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実名を出せない少年ジャンプ黄金時代回顧漫画、次原隆二の「少年リーダム」 [この人気漫画が面白くない]

「少年リーダム」全4巻を電子化完了。
少年ジャンプ黄金時代の立役者、西村繁男編集長の自伝「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』」のコミカライズだ。
リーダム4.png

なのに登場する雑誌や作品、人物は全て現実にあったものを、もじったようなタイトルになっている。

これは掲載誌が集英社の漫画誌ではなく、新潮社の「週刊コミックバンチ」だったことが大きいと思う。バンチは2001年に創刊。元ジャンプスタッフたちが大きく関わり、創刊前からアンチ・ジャンプの姿勢が大きく喧伝されたように記憶している。

「今のジャンプには「こち亀」以外読むものがない」と発言したのは編集長の堀江氏だったのかどうなのか、あまり記憶が定かでない。が、ジョジョ好きの私としてはそれも読まずに100巻超えたこち亀を褒めるような編集者は老害としか思えなかった。

そんなんだから集英社側にも大きく反発を抱かせたのは間違いないと思う。
「少年リーダム」では少年ジャンプの黄金期を描く漫画であるにも関わらず、絵もタイトルもオリジナルのものが使われておらず、徹底的に改変されている。

読んでいて相当うざい。
相当手間暇かけてレタリングから細かいとこまで修正している。
リーダム3.png

「アオイホノオ」「ハイスコアガール」のように実名使いまくりの攻めた漫画があるにも関わらず、こういう風に仮名で済ます漫画は大いに白ける。ちなみにアオイホノオの1年後発の漫画である。

百歩譲って、こういう漫画は自身と親しい作家の作品だけ実名になったりするものなのだが、原哲夫や北条司がバンチ側であるにも関わらず、名前と作品名すら「少年リーダム」では使わせてもらえないという有様になっている。

北斗の拳は「北斗神拳」、キャッツアイは「レディキャッツ」に改題。シティーハンターは「アーバンハンター」に改題されて作品に登場する。ちなみに原哲夫は原島哲、北条司は西条努に改名されている。ちなみに絵はこの二人のみ、オリジナルのものを使っている。この辺がよく分からないところだ。ちなみに一箇所だけ、少年ジャンプとシティーハンターの名前が出てくるところがある。これはうっかりミスなのか。
リーダム1.png

ちなみに原作者の西村繁男(しげお)は村西繁(しげる)に改名。
バンチの編集長である堀江信彦に至っては小出勇太という、全くもじってもいない改名がなされていて、深読みが尽きない。

そもそも少年リーダムってなんだって話である。
フリーダムなのかと思ったが、リーダー(読者)&キングダムを合成したものなのだそうだ。
リーダム2.png

ネーミングセンスが悪い。
全くジャンプをイメージ出来ないし。

 
こんな編集方針だからなのか。
バンチは俺の肌には合わなかった。
2001年に創刊した週刊バンチはジャンプ的ムーブメントを起こすことなく2010年に休刊。

俺が初めてバンチの単行本を買ったのは2018年の去年。
この「少年リーダム」と、「コンシェルジュ」の8巻のみである。
 
続く。

 

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩~ コミック 全4巻  完結セット

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩~ コミック 全4巻 完結セット

  • 作者:
  • 出版社/メーカー:
  • メディア: コミック



少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 1 (BUNCH COMICS)

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 1 (BUNCH COMICS)

  • 作者: 次原 隆二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/08/08
  • メディア: コミック

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独りアメトーク!どうしたゴブリンスレイヤー芸人 [この人気漫画が面白くない]

ゴブリンスレイヤーの漫画の新刊が一挙3冊も出た。

ゴブリンスレイヤー 7巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

ゴブリンスレイヤー 7巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2019/06/25
  • メディア: Kindle版

ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 4巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 4巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2019/06/25
  • メディア: Kindle版

ゴブリンスレイヤー:ブランニュー・デイ 2巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

ゴブリンスレイヤー:ブランニュー・デイ 2巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2019/06/25
  • メディア: Kindle版

去年の暮れ、世間的にも俺的にも大ヒットを巻き起こした作品だ。
さっそく電子化して(エラーチェックで二度読むのは面倒なので)3冊読んでみたのだが、これがまた首をひねるような内容だったのである。

正伝1巻、外伝2巻が今回の新刊のラインナップ。
正伝から読み始めたのだが、間違えて外伝から読み始めてしまったのかと思った。

絵の密度が薄い。
正伝から読み始めたのだが、間違えて外伝を手に取ってしまったのかと思った。
作画担当が変わったのかと思ってクレジットを確認してしまった。

話の密度も薄い。
ほとんど1巻通してラブコメ。
ゴブリン退治も無し。

最後にちょっとだけ戦い。
「風魔の小次郎」の影羽が出てきた。。。
影ばね.png
 
かねてから危惧してきたゴブスレラブコメ化問題。
なんか作者がやりたがってるのは薄々感じてきた。
なんども言うようだが作風に合ってないのではないかと俺は思う。

そもそもゴブリンスレイヤーは、いかにもなテンプレアニメ顔のRPG勇者一行が、ちょいとリアルに考証した世界観だったらこんな悲惨な目にあうぞという逆転の発想の作品である。男は嬲り殺され、女は犯される。戦場カメラマンが海外で体験したことのように。
戦場カメラ3.png
(山田玲司「絶望に効く薬」5巻

しかし女性描写は全然リアルじゃない。
童貞の妄想の域を出ない。
まあそう言う世代が好む作品だからそれでいいと言うのはわかる。
幼馴染のヒロインが巨乳をひけらかして生活していても、過酷な描写の箸休めとしてなら許されると思う。

ところが今回の7巻ときたら、ほぼ全編デートする話なのである。
午前に巨乳の幼馴染と。
午後に仕事先の受付嬢と、相手から懇願されてと言うあり得ないモテっぷりである。

おめかしして出てきた幼馴染の女の子の服がダサすぎて引く。
なんか見たことあると思ったら、ドラクエ3の女魔法使いみたいなカッコして出てくるのである。
あとで気がついたが、7巻の表紙になっている。

受付嬢の女の子も階段を登りながら、後に続く主人公に「ふふ。スカートの方が良かったです?」と言う謎のセリフを吐くのである。下着が見えなくてガッカリでしょう?ということだろうと思うのだが、こんな女はまずいねえ。よくあるラブコメのパンツ見せれば喜ぶでしょう的なオープンなキャラ設定が唐突に出てきた。つうか相手が朴念仁だと言うことはわかってるはず。

主人公のゴブリンスレイヤーって旧本郷ライダーっぽい風格を感じていたのだが、だんだんとエロゲー主人公にありがちな、前髪垂らして目が見えないキャラに見えてきたよ。。。

まあ旧1号が桜島1号になり、新1号になったように、怪奇性のあるコンテンツがヒットしてマイルドになっていくのは宿命かもしれない。連載が長期化して世界観が広がり、ファイヤーエンブレムみたいなキャラクターが増えても目を瞑るべきなのだろうと思う。だからこそ、ゴブリン退治にこだわる設定は捨てないでいただきたい。

作者はなかなかのやり手だと思う。
言い方は悪いが外伝を乱発して仕事しまくり、稼ぎまくりである。
今度は映画だそうだ。

折り返しの著者コメントを読んでも、正伝&外伝2冊それぞれの作画担当者に賛辞を送るというそつのなさで、却って鼻につくぐらいである。

これだけ稼いでいると、周囲からも接待されまくりで、お水のお姉ちゃん達からも狙われまくりなのではなかろうか。そういう売れっ子作家を捕食する専門の部隊もいると聞いたことがある。だから今、恋愛を描きたくなるのかなーと危惧している。

正直、今回刊行された3冊読んで、もうゴブスレ買うのやめようかなとふと思った。
特に外伝はいいかな。。。

あとね、主人公ってかなり臭いはずなんだよ。
獣の血を体に塗りたくって仕事してるから。
仕事着のままデートとかあり得ない。。。
だからラブコメやろうとすればするほど作品が崩壊するんだよ。。。

以上、チラ裏っす!

 

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40万部突破の山田近鉄「あせとせっけん」が面白いのに、俺が買わないでいるワケ [この人気漫画が面白くない]

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本屋で近年よく見かけるようになったお試し用の小冊子。
視覚的に見えやすい、売る側の努力である。
しかし、シュリンクは永久に不滅です!という決意表明にもみえる。

そのかぼそい導線を手に取ってみた中に、強く興味を惹かれる一冊があった。

「あせとせっけん」

やり手のイケメン香料デザイナーが、内気で巨乳なメガネ処女の体臭を嗅ぎまくるという漫画。小冊子の最後では、痴漢に襲われているところを助け、そのままホテルに連れ込んでやってしまうという結末だった。
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女の子のいい匂いというのがある。なんであんないい匂いがするのか。最近、これを研究して解明したとかいうニュースもあった。あれを嗅ぎまくれたら楽しいだろうなというのを気づかされたというのが、この漫画に惹かれた理由の一つ。

もう一つの理由は絵がいい。
すごくいい。
安心する絵だ。

現在発売されている単行本は二冊。
買えばいいじゃないかと思うだろう。
しかし俺はさんざん迷って断念した。

なぜか?
この内容でどれだけ続けられるのかというのが疑問だった。
1巻で終わっていたら即購入していたのかもしれない。

今気がついたのだが、買うからには完結まで付き合いたい。
そう確信できない漫画は家に置いておきたくないし、途中で買わなくなった漫画も家に置いておきたくないのである。

「あせとせっけん」はラブコメで、羞恥プレイが1巻における漫画の核だ。
連載が長期化すると、それだけで保たせられるかどうが疑問だ。
世界観、特に香料デザイナーのデティールに粗も出てきそうな気がする。

そもそも俺はあまりラブコメが好きではないのかもしれない。

どんなラブコメを所有してるのか振り返ってみる。
「電車男(原秀則版)」は後半はイチャラブばかりで内容があまり無いし、「八神くんの家庭の事情」は少女の頃から老けない実母という強力なコンセプトだが通して読むと出オチ感が半端ない。「富士山さんは思春期」は日常系のラブコメでフェチ感に溢れていて素晴らしいのだが、読み返したことがない。

「あせとせっけん」から連想する作品といえば、北崎拓の「さくらんぼシンドローム」がある。
せっけん3.png
同じく化粧品メーカーに勤める男女が主人公。ラブコメというよりストーリー漫画で、男女の機微をリアルに描いている(ような気がする)のがウリだ。素人の俺が満足するぐらいには業界のリアリティのレベルがある。結構俺の人格形成に影響を与えた漫画でもある。

結局のところ、お試し用小冊子1冊では判別がつかない漫画もあるということなのだ。
丸ごと読ませろ!立ち読みさせろ!ということで、前回のシュリンク撤廃希望の話につながってくる。まあ全部読んだところで買わないかもしれないんだけど。漫画喫茶に行け?置いてあるかなー。。。

話は変わるが、
いつも本屋で手に取ったものの、内容がわからないので「あとで検索しよう」と思って棚に戻してそのまま忘れてしまう漫画がある。今回は記事にしようと思ってたので、なんとなく覚えていたタイトルを検索して調べてみた。

「甲冑武闘」
実際に甲冑をつけて戦う格闘技イベントがあると聞いたことがある。そんな漫画かなと思ったが、鎧騎士の戦いについて考証した漫画っぽい。なんとなくそうかなと思っていたが、以前もお試しを何冊か読んで結局買わなかった作家の作品だった。イラストレーター的な作画なので表紙には強い吸引力があるが、ちょっと本編の画風が重い。今回も見送り。

「児玉まりあ文学集成」
「響」で少し文学に興味を持った。文学の要素を端的に表現したと思われるサンプル4ページぐらいを読んで、すぐ購入を決めた。

経営学者のドラッカー「顧客は自分が何を欲しがっているのか自分ではわかっていない」とかなんとか言っていた。俺もひょいひょい無作為に漫画を買っているようで、面白いと思いつつも購入を迷い続けている漫画もある。その辺に意識的になったことがあまりなかったので、今回赤裸々に考えてみた。

まあ死んでもビニールは剥がさん!という業界の態度もそれはそれでいいとも思う。
この件についてはあともう1回考えてみたい。

 

あせとせっけん コミック 1-3巻セット

あせとせっけん コミック 1-3巻セット

  • 作者: 山田金鉄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/04/23
  • メディア: コミック

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そのタイトルに二の足踏む!大人気のカルロ・ゼン「幼女戦記」はなぜ「ようじょ」なのか? [この人気漫画が面白くない]

カルロ・ゼンの「テロール教授の怪しい授業」を読んだ。テロとは何かを語った漫画で、その辺はすでに「ゴーマニズム宣言」で学んでいたので、それ以上のものは無かった。というか、ここからだろう!というところで終わってしまっているので惜しい漫画だと思う。ゴーマニズムはテロを肯定するとこまでいっちゃってるからな。

モヤモヤしたので、原作者のカルロ・ゼンについて調べてみる。なんか大作家感が名前からして鼻につく。そしたら「幼女戦記」の作者だということがわかった。このタイトルについては「なんだそりゃ?」「なんかヤバそうなタイトル!」と思って敬遠していたのだ。だって幼女だぜ?

アマゾンプライムにアニメがあったので見てみたが、その内容にぶっ飛んだ。

1:計算高い嫌われ者のサラリーマンが神様に殺される
2:異世界転生して幼女に
3:そこは第二次大戦のヨーロッパみたいな世界
4:魔法を駆使して空中戦を行う

なんという欲張りな内容だと思った。
アクションシーンが特によく出来ており(アイアンマン意識してるのかなー?)、かなり原作がリスペクトされていることが感じられる。俺はなんか消化不良気味で、これの1〜4のうち、どれか一つ削るのが収まりがイイんでないかと思ってしまうが。

まず「幼女」は外せないのだろう。
わざわざタイトルで使うぐらいだし。
繰り返しになるが、「幼女て」と思う。

「喧嘩に強くなりたい」とか「素敵な恋愛がしたい」だとか、漫画などのメディアは願望を擬似的に叶えるための装置という一つの捉え方ができる。それがあまり声高に言えないような種類のものだったり、ニッチすぎると批判が起こったりしてしまう。「幼女戦記」は「幼女に生まれ変わって無双がしたい」層のニーズに応えたもの?そんなニーズがあるの?と混乱してしまう。

子供になってしまう漫画は昔から色々読んだ。いま一番有名なものは名探偵コナンだろう。これも高校生の名探偵漫画じゃダメで、子供にならなくては成立しないと作者は思ったわけだ。子供が大人相手に無双する理由づけとして、若返った天才高校生が元の体に戻るための戦い、というストーリーになっている。

女になりたいという漫画も昔からあった。俺は幼女もダメだが性転換願望もダメなので、ちょっと苦手なネタだ。Kー1の石井館長が女子高生になるみたいに、時々オッサンが若い女になるようなギャップを利用したギャグとして使われる場合も多い。

女になりたい男の人、というのはわからんでもないのだが、幼女になりたいという作品がこれまであっただろうか。ただ、アニメ版を見た限りでは幼女は単なる記号である。神様から与えられたピンチの中の最たるものなのだが、心はオッサンのまま。体力は軍隊に入って銃をぶっ放したり、新兵をしごいたりできるぐらいで、幼女的リアリティも何もない。登場する軍人達も、幼女をほぼ大人扱いである。

せいり通.png
(普通こうなるのでは?画像は中津賢也「黄門★じごく変」
 
こないだ実家に戻って身内三人で集まってみれば、他の二人とも「幼女戦記」を見ていて好ましいと言っていたのでお口あんぐりである。片方の子持ちの腐女子は小説版で読めば色々わかると言っていたので、まあ保証はないけど読まなければわからない部分はあるのだろうなとは思う。もう片方の男の方は別に幼女好きでも、幼女になりたそうでもない。かなり純消費者に近い思考の人で、それほど作品に対する思い入れもない。タダだから見て楽しんで、忘れてしまうという感じだ。

みんなKー1の石井館長が女子高生になる〜みたいに、ギャップとして楽しんでいるのかもしれない。自分は宮崎事件で、もともと興味ない「幼女」というワードに危害を加えられたトラウマがあるので警戒心が半端ないので、どうにも視聴に抵抗が加わる。そもそも幼女になりたいニーズは本当にあるのか。それがそもそも偏見かもしれない。繰り返しになるが、幼女戦記における幼女は記号である。子供に軍服を着せたら可愛いよねーぐらいの意味なのかもしれない。

「幼女戦記見れるなら大西巷一の乙女戦争読めよ!長篠の戦いinヨーロッパだぞ!」
「嫌だよ!あれ戦場レイプとかあるじゃん!」

そんな会話をしましたが、確かに内容は乙女戦争の方がヤバい。これが幼女戦争だったら買えなかっただろう。カルロ・ゼンはなぜ乙女戦記ではなく、幼女戦記にしてしまったのか。乙女戦記だったら、こんな違和感をタラタラと書くこともなかったのかもしれない。

こういうタイトルをつけられ、広く受け入れられるのも、事件の記憶が薄れてきたというのがあるのかもしれない。それがいいことなのか悪いことなのか。人気作品になれば今後犯罪者の部屋から出てきて結び付けられる可能性も高い。その時に作者は、出版社は、ファンは、外野はどう対応するのか。何も起きないことを祈るばかりである。

 

[まとめ買い] 幼女戦記

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  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版



[まとめ買い] 幼女戦記

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  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版

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【追記あり】面白い。アニメも大ヒット中。次世代ジャンプ漫画、「約束のネバーランド」を自分が買わない理由。 [この人気漫画が面白くない]

実家に帰ると、「約束のネバーランド」が全巻あった。
アマゾンプライムでアニメを見て、家族が購入したらしい。

自分もプライムでアニメを見ていた。
オープニングの作画が原作そっくりで、本編も素晴らしいのだろうと想像して、そこで視聴をやめた。そもそも原作が素晴らしいので、別にアニメになってまで見たいとは俺個人は思わない。漫画を読まない人も多いので、アニメにする意義はある。

原作は素晴らしい、と思うのだが自分は単行本を買おうと思わない。
というか、「好きだ」とは思うのだが、限りなく温度は「普通」に近い。
それがなぜなのか。

感覚は人それぞれだし、加齢で保守的になるという理屈もわかるが、流行ってる漫画を受け付けられないということに悔しさも感じるので、もうちょっとこの作品について考えてみたい。

 
「約束のネバーランド」は少年ジャンプ連載のストーリー漫画だ。「漫道コバヤシ」で年間大賞を受賞して、その存在を知った。舞台はあたたかな孤児院。里親が見つかると少年少女たちが一人、また一人と施設を出て行く。しかしこの孤児院の実態は、人喰いの化け物の食卓へ孤児を出荷するための、養育施設だった。その事実に気づいた少年少女たちは知恵を振り絞り、「ママ」の監視をかいくぐり、孤児院からの脱出に挑むという話。

少年ジャンプらしからぬストーリー。
バクマン。」で、大場つぐみがいうところの「邪道漫画」である。ちなみに主人公は女の子。敵役である「ママ」から連想して、そういう発想が必然になったのだと推測する。漫道コバヤシで、作画担当がフルフェイスヘルメットで登場したが、原作者は頑なに露出を拒んでいたので「ははーん、大場つぐみが書いてるんだな」と思ったが、それは違ったようだ。

「人喰いの化け物」というのは、近年のヒット作「進撃の巨人」にも通じる。
今の子ってよっぽど人喰いが怖いんだなと思ってしまう。まあ怖いんだろうけどさ。自分世代でも「寄生獣」があった。自分が「約束の〜」を今ひとつ受け入れられない理由にそこがあるかもしれない。頭脳戦であることも寄生獣と共通している。

自分が小学生の頃に読んで、トラウマになるほど怖かった人喰い漫画がある。確かコロコロコミックか何かで、誰か書いていたかも覚えてない短編。ある日、何か眩しい光が街に降り注ぐと、街の人がみんなおかしくなり、虫とかトカゲとか食べ始めるような内容だった。たまたま光の照射を逃れ、正気を保っていた主人公も、最後にはおかしくなってしまうことで危機を脱するが、父母に食べられてしまうというオチだったと記憶している。満田拓也の「メジャー」に、すごい似てると感じるシーンがあるのだけれど。
【追記】久間まさあき「滅びの魔光伝説」(1986年)でした!


人喰い要素通過済みという以外にも、「約束の〜」が受け入れられない理由がないか考えてみる。
そもそもこの漫画、アメリカ映画でありそう。TVドラマかな。で、これがアメリカ映画だったら、多分あまり自分は興味を示さないだろうなと思う。アメリカ映画だからどうだということではなく、自分にとっての萌え要素がそこにないという、性癖の問題なのかもしれない。

 
それでも「約束の〜」で主人公たちが施設を脱出するまで、外の世界がどうなっているのかということはものすごい想像力を掻き立てられたが、実際わかってみれば「ふーん。。。」という感じである。ぶっちゃけ脱出後はパラパラとしか読んでいない。オチがどうなるのか、そこだけ読みたい。

それまで擬似親子の対立を頭脳戦でやっていたから大人vs子供が成立していたのに、脱出後は単なる大人と子供の肉弾戦に変化してしまい、新しい敵キャラが小物に見えてしょうがないという不満もある。

この作品、深読みすれば家畜とは何かということを考えさせられるのかもしれない。
食べるために飼っている牛や豚が反乱を起こしたら。
それは馬鹿馬鹿しい妄想ではあるのだれど、菜食主義者が精肉店やレストランを襲撃するという事件が海外では実際に起きている。

食べてはいけない動物はあるのだろうか。
クジラはよく話題にされる。イルカも近年話題になった。アジアの国は犬を食う。どれも自分は食いたいとは思わないけども、文化としてあるのなら他がとやかく言うことではないと思う。それは偽善の中でもかなり悪質な干渉だと思う。

ネタバレだが「約束の〜」では、実は主人公の知らないところで人類と人喰いの化け物が共存している。主人公たちは世界平和のための生贄なのである。この世界観は面白いし、深いと思う。ここを掘り下げてくれたら、単行本を買うかもしれない。もっとも、偏屈な読者を一人増やさなくても、「約束のネバーランド」はメガヒットしてるし、次世代の漫画読者の常識の一冊になっているのだろうけども。

【追記】沙村広明の「ブラッドハーレーの馬車」を忘れていたよ。一見楽園に見える孤児院が実は。。。という構成が同じ。これ読むと食われる方がマシと思う。沙村広明作品だから所有してるけど、あまり面白い漫画とは思わなかったので、記憶から消してたよ。。。
 

[まとめ買い] 約束のネバーランド

[まとめ買い] 約束のネバーランド

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版



ブラッドハーレーの馬車

ブラッドハーレーの馬車

  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • メディア: Kindle版

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東田の誤植で車田正美のペンネームが生まれた!…というガセネタは本人の自伝から!車田正美「藍の時代」 [この人気漫画が面白くない]

車田正美「藍の時代-一期一会-」を電子化した。
あの聖闘士星矢、リングにかけろの作家の自伝である。

2000〜2009年に連載された「リングにかけろ2」で、漫画家としてすでに死んでいることが発覚した車田正美だが、2015年のこの作品はだいぶ持ち直しているなという印象。それでも全盛期に比べれば、介護の人がついて日常生活をおくれるぐらいのリハビリ度だ。というか、よく見るとアシスタントが背景頑張ってんなという感想を強く持った一冊だった。
藍の時代2.png
(ちょっと鍋のデカさが気になるけど。。。)

自伝ではあるが、かなりリアリティーが薄い。
ヤクザになった友人が刺されて死にかけながらポストに投函しようとしたアンケートハガキが風に吹かれて作者の元まで届いただとか、デビュー前の本宮ひろ志の原稿を拾って読んでいただとか。打ち切りになった平松伸二の「そして僕は外道マンになる」もドキュメンタリー漫画適正の無さを端々に感じたが、「藍の時代」はそれの比ではない。

何しろ車田正美がジャンプではなく、チャンピオンに持ち込んでヒットを飛ばすというストーリーになっているのである。現在の主要取引先に配慮したとか、雑誌名をもじったとかそういうレベルの話ではない。秋田書店の伝説的編集者である壁村耐三と二人三脚で「リングにかけろ」を作ったとかいう話になっているのである。
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(リング階段は一応出てくる)

車田正美的にはエンタメに徹したのだとインタビューで語っているが、ファンとしてはまあ興ざめである。出版社も諌める人がいないのではないか。諦めてこの作品を「自伝ではなく超自伝」なのだとして売り出している。宮下あきらぐらいの馬鹿話にできるのなら「超自伝」でもいいのだが、「藍の時代」に関しては滑り倒した上に秋田書店デビューという脚色でトドメを刺したような結果に終わっているように感じる。

そもそも車田正美は何度も自分を主人公にした漫画を描いており、それらは「実録!神輪会」として単行本にまとめられている。読み返してみたが、いずれもクオリティが高い。ギャグがキレッキレだ。初期の「リングにかけろ」における高嶺菊のネームも勢いが素晴らしく笑えるので、全盛期にはギャグ漫画適正あったのだろうと思う。

神輪会の自画像はいずれも作者の特徴である唇を強調して描かれており、記号的なキャラクター造形を脱したリアリティある表現になっていると思う。藍の時代はそもそも作画が見てられないレベルな上に、唇を強調することを忘れてしまったのか貧相な記号に堕してしまった。
藍の時代1.png

「藍の時代」について検索したら、ダヴィンチニュースの車田正美インタビューがあった。まずダヴィンチがインタビューするほどの作品なんだ?ということに驚きだ。編集者が車田正美ファンなので会いたかったのか、何かしら秋田書店に借りがあったのか、売り込みに断りきれなかったのかとしか思えない。インタビュアーはべた褒めしてるけれど。まあ俺以外はみんな「藍の時代」を面白いと思っているという可能性も無くは無い。

メイキングインタビューを読んでいると、何それ面白そう。それを描けよ!と思ってしまうことが多かった。
--------------------
─このエピソードでは、やはり「健さん」がメインだと思いますが、この人は実在の人物ですか?

「そうだね。やっぱり高倉健さんは『男』の象徴なんだけど、それとダブらせた本物のヤクザ者の『健さん』。この人のモデルはひとりじゃなくて、何人ものエピソードを入れてるんだよ。当時の下町にはあんな人たちがたくさんいて、行儀のこととか注意されたりしてたな」

─宇津木刑事との交流も描かれていました。

「もちろんああいう人もいたよ。ちょうどウチの前に警察署があって、子供の頃なんてしょっちゅう出入りしてたな。2階に道場があったから、そこで柔道も教えてもらってたよ。でも警察署に出入り自由って、今では考えられないよな(笑)

─持ち込みをしている時に、中村さんという人に出会いますが、この人は……

「そうそう、その人もいるわけだよ、実際の人物が。アシスタントをやってる時にも、いろいろな人が井上さんのところに出入りしていた。それでお金を借りに来るんだよね、3歳くらいの子供を連れてさ。それで井上さんも貸しちゃうのよ(笑)。それを見て、漫画家ってのはホントにキツイ仕事なんだなって。デビューしたからどうにかなるもんでもないなって思ったよ」

─第5話は、親友のジュンとのエピソードが中心ですね。

「うん、彼も実在の人物。もちろんあんなに美少年じゃなかったし、絵が好きなやつでもなかったけど。昔は病気を持ってる人って結構いたんだよね。草野球やってたら突然倒れて、こっちは『何ふざけてんだ』とか思ってさ
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劇中では主人公の姓「東田」の誤植により「車田」のペンネームが生まれたとなっており、面白いと思ったのだが。。。
藍の時代4.png
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─自伝ではデビュー作の掲載時、「東田正巳」の名前が「車田正美」になっているわけですが、この辺りのお話を聞かせてください。

「これは事実とは逆の発想でね。『ヤングジャンプ賞』に応募した時『今後、期待ができる』みたいなところに名前が載ったんだけど、『東田正美くん』って間違えられたんだよ(笑)。だから本編では逆に使ってみたんだ
--------------------
なんと本姓はまんま「車田」で、逆に「東田」と誤植された思い出を逆手に取ったのいうのが真実だったのだ。
まぎらわしすぎるよ!

ちなみに、ジャンプでなくチャンピオンに持ち込んだと脚色した経緯については、
--------------------
─『週刊少年ジャンプ』ではなく『週刊少年チャンピオン』に持ち込みますが、この辺は掲載誌を意識してのことでしょうか。

いや、ひねったんだよ。自伝漫画って、事実の通りに描くとつまらないんだよな。そもそも人ひとりの人生に、そんなに山や谷、嵐があるわけがない。平和な時代に生まれた人間なら、特にね。だからそのままジャンプに行ってデビューしたら、あまりにもひねりがないじゃない。そこを膨らませて、チャンピオンに行ったんだよ
--------------------
先生!
そこひねるとこじゃ無いですから!
膨らんで無いですから!
アメリカでデビューするとかならまだしも!

ちなみに車田先生は続編にも意欲を見せているらしい。
今や島本和彦が「アオイホノオ」で引用するぐらい、俺ら世代の漫画史考える上で再検証が行われなければいけない作家である。もっとちゃんとしたブレーンがついて欲しい。。。

 
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整形にポジティブな時代にある意味貴重かも。愛内あいるの「自分の顔が嫌すぎて、整形に行った話」 [この人気漫画が面白くない]

愛内あいるの「自分の顔が嫌すぎて、整形に行った話」を買ったが、これが最近の俺の中ではぶっちぎりのハズレだった。
永田カビっぽい表紙で結構絵も上手そうで期待感があった。

自分の顔が嫌すぎて、整形に行った話 (コミックエッセイ)

自分の顔が嫌すぎて、整形に行った話 (コミックエッセイ)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
  • 発売日: 2018/11/30
  • メディア: Kindle版

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/12/10
  • メディア: Kindle版

ピクシブで大人気になっての書籍化とのことだったので、事前に読んでおけば良かったと後悔。

「こういうのを期待してたのに」というのが宮本茂流のダメ出しなのだそうだが、それに従って自分にとってダメだった理由を考えてみる。

作者が思ったより普通の人だった、からかもしれない。
ペンネームも正直どうかと思う。

容姿にコンプレックスがあって。
人生これからの19歳で。
整形して彼氏もできたけど定着せず、結局劣等感は消えないまま。
でも前向きに生きていこうね。

と言う内容。
普通だ。
だから文句言うのもためらわれる。

しかし1000円払っちゃったので、俺が独り言呟くぐらいはいいだろうと思うので、引き続き書かせていただく。

整形したのが二重まぶただけというのが最大の拍子抜け部分だ。
そんなもん小林よしのりだって2ページで済ませている内容だ。
ハマーン1.png
大島渚は整形観についてゴーマニズムで批判されているのに、作者に会った時に作者に「愛読してます」と伝えられるんだから偉大だと思う。ボキャブラ天国好きだったなあ。
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俺はこの「自分の顔が嫌すぎて〜」という漫画を読んで、もっと男ウケを徹底的に分析してあちこち整形しまくって、それなり効果を上げて本人も満足という内容を期待していた。「この女したたかだなあ〜!女版曹操孟徳みたいだ!という読後感が持ちたかった。そう考えると、俺が文句を言いたいのは作者にではなく、出版社に対してなのかもしれない。

ミスコンの自作自演で炎上したにも関わらずモデルとして堂々活躍している井口綾子さんぐらいのキャラを期待していたのだ。 ハマーン4.png
井口さんの自伝が出たら是非読んでみたい。タイトルは「赤壁で焼死しかけても堂々生き続ける私は乱世の奸雄」で。

 
最近の女の子は整形にポジティブだ。
職場のバイトの若い女の子4人の食事会に混ぜてもらった時に色々ヒアリングしたのだけれど、AV女優の顔が憧れだと調子を合わせているのだから時代が違うのだなと愕然とした。だからこそ、「自分の顔が嫌すぎて〜」は普通だなと落胆が大きかったのかもしれない。

 
さて1000円で買ってしまったこの本をどう楽しめばいいのか。
ピンクを基調としたオールカラーの本なのだが、主人公がハマーン・カーンっぽいことに気づいた。あの人も目が細い方で、ハマーンの若き日の話と思って読めば、結構面白いのかもしれない。
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ハマーンカーン 1/8 (アトリエイット)

ハマーンカーン 1/8 (アトリエイット)

  • 出版社/メーカー: ノーブランド品
  • メディア:

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下書き掲載に度重なる休筆、それでも支持される冨樫義博とはなんなのか。 [この人気漫画が面白くない]

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幽遊白書の終盤で引っかかっているシーンがある。
「妖怪は滅多に悪さをしない。悪さをするのは操られた妖怪。」とか言い出したところ。漫画の設定を根幹から揺るがす、ちゃぶ台ひっくり返しである。でも作品をどう読み返しても、そういう風には読めない。そりゃそうだ。そんなことを微塵も考えて描いてないんだから。

なんでこんなこと言い出したんだ?
発言の真のニュアンスは何かと考えると、「悪いのは全て人間」「他の生き物は心が綺麗」ってことが言いたいんだなと思った。で、こういうところに「キャーッ」という黄色い声が聞こえてくるのである。中二病だ。

幽遊白書は好きな漫画ではなかった。
極端に悪く言えば、作家性を諦めた漫画家のパクリ漫画だ。だが最後の作者が壊れていく様は非常に惹かれた。壊れていく作家がやるからこそ、パクリもドラマの一部に感じた。そういう人は多かったと思う。アンケート至上主義の犠牲者として冨樫は今後、世捨て人のような漫画家になるとみんな思った。それが「ハンターハンター」で、コッテコテの少年漫画を始めたものだから、皆ズッコケた。あの壊れていく様こそが冨樫の作家性だと思っていたが、そうではなかった。結局のところ、幽遊白書の終了騒動とは、耳障りの良いだけの拗ねた中二病の青年の主張だったのだと思う。

しかしただの中二病では無い。
中二病の求めることを理解し調達し供給できる一流の中二病だ。
憧れたが叶わなかった鳥山、荒木、萩原に匹敵するオリジナルの作家性がそこにはあったのだろう。ハンターハンターで度重なる休筆や、下書き状態での掲載など、作家の倫理を覆すことを繰り返しても、あの天下の少年ジャンプで特別待遇をうけ続けられるほどの読者の支持を集めている。

 
ハンターハンターは1巻で挫折したが、そのうち続きを読んで見たい。
キメラアント編が面白いとかよく聞くが、どんなんなんだろう。

 




先生白書

先生白書

  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: Kindle版

タグ:冨樫義博
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逃げても非難できない事ってあるけど賞賛されたいって何?吉野源三郎「君たちはどう生きるか」が読みたくない [この人気漫画が面白くない]

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

  • 作者: 吉野源三郎
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


「君たちはどう生きるか」、言わずと知れた大ベストセラーだ。
最初本屋で平積みをされているのを見たとき、こんな漫画が売れてるのは嫌だなあと思った。だが、その後、その時よりもっともっと売れてしまうのである。

宮崎駿が映画化すると言ったのがキッカケのような気がするのだが、それが小説のアニメ化なのか、ただ同じタイトルなだけなのかがイマイチはっきりしない。

なんとか読まずに知らん顔してやり過ごせないかと思っていたところ、小林よしのりがゴーマニズム宣言(週刊SPA!2018年 7/17・24 合併号)で批判的に取り上げた。
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俺が解釈したところによるあらすじ。主人公は意識高い少年で、いじめられていたクラスメイトを助けられない事でうじうじ悩んでいた。叔父さんに相談すると、「悩むだけ人としてマシ」と慰められる。そこに颯爽と現れたヒーローがいじめ問題を解決してしまうが、今度はそのヒーローがいじめの標的になる。今度こそ自分もヒーローたらんと公言していたが、勇気が出ず、他のいじめに立ち向かう友達も見捨てて逃亡。自己嫌悪に陥るが、また叔父さんに慰められて勇気を出して謝罪したらみんな許してくれたという内容なんだそうだ。
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小林氏は『学校の教師が、コペル君をまとめ買いして生徒に読ませるのは、「反戦平和」の性根を生徒に植えつけるための材料になるからだろう。いざとなったら、戦う勇気なんて要らない。傍観して言い訳を考えていればよいと。分析している。
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すげー腑に落ちる。

まんま「他の国に攻められたら降伏しちゃえばいい」の人の思考じゃないすか。

逃げたとしても、誰も非難できない事ってあると思うけど、賞賛までされたい心理ってなんなんですかね。エヴァンゲリオンですかね。そこは「恥を知れ」じゃないんですかね。
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納得しすぎて、逆にこれは読んでないのはイカンと思い、でも金払いたくないので近所の漫画喫茶の会員になったが、なんとそこには置いてなかったのである。さらに近所の本屋に行ったら立ち読み用に一冊置いてあったのでトライして見たが、本作の目玉である「叔父さんからの手紙」が全部文字だったので読む気をなくした。ちなみにあとで調べたところ、漫画では重要な部分で省いたところもあるという。今後、読むとしたら小説版かなあ。。。

 
最後に、この本について調べていて見つけた、ホストさんの感想が面白かったので以下に引用する。

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僕は、本当に大事なことは、もめごとの「問題」を乗り越えることではなく、複雑な事象をそのまま、ずっと忘れないで覚えておくことだと思う。

ホストクラブの経営者になってみると、組織には絶対に「山口君」のような、いじめっ子タイプはいることに気づきます。ただ、誰もがいつでも山口君みたいになるし、100%の悪者はいないし、100%の正義もありません。

経営というのは、組織全体を、"ややっこしいもの"として、動かし続けるということです。そうしないと、加害者と被害者が入れ替わる瞬間とか、複雑だけど、大事な出来事を見逃します。

「君たちはどう生きるか」では、山口君の心の葛藤は描写されず、ひねくれた性格は解決されませんよね。僕はそれがいいと思う。むしろコペル君のように、反省や学びがあると、もめごとが、うまく処理されてしまって、かえって忘れられていく気がする。

白黒はっきりしないグラデーションの中で、社会が回っていくことの尊さも忘れないでほしい、そう思います。それが、40歳の大人ならではの、「君たちはどう生きるか」の読み方じゃないすかね。
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『君たちはどう生きるか』 40歳おじさんはどう読んだらストンとくる? 歌舞伎町ホストの答えとは…
https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/03/kimitachiwadoikiruka-40toshiojisanwadoyondarasutontokuru-kabukichohosutonokotaetowa_a_23375864/

 

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

  • 作者: 吉野 源三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/11/16
  • メディア: 文庫



君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか

  • 作者: 吉野源三郎
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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月曜日にモヤモヤする、いとうみきおの「月曜日のライバル」 [この人気漫画が面白くない]

月曜日になると、「あ、ティーバーで『探偵ナイトスクープ』見なきゃ。」「『キン肉マン』と『超人様』読まなきゃ」となるのだが、「あ、時々更新されてる『月曜日のライバル』」読まなきゃとも思う。

「月曜日のライバル」1巻が出た。
知人に勧めて見たら、パラパラ読んで「表情が死んでんな」とのコメント。
確かに硬いんだよな。
これだけキャリアが長くてコレということは、多分直らないんだろうけど。

 
今朝、更新されてるかなとサイトをのぞいて見たら、本日更新のようだけどまだアップされてなかったので、前回の話の第8話を読み直す。

8話はチーフが抜けてイラつく和月伸宏と、それに反抗する武井宏之が一触即発の状態になるという展開だった。シャーマンキングをあまり読んでないので、しあわせのかたちでしか武井宏之のキャラを知らないので、こんな武闘派なノリの人だったとは意外だ。「返事しないとどうなる?」はヒリヒリする良いセリフだった。実際に言ったのだろうか。想像してしまう。
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この8話はなんか変な読後感がある。
作画のクオリティアップのために手段を選ばなかった和月伸宏に反発した武井が、主人公のいとうみきおに諭された上に彼の秘めた才能を感じるという構成。

しかし武井の「仕事場での待遇改善を望んだ」というセリフが昨今の「漫画アシスタントの仕事は労基法違反」というニュースを連想させてしまい、小骨に引っかかる感がある。結論が、「プロになったら同じことをするかもしれないから免罪符になる」なのも労基法問題に対する答えと合致しているようで生々しい。それなら陳腐でも「全国のちびっ子たちが楽しみに待ってるんだ!作画の妥協はありえないぜ!」の方が読後感がよかったのでは。
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同じような話は島本和彦の「燃えよペン」にもある。こちらはなんか男らしい感が出ている。
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この漫画はもっとブラックジョーク全開に攻めてくるのを期待していたが、色々中途半端で残念に思うことが多々ある。

この漫画には鉱脈が2つあると思う。

●漫画家としてリアルで失敗した(と世間一般には思われているであろう)作者が主人公なのに、秘めた才能を感じさせる主人公という少年漫画のフォーマットに落とし込んでいるというギャグ。

●リアルでは児ポに引っかかっている人物を、人格者的ポジションに設置せざるを得ないギャグ。

どちらも中途半端だ。
今回の和月が人によって態度を変えているという描写、武井がいとうを認めるシーン、どちらも面白いのだが、掘り出し方が全然期待にそぐわない。もっと掘れるでしょ!と思うと歯がゆい。そこが鉱脈だと作者が思ってないのかもしれない。

8話も「免罪符」というまとめ方をするなら、労基問題をもっと前面的に押し出した上でそういう結論にした方が、コンプライアンス的にはアウトだけども、心情的には共感できるし、「この漫画がすごい!」と感じたと思う。

 
鉱脈鉱脈言っていたら、「風雲児たち」の平賀源内を思い出す。
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このマンガがすごい! comics 月曜日のライバル メガヒットマンガ激闘記 1 (このマンガがすごい!Comics)

このマンガがすごい! comics 月曜日のライバル メガヒットマンガ激闘記 1 (このマンガがすごい!Comics)

  • 作者: いとう みきお
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: 単行本

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