思うし、ギャグセンスが無い人に限ってやりたがるものだと、勿論俺個人の独断と偏見でそう思っている。マッチョギャグで成功しているのって、うすた京介ぐらいじゃなかろうか。
ダンベル.jpg

漫画のばくおん!!はその年の俺漫画賞を受賞するほど良かったが、あれは漫画の作画も超一級だし、バイク業界を壮大にディスるという攻めもあった。が、「ダンベル〜」は今アニメを見た感じでは単なるハウトゥーの域を出ない内容で、典型的なオタが押さえに行く女ゴレンジャーフォーマットが無いと成立しない作品のように思える。

余談だが、先月本屋で耳にした親子の会話。
中学生ぐらいの娘「おとーさん、ダンベルの続き出てるよ!」
体育会系っぽい父親「あー、それもう買うのやめたわ。」
(マジの実話)


それでも俺はこのアニメをちゃんとチェックし続けているのである。

…というのも、今月からフィットネスジムに通い始めたのだ。
ちなみにこれでジム通いは3件同時になる。

フィットネスは初めてだ。
「強そう!」「ガタイがいい」「アスリートのあの人に似てる!」と言われる俺だが、さいきん代謝がイマイチなので、津田大介みたいにならないように、とにかくいろんな筋肉を動かして血流を良くした方が良いと思ったのだ。ちなみにアメトークのゴールドジム芸人回を観たのも入会の動機の一つである。だからフィットネスジムについて解説したこのアニメは、大いに参考になる。

特にベンチプレス。
これが楽しい。
まだ一回しかやったことないけど。

ベンチプレスはちょっと敷居が高く見える。
実際ジムでもやってる人が少ない。
アニメを見ていなかったら、なかなか手が出せなかった。
ダンベル〜の主人公のように、バーのみ(20kg)上げ下げしただけだが、結構な運動になる。

バーベルは上下にしかスライドしないようになっていて、バーについているフックを回転させることで固定させることができ、さらにその下にストッパーの機構もあり、バーの落下でギロチン状態になるのを防げるようになっている。この機能美も非常にお気に入りだ。

 
けいおん!で楽器を買うオタクが急増。
ゆるキャン△でもキャンプ場にオタクが大挙して押しかけたとかいう話を聞く。
ダンベル〜でもジムにオタクが群がるのだろうか。

俺はいいことだと思う。
コミュ能力がなくて人に嫌われがちなオタクの、まず外見をよくすることができる。鍛えられた体は最強の服である。スポーツの話題は漫画やアニメと違ってまず嫌悪感を持つ人はいないので、コミュ能力を少しよくする会話のネタをゲット出来る。職場の横柄な先輩にも絡まれない。ドランクドラゴンの鈴木がよく言っているけど「俺、いつでも殺せるからな」という余裕が持てる事は本当に素晴らしいと思う。

俺は運動神経ない芸人の方の人間だが、こういったジムはとにかく続けることで確実に一般人と差をつけることが出来る。というのも、こういうジム通いは続けることが難しいのだ。なんでかなと考えるに、おそらくコンプレックスが少ない人ほど続かないのではないかと思う。

とにかく自分の限界の二歩ぐらい手前まで頑張る。
最初はそれが人より少なくてもいい。
続ければ必ず普通の人以上になっていくし、ジムでも声かけてくれる人が増えるものだと思う。

 
…というわけで、俺はダンベルのアニメを毎回見ているのである。
主題歌も正直オタクノリっぽくて嫌なのだが、たまに気づくと「お願いマッスル、めっちゃモテたーい♪」とか口ずさんでしまっている。。。


 

[まとめ買い] ダンベル何キロ持てる?

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ダンベル何キロ持てる? コミック 1-8巻セット

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  • 作者: MAAM
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: コミック




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映画「ドラゴンクエストユアストーリー」の結末は、なぜ受け入れられたのか?問題 [この人気漫画が面白くない]

CG映画「ドラゴンクエストユアストーリー」(以下ユアスト)の酷評が吹き荒れている。

ユアストは国民的人気ゲーム「ドラゴンクエスト」の第5弾、「天空の花嫁」の映画化だとしてプロモーションされていた。

「天空の花嫁」はドラゴンクエスト史上、最もドラマチックでスケールの大きい傑作と評価する人も多い。主人公はそれまで定番だった「勇者」ではなく、その主人公が子供の頃からゲームがスタートして成長し、結婚して父親になるという大河ドラマ的な構成になっていた。

特に妻を幼馴染みのビアンカ、令嬢のフローラのどちらにするかという運命の選択は、ゲームが発売されて四半世紀経った現在でも論争になり続けているという凄まじい反響を巻き起こしている。
ビアンカ.jpg
それが映画公開された途端、映画「デビルマン」以上の駄作という評価がネットニュースで踊った。映画「デビルマン」とは2004年に公開された那須博之監督による実写映画で、今でも駄作映画の象徴として語り継がれている作品。ちょっとネタにされ過ぎているとも思うが、偉大過ぎる原作に遠く及ばないのは間違いない。

ユアストのカタログスペックを見れば、一定のクオリティが保たれるのは間違いない(この件については後述する)。それなのになぜデビルマン以下とまで言われるのか、何かやらかしたのだなとピンとくる部分があったので、普段率先してネタバレまで踏み込まないのだが、今回に限っては記事を深く読んでみた。

 
(以下ネタバレ)

 
なんと、いわゆる夢オチだったというのである。
正確にはVR落ち。要するにお客さんが見ていたのはゲームの画面。
最後の戦いでバグにより現実に戻される。

バグはいわゆるゲームをすることを虚しい行為と否定するニュアンスのセリフを吐くらしい。これに対して主人公は「ゲームをすることは素晴らしい」的なセリフを吐き、バグをやっつけて大団円。

…という展開なんだそうだ。

まあ、、、ひどい。
映画も見ずに論評下すのもアレだけれども、幾ら何でもこれは無い。
単に奇をたらったとしか思えない、小学生が考えたようなオチだ。

この構成を面白いと思い、企画をぶち上げてしまう人がいるのはわかるけども、この企画が通ってしまうのはなぜだと強い興味を持った。

カタログスペックを見ると、原作・監修に堀井雄二の名前がある。言わずと知れたドラゴンクエストの生みの親であり、ゲームデザイナーと呼ぶにふさわしい偉人である。

天空の花嫁の2年前に「ファンタシースター3 時の継承者」という、やはり結婚にフォーカスしたRPGがあった。誰と結婚するかでダイナミックに展開が変わっていくのだが、天空の花嫁はぶっちゃけビアンカ&フローラのどちらを選んでも結果は大差ない。それでも天空の花嫁がいまだに語り草にされるのは、細かな部分までユーザーに配慮できる堀井雄二の力量、偉大さに他ならない。

その堀井雄二がこの「ユアスト」の脚本を読み、OKを出しているのである。
もちろんゲームの発売元であるスクウェア・エニックスもOKを出している。
なぜか?
もちろん小学生が書いたシナリオならOKは出ない。

あの山崎貴(やまざきたかし)が書いているからOKが出るのである。

言わずと知れた邦画の第一人者である。
CG表現に強みを持ち、「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」などホームランをかっ飛ばし続けている。映画の面白さは人それぞれだが、その実績のすごさは誰にも否定できない。

それは堀井雄二やスクエニを黙らせるものなんだなあということが今回わかった。
「いや、そのオチは無いですよ」とは言えない。
イエスマンがうじゃうじゃ。
山崎貴に関わっていたいから、である。

山崎貴にCG映画化されるというのは今現在、それほどの名誉なのだ。
体感では山崎貴の責任を問う声はそれほど聞こえてこない。
他に二人いる共同監督が槍玉に挙げられている。

今回山崎貴監督のツイッターをのぞいてみたが、ユアスト絶賛の意見をリツイートしまくりである。奥田民生みたいな飄々とした気の良いにいちゃんというイメージだったが、意外とセコイ。この記事をツイッターで公開する際、コメントを全部絶賛にしたらリツイートしてくれるだろうか。

ソフト化の際にはこのまま行くのかな。
オチだけちゃんと作り直して幻のエンディング収録!とか言って売ってもバチ当たらなさそうだけども。

ちなみに今年の冬は、山崎貴監督のルパン三世のCG映画が公開されるという。


 

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 映画ノベライズ (ダッシュエックス文庫)

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 映画ノベライズ (ダッシュエックス文庫)

  • 作者: 山崎 貴
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: 文庫




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第二話から次原節全開!少年の心の機微を大胆に表現した次原隆二の「少年リーダム」 [この人気漫画が面白くない]

引き続き「少年リーダム」の話を。
1巻から読んでいて、頭が最高にクラクラしたのは第2話の「社会科見学の巻」。

小学生たちが大挙して出版社に見学にやってくるのだが、一人生意気な小学生がいて、お土産として渡した少年ジャンプ(劇中では少年リーダム)を「キン消しの方がよかった」と破り捨ててしまう。
社会科見学4.png
それに対してガチ切れする西村繁男(がモデルの)編集長。小学生はガン泣き。
周囲が必死に止めて、小学生たちは退散する。

数日後、編集長が手紙を読みながら涙している光景を主人公が目にする。
手紙を置いて退社する編集長。
主人公が手紙の内容を読むと、あの生意気な小学生からの手紙だった。
社会科見学2.png

ーーーーーーーーーーー
へんしゅう長さんへ

僕はこの前少年リーダムへんしゅう部を見学にいった安田光太郎です。
その時もらった少年リーダムをやぶってしまって本当にごめんなさい

ぼくは家に帰ってもらった少年リーダムを全部読みました
とてもおもしろかったです!

そして気がつきました
あの時へんしゅう長さんがおこったのは
へんしゅう部のおじさんたちがいっしょうけんめいに作った
そんな少年リーダムをボクが大事にしなかったからだと

おこったへんしゅう長さんはとてもコワかった
…でも少しだけうれしかった…

だってあの時おじさんは…
本気だった!!
決して子供あつかいしなかった!!
それがうれしかったんです

そんなへんしゅう長さんたちが
作った本だからおもしろいんだと思いました

これからももっともっとおもしろい少年リーダムを作ってください おわり
ーーーーーーーーーーー

手紙には写真が同封されており、
その写真には満面の笑みの小学生と、破れをテープで補修した少年ジャンプが!
社会科見学1.png

なんという感動の展開だろうか。
全米が泣いた。

普通、これぐらいの年頃の少年は思っていることを素直に表現できないものだ。
さらにその思いを文章化するなど困難を極める。
おそらくこの少年はたまたま文才があったのだろう。
「のちの直木賞作家である」などの注釈があればなお良かった。

普通の漫画家ならリアリティを失うのが怖くてこんな展開にはできない。
親御さんまたは教員から謝罪の手紙が送られたことにするだろう。
それが無くとも、最後の写真一枚で十分に伝わる。

おそらく作者は読者のレベルを考慮したのだろう。
説明過多になることを恐れない英断だ。


……
………、

…ところで、この本気で怒ってくれて嬉しかったパターンって、最初にやった人って誰なんですかね。少年リーダムは2009年。その10年以上前の1997年に満田拓也が「MAJOR」14巻でもやっている。
社会科見学3.png
考え方の違う人を空想の中で謝らせ、宗旨替えさせ、さらに嬉しかったとまで言わせる。その独白はロジックがしっかりしていて、淀みなく吐露することが出来る。

これで面白いものにするのはかなり難度が高い気がするんですけども。。。

 

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 1 (BUNCH COMICS)

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 1 (BUNCH COMICS)

  • 作者: 次原 隆二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/08/08
  • メディア: コミック



MAJOR(14) MAJOR (少年サンデーコミックス)

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  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1997/07/18
  • メディア: Kindle版

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職人的作画と安易な話作りの落差にクラクラする!次原隆二「少年リーダム」 [この人気漫画が面白くない]

「少年リーダム」はなんか惜しい漫画だ。
読みながら、なんでこんな風になっちゃうんだろうとモヤモヤする。

作画の次原隆二の丁寧な職人気質は伝わってくる。
伝わってくるのだが、どうにもセンスが感じられないのだ。

主人公は集英社をモデルにした出版社に就職し、本屋での研修を経て、どこの部署に入るのかというところから話は始まる。主人公は希望する部署「月刊プレイライフ」に配属されることを信じて疑わない。先にプレイライフに配属が決まった同期を見て、こんなダサい奴が同僚になるのかと舌打ちする。主人公の配属は、漫画の流れとして当然ジャンプをモデルにした「少年リーダム」になる。主人公は大慌てになり、読者の笑いを誘うというプロットだ。
700万1.png

まあコテコテである。
一連の流れを、主人公の変顔で補強している。
冒頭から、読者の誰にでもオチが予想できる。
今から笑ってくださいねぐらいの構成だ。

笑いとはなんなのかと語り出すとまた長くなってしまうのでやめときますけども、次原隆二のこの一連の笑いの取り方はかなりダメな部類だと思う。質は関係なく、笑いカウントひとつとれたからOKという態度だ。地方CMで見られる、つまんないダジャレを言いますから失笑してくださいねーという手法の次にイージーだ。

この少年リーダムは、そういったカウントひとつとれたからOKという表現が多すぎる。

ヒロインというか、マドンナ的なキャラクターの造形も安易だ。
主人公が研修先で出会う黒髪ロングなお姉さん。
「私、少年リーダム好きなんだよね。何か男の子たちの友達…みたいなカンジでさァ…」
700万2.png
読書家っぽいデティールはあるのだが、そんな女性が当時の少年ジャンプを読むかなあ。。。という疑問。感想も非常にボンヤリだ。ここで「私、男一匹ガキ大将を愛読しているの!」とか言わせたら、かなりキャラが立つと思うんだけども。ただただ、訳もなく少年リーダムは素晴らしい漫画雑誌なんですよと言わせるだけの装置にしかなってない。

そんな出版社に就職が決まった主人公にを羨ましがるマドンナに、主人公が放つセリフも酷い。
「もしかして…ここって給料安いんスか?」
700万4.png
大手出版社の社員はかなり高給取りだ。
町の書店員と比べられるはずもなかろうと思う。
わざわざこんなセリフを使うあたり、作者がかなり浮世離れしてると思わざるを得ない。
おそらく漫画の中では同じくらいの給料ということになっている。
そうでなければこんなセリフは絶対に採用できない。

ちょうど当時の集英社の編集者の給料を語った漫画がある。
本宮ひろ志の超傑作「やぶれかぶれ」だ。
700万3.png
約700万。
1982年頃の話。
今から37年前だ。
超高給取りだ。

一方、書店員の平均年収を検索してみたが現在で260〜340万円ほどだそうである。

 
そして最後にいきなりオチを語ってしまうが、主人公は最終回で突然交通事故で死ぬ。
その死はもちろん漫画のテーマとなんの関係もない。
単に感動を誘うためのよくある装置である。
読者をバカにしてんのかと思う。

 
次原隆二といえば「よろしくメカドック」の作者である。
アニメ化もされ、氣志團が決め台詞にしたぐらいの現在でもそれなりに名前が残った傑作を描いた人だ。元アシスタントにはにわのまこと、小畑健、和月伸宏などがいる。

メカドック終了後は打ち切りの連続。
バイク漫画「ロードランナー」は好きだったが、「隼人18番勝負」は佐々木小次郎の末裔が宮本武蔵の末裔にゴルフでリベンジするという当時でもかなり時代錯誤な漫画で、ああこの人ダメだわと子供ながらに思った記憶がある。盛り上がるところで、主人公が服を綺麗に畳むという几帳面さで笑いを誘っていたギャグセンスは当時と変わらないと思う。

バンチで連載していた車漫画はずっと巻末での掲載だったという。
基本的に趣味の車漫画を描いていれば幸せな人なのかなーと思う。
作画技術の素晴らしさは「少年リーダム」を読むひとつの価値だとは思う。
悪い人ではないと思うのだが、車漫画以外は読む気がしないというのが正直な感想だ。

 

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 1 (BUNCH COMICS)

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  • 作者: 次原 隆二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/08/08
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[まとめ買い] よろしくメカドック

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