サイボーグ漫画開発競争?一番乗りは妖怪漫画の第一人者、水木しげる「サイボーグ」 [心に残る1コマ]
サイボーグとは宇宙人間のことぢゃ。
インパクトのあるセリフだなと思う。
初出1961年の横山光輝「鉄人28号」での台詞。(画像は原作再現版13巻)
単行本化の際に「サイボーグス」に直されたようだ。
サイボーグのwikiはこうある。
>アメリカ合衆国の医学者、マンフレッド・クラインズとネイザン・S・クラインらが提唱したのが1960年。当初は人類の宇宙進出と結び付け考案された。この提唱よりも前にSF小説でこのアイディアは使用されていた。
サイボーグは最初、宇宙と結びつけて語られるものだったのだ。
惑星開発用に改造された仮面ライダースーパー1は、かなり正統派なサイボーグと言える。
ちなみに、
石ノ森章太郎の「サイボーグ009」開始は、横山よりも3年遅い1964年ではあるが、
サイボーグという言葉を一般に浸透させたのは間違いなくこの漫画なのだろう。
「サイボーグという言葉は石ノ森章太郎が作ったという都市伝説が生まれ、辞書にまで載った」という意味のことを過去にBS漫画夜話で呉智英が語っている。
横山知識でいつも助けていただいているひらさんに鉄人28号の掲載誌である「少年」の1961年2月号のグラビアで、サイボーグ(サイボーグス表記)の紹介記事があったことを教えていただいた。鉄人でのカットはグラビアを参考にしたことは間違いない。
なんとなくチャンピオンシップロードランナーの箱絵を連想するのは私だけだろうか。
リプライもらって気がついたが、
手塚治虫「鉄腕アトム」の犬にサイボーグ手術をする話、
「ホットドッグ兵団」は「少年」1961年3月号掲載。
整理するとこうなる。
「少年」1961年2月号に「サイボーグス」を紹介。
「少年」1961年3月号に手塚治虫「鉄腕アトム」のサイボーグ犬漫画、ホットドッグ兵団。※
「少年」1961年6月号に横山光輝「鉄人28号」の超人間ケリー回でサイボーグの解説
※ただしアトムの内容は単行本サンコミックス版1巻で確かめただけなので、改稿されている可能性もある。エピソードも8ヶ月かけて完結させているので、どこでサイボーグという言葉が出てきたのかも興味深い。手塚治虫による単行本前書きによると、1958年ごろにサイボーグという言葉が使われだしたという。
で、
昨年末に教えてもらって忘れていたのが、
水木しげるが1960年に描いた「サイボーグ」。
コレを書いている現在、日本漫画史上初のサイボーグ漫画っぽい。
知識だけだと忘れてしまうので、実際に「サイボーグ」を読んでみた。
「水木しげる怪奇貸本名作選不死鳥を飼う男・猫又」に収録されている。
どんなデザインのサイボーグが出てくるのかと思いきや、こんなんだった!
ミニオンズに似てるというリプライがあり、衝撃を受けた。確かに。。。
加藤直之が描いた、バーサーカーに似てるという意見もある。
水木「サイボーグ」には、1970年に描いたリメイク版があるというリプライもいただいた。
妖怪ワンダーランドという文庫版短編集の7巻に収録されており、積ん読だったのですぐ読めた。
タイトルは「ベーレンホイターの女」。
宇宙開発のためにサイボーグに改造され、人間ならざるものになってしまった男の悲哀、
1960年版「サイボーグ」と基本的なスジは同じだ。
このエピソードは水木作品の中では割と人気作であるらしい。フィギュアも発売されている。
http://www.sunguts.com/bealen.html
その部分、赤いんだ?というのが面白い。
水木しげるのサイボーグはフンをすると黒い球になって背中の容器に落ちる。
ベーレンホイターの女も同様である。いかにも水木らしいアイディアだと思った。
漫画家史上最も早くサイボーグ漫画を描いた水木しげるは、
いったいぜんたいどんな海外誌からネタを仕入れたのか?
ちなみに「サイボーグ」にはアメコミをそのまま描き移したカットがあり、他作品にも流用している。
調べてみると、「サイボーグ」について割といろんな人が調べているのだが、決定打と思えるリプライをいただいた。
https://ketola-ka-makhetlo-10000.blogspot.com/2012/04/blog-post_12.html?m=1
この記事によると、
水木がソースとしたのは海外誌ではなく朝日新聞夕刊!1960年10月17日
決定打と思えるのは新聞記事を引用したこの部分。
「排泄物は再利用できないわずかの最終産物だけを背中の小さなカンの中に集める」
「サイボーグ」の描写は水木しげるの想像一辺倒ではなく、ソースにあるていど忠実だったとは驚いた!
(画像は「ベーレンホイターの女」)
1960年の作品なので、10月中旬に見つけて、そこから年内に間に合わせたということになる。
かなりタイトなスケジュールだが、不可能でもない気がする。貸本漫画だし。
ちなみに「サイボーグ」初出は1960年が定説だが、収録の文庫版は1961年とされていた。
1964年に石ノ森章太郎は「サイボーグ009」を始める。
サイボーグの知識は、1961年8月から3ヶ月間の世界旅行中に飛行機内で読んだ「LIFE」。
以下のブログによると、LIFEが初めてサイボーグの記事を載せたのは1960年7月11日号なのだそうだ。
https://ameblo.jp/mangetsuhakase/entry-12630324189.html
1965年、水木しげるは「テレビくん」でついにメジャーデビューを果たすが、
講談社の最初の依頼は「宇宙もの」だったので、水木は一度断ったという。
ひょっとするってえと講談社はサイボーグを読み、水木版サイボーグ009を期待していたのではないか。
それこそミニオンズだ!Σ(°Д°;
それにしてもインターネットの集合知は素晴らしい。
あるのかどうか?水木氏よりも早いサイボーグ漫画の情報もお待ちしています。
インパクトのあるセリフだなと思う。
初出1961年の横山光輝「鉄人28号」での台詞。(画像は原作再現版13巻)
単行本化の際に「サイボーグス」に直されたようだ。
サイボーグのwikiはこうある。
>アメリカ合衆国の医学者、マンフレッド・クラインズとネイザン・S・クラインらが提唱したのが1960年。当初は人類の宇宙進出と結び付け考案された。この提唱よりも前にSF小説でこのアイディアは使用されていた。
サイボーグは最初、宇宙と結びつけて語られるものだったのだ。
惑星開発用に改造された仮面ライダースーパー1は、かなり正統派なサイボーグと言える。
ちなみに、
石ノ森章太郎の「サイボーグ009」開始は、横山よりも3年遅い1964年ではあるが、
サイボーグという言葉を一般に浸透させたのは間違いなくこの漫画なのだろう。
「サイボーグという言葉は石ノ森章太郎が作ったという都市伝説が生まれ、辞書にまで載った」という意味のことを過去にBS漫画夜話で呉智英が語っている。
横山知識でいつも助けていただいているひらさんに鉄人28号の掲載誌である「少年」の1961年2月号のグラビアで、サイボーグ(サイボーグス表記)の紹介記事があったことを教えていただいた。鉄人でのカットはグラビアを参考にしたことは間違いない。
なんとなくチャンピオンシップロードランナーの箱絵を連想するのは私だけだろうか。
リプライもらって気がついたが、
手塚治虫「鉄腕アトム」の犬にサイボーグ手術をする話、
「ホットドッグ兵団」は「少年」1961年3月号掲載。
整理するとこうなる。
「少年」1961年2月号に「サイボーグス」を紹介。
「少年」1961年3月号に手塚治虫「鉄腕アトム」のサイボーグ犬漫画、ホットドッグ兵団。※
「少年」1961年6月号に横山光輝「鉄人28号」の超人間ケリー回でサイボーグの解説
※ただしアトムの内容は単行本サンコミックス版1巻で確かめただけなので、改稿されている可能性もある。エピソードも8ヶ月かけて完結させているので、どこでサイボーグという言葉が出てきたのかも興味深い。手塚治虫による単行本前書きによると、1958年ごろにサイボーグという言葉が使われだしたという。
で、
昨年末に教えてもらって忘れていたのが、
水木しげるが1960年に描いた「サイボーグ」。
コレを書いている現在、日本漫画史上初のサイボーグ漫画っぽい。
そう考えると仮面ライダースーパー1はかなり正統派なサイボーグだったんですな!Σ(°Д°;
— ムゲンホンダナ(本棚持ち歩き隊) (@hondanamotiaru) December 28, 2023
知識だけだと忘れてしまうので、実際に「サイボーグ」を読んでみた。
「水木しげる怪奇貸本名作選不死鳥を飼う男・猫又」に収録されている。
水木しげる 貸本名作選 怪奇 不死鳥を飼う男・猫又 (ホーム社漫画文庫)
- 作者: 水木 しげる
- 出版社/メーカー: ホーム社
- 発売日: 2008/04/18
- メディア: 文庫
どんなデザインのサイボーグが出てくるのかと思いきや、こんなんだった!
ミニオンズに似てるというリプライがあり、衝撃を受けた。確かに。。。
タカラトミーアーツ ミニオンズ2 ぬいぐるみS スチュアート (パイロット) 高さ約24cm
- 出版社/メーカー: タカラトミーアーツ(TAKARATOMY A.R.T.S)
- 発売日: 2021/06/26
- メディア: おもちゃ&ホビー
加藤直之が描いた、バーサーカーに似てるという意見もある。
おおっ、パーカーと晩餐会の元ネタだ!Σ(°Д°;
— ムゲンホンダナ(本棚持ち歩き隊) (@hondanamotiaru) May 5, 2024
加藤直之だったのか。
水木「サイボーグ」には、1970年に描いたリメイク版があるというリプライもいただいた。
妖怪ワンダーランドという文庫版短編集の7巻に収録されており、積ん読だったのですぐ読めた。
タイトルは「ベーレンホイターの女」。
宇宙開発のためにサイボーグに改造され、人間ならざるものになってしまった男の悲哀、
1960年版「サイボーグ」と基本的なスジは同じだ。
このエピソードは水木作品の中では割と人気作であるらしい。フィギュアも発売されている。
http://www.sunguts.com/bealen.html
その部分、赤いんだ?というのが面白い。
水木しげるのサイボーグはフンをすると黒い球になって背中の容器に落ちる。
ベーレンホイターの女も同様である。いかにも水木らしいアイディアだと思った。
漫画家史上最も早くサイボーグ漫画を描いた水木しげるは、
いったいぜんたいどんな海外誌からネタを仕入れたのか?
ちなみに「サイボーグ」にはアメコミをそのまま描き移したカットがあり、他作品にも流用している。
調べてみると、「サイボーグ」について割といろんな人が調べているのだが、決定打と思えるリプライをいただいた。
https://ketola-ka-makhetlo-10000.blogspot.com/2012/04/blog-post_12.html?m=1
この記事によると、
水木がソースとしたのは海外誌ではなく朝日新聞夕刊!1960年10月17日
決定打と思えるのは新聞記事を引用したこの部分。
「排泄物は再利用できないわずかの最終産物だけを背中の小さなカンの中に集める」
「サイボーグ」の描写は水木しげるの想像一辺倒ではなく、ソースにあるていど忠実だったとは驚いた!
(画像は「ベーレンホイターの女」)
1960年の作品なので、10月中旬に見つけて、そこから年内に間に合わせたということになる。
かなりタイトなスケジュールだが、不可能でもない気がする。貸本漫画だし。
ちなみに「サイボーグ」初出は1960年が定説だが、収録の文庫版は1961年とされていた。
1964年に石ノ森章太郎は「サイボーグ009」を始める。
サイボーグの知識は、1961年8月から3ヶ月間の世界旅行中に飛行機内で読んだ「LIFE」。
以下のブログによると、LIFEが初めてサイボーグの記事を載せたのは1960年7月11日号なのだそうだ。
https://ameblo.jp/mangetsuhakase/entry-12630324189.html
1965年、水木しげるは「テレビくん」でついにメジャーデビューを果たすが、
講談社の最初の依頼は「宇宙もの」だったので、水木は一度断ったという。
ひょっとするってえと講談社はサイボーグを読み、水木版サイボーグ009を期待していたのではないか。
それこそミニオンズだ!Σ(°Д°;
それにしてもインターネットの集合知は素晴らしい。
あるのかどうか?水木氏よりも早いサイボーグ漫画の情報もお待ちしています。
新装版 サイボーグクロちゃん(1) (コミッククリエイトコミック)
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- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/06/21
- メディア: Kindle版
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- メディア: Kindle版
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