宇宙の果てを見るような超能力バトルの結末、早瀬マサト&七月鏡一「幻魔大戦Rebirth」 [名作紹介]
幻魔大戦が中断されなかったら、
その先どんな展開になっていたのか?
ラスボスの幻魔大王に辿り着くまで超能力はどんどんインフレ、なおかつ宇宙でバトルだ。
おそらく絵にも描けない凄まじさになっていたと思われる。
宇宙の果てを見るようなものだ。
幻魔大戦のラストバトルも既にその兆候が出ている。
だから幻魔大戦は中断したのではないか?という疑念がある。
石ノ森章太郎は崩壊の序曲は楽しそうに描くが、
いざカタストロフィーが始まると詳細すっ飛ばしウヤムヤに終わるという展開が多い気がする。
(画像は桜玉吉「しあわせのかたち」2巻)
「新幻魔大戦」と「幻魔大戦神話前夜の章」をこないだ読み返したが、
どちらもウルトラメガ中途半端に終了している。ひどい。
こういう巨匠の態度には我慢がならん。
そんな漫画の続きがあった!
幻魔大戦 Rebirth(1) (少年サンデーコミックススペシャル)
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/05/02
- メディア: Kindle版
「幻魔大戦Rebirth(リバース)」全11巻を読んだ。
超能力者の友人がいる早瀬マサトと、石森プロ&七月鏡一による正統な漫画続編だ。
オリジナルの終了が1967年だとすると、47年後の2014年から5年間連載されたらしい。
(画像は石垣ゆうき「MMR」)
おそらく小説版や石ノ森漫画に詳しい人むけに描かれているのだろう。
ちょっとわからない部分も多かったが、
仮面ライダーBLackからの引用だったら見開きの爆発でも分かる。
仮面ライダーBLackの爆発
幻魔大戦リバースの爆発
リバースは割と地球から離れない、土着な展開にこだわっている。
まあ「宇宙の果てを見るような」展開をしても、読者には面白く無いわな、
それでも最後は幻魔大王までの果てしなく長い距離を埋めて、
しっかりスケール感を感じさせつつ決着をつけてくれたので良かった。
しかし「宇宙の果てを見るような」漫画を描いて成功している漫画がある。
ドラゴンボールだ。
これ以上は無いだろうというスーパーサイヤ人から、さらにそのまた上、そのまた上と、
今なお膨張を繰り返している。
作品として成功してるかの判断は人によって違うだろうが、
終了して何十年経つのに現役作品を凌駕する経済効果をもたらしているのだから大成功は疑いようもない。
描かなくても許される巨匠石ノ森と、
強制的に描かされ続けた結果、漫画の新しい可能性を突き詰めたジャンプ漫画家の違いをよく考える。
若者ウケにこだわる晩年の巨匠も、
ああいう評価を得たかったのではないかと思うことがある。
それには宇宙の果てに挑まなければならなかったのだ。
(画像は石ノ森章太郎「草壁署迷宮課 おみやさん」)
ところで、
今川ジャイアントロボみたいに石ノ森キャラが多数登場する「幻魔大戦リバース」だが、
ミュータントサブの登場シーンがなんか車田正美っぽい。
それで思いついたのだが、
車田正美の「風魔の小次郎」の聖剣戦争って、
車田版「幻魔大戦」だったのではなかろうかと思った。
サイキックソルジャー飛鳥武蔵!
なんかトテツもないスケールで始まって、
なんだか分からないまま、分かったような気にさせて終わってしまう聖剣戦争。
結局、カオスってなんだったんだ?という話だが、
飯は食うのか?トイレには行くのか?学生服は着てるが生活感が全くないんだけど。
あいつらは「幻魔」だったんだよ!とすると、全てが理解できた気がしてしまうのだ。
宇宙の果てを見るようなワケのわからない宇宙戦争も、
車田正美にかかれば分かりやすい剣道団体戦になってしまう!
でも決して壮大な宇宙戦争の雰囲気は損なわない!
これが車田正美の凄さだ。
…と考えると、
「リングにかけろ」のオリンポス12神の巨大化したラスボスも、
幻魔大王のイメージだったと考えると全てが繋がる。
幻魔大戦の結末は既に車田正美が描いていたんだよ!
およそ40年前ぐらいに!
みなさまはどう思われるか。
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