真空パックされた原発事故の空気。いましろたかし「原発幻魔大戦」 [名作紹介]
2011年の原発事故。
この世の終わりか?
仕事帰りの車の中でニュースを聞きながら、そう思った。
あの頃の世間の空気を真空パックした漫画、そんな評に惹かれて購入してみた。
いましろたかし「原発幻魔大戦」全3巻。
タイトルは「平井和正の幻魔大戦から拝借した」と後書きに書かれている。
そこは石ノ森章太郎を含めないんだ????
このところ幻魔大戦マイブームで購入した漫画は、これを含めて22冊になった。
小説まで読む気にはなってない。長そうだし。
「原発幻魔大戦」の主人公は漫画家でなく、普通のサラリーマン。
そこはなぜ作者にしないのだと思ったが、それじゃゴーマニズムか。
原発幻魔大戦は原発だけでなくTPP(環太平洋パートナーシップ協定)もテーマにしており、
その辺はゴーマニズムとも共通している。
比べると見えてくるものがある。
原発幻魔大戦の主人公は無力である。
清き一票でしかない。蟷螂(とうろう)の斧だ。
ツイッターに書き込んだり、デモに参加するぐらいしかない。
原発よ滅びよとひたすら念じ続けているだけのようにも見える。
敵はあまりに巨大である。
その辺がエスパー学生vs幻魔大王のような構図で、
まさに幻魔大戦のタイトルを冠するにふさわしいのかもしれない。
漫画「幻魔大戦」の東丈は「みじめったらしい野ねずみ」と蔑まれていたが、
原発幻魔大戦の主人公も世間から蔑まれたりもする。
総理大臣に対し「狙撃されちまえ」みたいなうかつな発言も飛び出す。
正直、あまりインテリジェンスを感じさせない。
すし食ったりAV見たりしながらも国政を憂う姿が描かれているのはリアルで、
ギャグとしか思えないのだが巻末対談によると作者はマジのガチである。
「うん みんな喰ってる」
「放射能よりタバコやめた方がいいです お大事に」
庶民にできることとしては結局のところ、
与えられた情報のどれを取捨選択していくか、
ということしかないっぽい感じがコミカライズされている。
「原発幻魔大戦」の主人公は、日刊ゲンダイへの信頼を表明してせせら笑われてしまう。
大昔コンビニでバイトしていた時、日刊ゲンダイはいつも一部も売れずに返品処理をしていた※ので、俺も爆笑の展開だったのだが、よくよく考えると笑えない。
※スポーツ新聞がほとんどであとは競馬新聞が少し売れるだけでゲンダイだけが売れてないわけではない
「ネトウヨ」
大手メディアが信用できなくなるのもわかるのだけど、
そうなると堅実でないメディアのデマに躍らされて、
取り返しのつかない暴走をしてしまう未来も垣間見えてしまう。
3巻になると、個々のニュースに対する細やかなリアクションが減り、
ただ情報を書き流すだけに見えてきてほとんどギブアップで流し読みした。
まあその辺も演出と捉えられないこともない。
いましろたかしは鈴木みその漫画などにパロディにされていて以前から興味を持っていた漫画家だ。
「原発幻魔大戦」は素朴な線でわかりやすい。「漫画」が上手い人なんだろうなと思う。
この作品以降はどうしてるのかなとツイッターを見に行ったのだが、
今はあまり積極的に情報発信はしていないようだ。
この漫画は後世に残るような気もする。
コロナ編とかあったら絶対読んでみたい。
驚くのがデモの打ち上げの飲み会に毎回若い女性が参加してるところである。
よく読み返すと、男やジジババばっかりだと寂しい奴らだとバカにされる、みたいな主人公の発想があり、その辺を理解して手配してくれる役割の人がいるようだ。運動の対外的なイメージを考えるというのは、けっこう重要で、やってる人が見落としがちなところだと思う。小林よしのりもその辺に心を砕いていた。
これが事実かどうかはともかく、ちょっとうらやましいなとも思ってしまう。
ただその女性が宇宙人の陰謀とか言い出すものだから、ああやっぱりなと思わなくもない。
繰り返しになるが、「ギャグなのかとも思ってしまうが、巻末対談を読むと作者はマジのガチ」なのである。田中康夫、孫崎享、金子勝と対談している。
いろいろ経済的な難しい問題はあるのだろうけども、
「あれをやった以上延長戦はねえっ!!」ここはすごく同感だ。
いつになるか分からないけど、
いつかどでかい地震が起こると誰もが確信してる日本ではリスクが大きすぎる。
あのとき日本は一度滅んだのだ。いまのこの世界は滅んだ日本人が見る夢の世界なのである。
この世の終わりか?
仕事帰りの車の中でニュースを聞きながら、そう思った。
あの頃の世間の空気を真空パックした漫画、そんな評に惹かれて購入してみた。
いましろたかし「原発幻魔大戦」全3巻。
原発幻魔大戦 コミック 全3巻完結セット (ビームコミックス)
- 作者: いましろたかし
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2013/07/25
- メディア: コミック
タイトルは「平井和正の幻魔大戦から拝借した」と後書きに書かれている。
そこは石ノ森章太郎を含めないんだ????
このところ幻魔大戦マイブームで購入した漫画は、これを含めて22冊になった。
小説まで読む気にはなってない。長そうだし。
「原発幻魔大戦」の主人公は漫画家でなく、普通のサラリーマン。
そこはなぜ作者にしないのだと思ったが、それじゃゴーマニズムか。
原発幻魔大戦は原発だけでなくTPP(環太平洋パートナーシップ協定)もテーマにしており、
その辺はゴーマニズムとも共通している。
比べると見えてくるものがある。
原発幻魔大戦の主人公は無力である。
清き一票でしかない。蟷螂(とうろう)の斧だ。
ツイッターに書き込んだり、デモに参加するぐらいしかない。
原発よ滅びよとひたすら念じ続けているだけのようにも見える。
敵はあまりに巨大である。
その辺がエスパー学生vs幻魔大王のような構図で、
まさに幻魔大戦のタイトルを冠するにふさわしいのかもしれない。
漫画「幻魔大戦」の東丈は「みじめったらしい野ねずみ」と蔑まれていたが、
原発幻魔大戦の主人公も世間から蔑まれたりもする。
総理大臣に対し「狙撃されちまえ」みたいなうかつな発言も飛び出す。
正直、あまりインテリジェンスを感じさせない。
すし食ったりAV見たりしながらも国政を憂う姿が描かれているのはリアルで、
ギャグとしか思えないのだが巻末対談によると作者はマジのガチである。
「うん みんな喰ってる」
「放射能よりタバコやめた方がいいです お大事に」
庶民にできることとしては結局のところ、
与えられた情報のどれを取捨選択していくか、
ということしかないっぽい感じがコミカライズされている。
「原発幻魔大戦」の主人公は、日刊ゲンダイへの信頼を表明してせせら笑われてしまう。
大昔コンビニでバイトしていた時、日刊ゲンダイはいつも一部も売れずに返品処理をしていた※ので、俺も爆笑の展開だったのだが、よくよく考えると笑えない。
※スポーツ新聞がほとんどであとは競馬新聞が少し売れるだけでゲンダイだけが売れてないわけではない
「ネトウヨ」
大手メディアが信用できなくなるのもわかるのだけど、
そうなると堅実でないメディアのデマに躍らされて、
取り返しのつかない暴走をしてしまう未来も垣間見えてしまう。
3巻になると、個々のニュースに対する細やかなリアクションが減り、
ただ情報を書き流すだけに見えてきてほとんどギブアップで流し読みした。
まあその辺も演出と捉えられないこともない。
いましろたかしは鈴木みその漫画などにパロディにされていて以前から興味を持っていた漫画家だ。
「原発幻魔大戦」は素朴な線でわかりやすい。「漫画」が上手い人なんだろうなと思う。
この作品以降はどうしてるのかなとツイッターを見に行ったのだが、
今はあまり積極的に情報発信はしていないようだ。
この漫画は後世に残るような気もする。
コロナ編とかあったら絶対読んでみたい。
驚くのがデモの打ち上げの飲み会に毎回若い女性が参加してるところである。
よく読み返すと、男やジジババばっかりだと寂しい奴らだとバカにされる、みたいな主人公の発想があり、その辺を理解して手配してくれる役割の人がいるようだ。運動の対外的なイメージを考えるというのは、けっこう重要で、やってる人が見落としがちなところだと思う。小林よしのりもその辺に心を砕いていた。
これが事実かどうかはともかく、ちょっとうらやましいなとも思ってしまう。
ただその女性が宇宙人の陰謀とか言い出すものだから、ああやっぱりなと思わなくもない。
繰り返しになるが、「ギャグなのかとも思ってしまうが、巻末対談を読むと作者はマジのガチ」なのである。田中康夫、孫崎享、金子勝と対談している。
いろいろ経済的な難しい問題はあるのだろうけども、
「あれをやった以上延長戦はねえっ!!」ここはすごく同感だ。
いつになるか分からないけど、
いつかどでかい地震が起こると誰もが確信してる日本ではリスクが大きすぎる。
あのとき日本は一度滅んだのだ。いまのこの世界は滅んだ日本人が見る夢の世界なのである。
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