いまさら鉄腕アトムを読破して驚くドラゴンボールに与えた影響 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]
『鉄腕アトム』全21巻+別巻2巻セット(化粧箱入り)SUNDAY COMICS
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2000/04/06
- メディア: コミック
ついに手塚治虫「鉄腕アトム」全22巻(サンコミックス版)を読み終えた!
そんな基本中の基本が未読だったのかよーって話ではあるが。
不思議とアトムの単行本を、本屋で見かけた記憶が無いのであった。
ブラックジャックと手塚治虫全集はよく見かけていたけども、アトムは無い。
当時巻き起こっていた黒人差別問題のせいかもしれない。
手塚治虫漫画を初めてちゃんと読んだのは「ブッダ」。
こりゃすごい漫画だと思うのと同時に、ひょうたんつぎとか、お迎えでゴンスなどのお約束ギャグが理解できなくて戸惑った記憶がある。漫画原作者の大塚英志も同じようなことを本に書いている。
現在所有している作品もブラックジャック以降のものがほとんど。
それ以前のものは子供むけ。読まなくてもいいぐらいに思っていたのかもしれない。
だがしかし実際にアトムを読んでみたら、これはスゲエ漫画だと思い知らされたのである。
驚いたのは、
今ある少年漫画のヒット作のあれこれを、すでに鉄腕アトムでやっているということだ。
浦沢直樹「PLUTO」の元ネタ、「地上最大のロボット」を読みながら思った。
空を縦横無尽に飛び回って戦う、
これってドラゴンボールじゃん!
主題歌の歌詞にも出てくる10万馬力。
アトムの前に立ち塞がる敵ロボットは、30万馬力、50万馬力、100万馬力とインフレしていく。
戦闘力じゃん!
100万馬力の強敵、プルートウのデザインはフリーザの第二形態に似てる!
ちなみにドラゴンボールは戦闘力5から始まってジワジワ上がっていき、
戦闘力100万越えするのはフリーザ第二形態!
これは狙ってやってたのだろうか。
そして、プルートウと戦うために、
自らも改造され100万馬力になったアトムがこれである。
スーパーサイヤ人じゃん!
調べてみると、やはり鳥山明は手塚治虫の影響を強く受けていた。
アラレちゃんがロボットなのもアトムが好きだったからこその着想だと本人が分析している。
「Dr.スランプ」11巻80ページで「アトムのロボットを毎日マネしとった」と書いている。
アトムには「ロボッティング」という格闘技大会の描写がたびたびあり、それをアトムの妹のウランちゃんが勝ち抜いていくエピソードは天下一武道会のように手に汗握る。この辺をもう少し推していたら…と思う。現在のバトル漫画に比べると、やや抑えた感じなのが惜しい。描きたかったのはSFなのだろうし、アトムは暴力反対のクレームを受けることが多かったから控えめにしたのかもしれない。
他にも「エジプト陰謀団の秘密」(1959年)では、
エジプトの石像ロボたちが合体!飛行形態に。
六神合体ゴッドマーズ(1981年)じゃないですか!
他にもたくさんのロボットが合体して、ひとつの巨大ロボになるということもやっている。
ディズニーとか、藤子不二雄とか、タツノコとか庵野秀明「シン・シリーズ」とか、の無理やり合体ロボみたいじゃないですか。
「白熱人間」(1961年)に登場するブロンXの飛行形態はガメラ(1965年)のようだ。
島本和彦「炎のニンジャマン」(1991年)に登場する忍術、カラダ手裏剣にも似ている。
「地球最後の日」(1964年)に登場するベムは女の子。
「デビルマン」のシレーヌに似ている。
永井豪は熱烈な手塚ファンである。
いきなり敵のキャラクターデザインが変わる「ロボイド」(1965年)。
「キン肉マン」のオーバーボディ的なこともやっている。
キン肉マンはドラゴンボールの戦闘力よりも先に「超人強度」という概念を作っている。
担当編集者だった松井栄元がBIGFIGHT01で語ったところによると、これはやはりアトムの「地上最大のロボット」からきているとのこと。
「アトム対ガロン」(1962年)では、強敵を宇宙に吹っ飛ばす。
ジョジョの奇妙な冒険第二部のクライマックス、カーズ戦のようだ。
知ってる人が少ないかもしれないが昔「ぐわんばる殿下」(1982年)というコロコロコミック連載の漫画があって、曲がったことが大嫌いという親のポリシーを誤解して、ひたすら真っ直ぐ突き進むというギャグ漫画があった。
アトムでは「気体人間」(1952年)でやっている。鳥山明も「Dr.スランプ」で似たような話を描いていた。
ストリートファイター2のラスボスは帝都大戦や、猿渡哲也の漫画が元ネタというのはよく言われることだが、名前は鉄腕アトム「ロボット宇宙艇」(1963年)に登場する女性軍人ベガからとったのではないか?わざわざ女性の名前をつけ、海外では他の問題もあって改名している。
「ゾロモンの宝石」(1967年)で、水の中から出現するゾロモンのシルエットが、
「バビル2世」(1971年)のポセイドンそっくり。
作者の横山光輝は手塚のアシスタント経験者。
ちなみに「地上最大のロボット」は横山光輝「伊賀の影丸」の影響を受けたエピソードなのだそうだ。
「鉄腕アトムプロローグ集成」という本に書かれていた。やはり横山光輝もスゴいのだ。
というわけでブラックジャック以降を読んでおけば手塚治虫は間違いないという認識を恥じたのであった。手塚治虫すげーなー。鉄腕アトムを読んどけば間違いない!
ちなみに評論家の斎藤次郎は「少年ジャンプの時代」の中で、鳥山明は手塚治虫に最も遠い作家と分析してたりします。
プルートウってフリーザの第二形態に似てるよなあ。
— ムゲンホンダナ(本棚持ち歩き隊) (@hondanamotiaru) July 9, 2023
100万馬力だし。
…と思ったら、やっぱりアトムの影響は濃いのね。 pic.twitter.com/UCuUmi4UIh
はじめまして。Mizumizuのライフスタイル・ブログというブログを運営しておりますMizumizuと申します。
2024年3月15日のエントリーで貴ブログのURLを示したうえで、一部引用をさせていただきました。
ご覧いただき、問題などございましたらお知らせください。
メールアドレスはmizumizu4329あっとまーくgmail.comです。
よろしくお願いいたします。
by Mizumizu (2024-03-15 13:20)
ご丁寧にありがとうございます。
私は特に引用の報告しないスタイルでやってますので、ご不快に思われることもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
by hondanamotiaruki (2024-03-16 09:13)