俺の「さかろ」フォルダが火を吹くぜ!鎌倉殿の13人 [歴史漫画]
「鎌倉殿の13人」、ついに逆櫓エピソードが登場。
大阪から四国へ渡ろうとした源氏軍において、
船の両側に櫓をつけたら便利なのではと進言した梶原景時(かじわらのかげとき)を、
義経が一蹴するというエピソード。
史実ではないのかもしれないが、大阪に碑が建てられているらしい。
この先、義経と頼朝が決裂する原因を作ったとされるチクリ魔、
学級委員長・梶原景時のキャラクターをわかりやすくする勧善懲悪話として色んな漫画に採用されている。
大倉元則「人物日本史 源義経」
田中正雄「人物日本史 源義経」
横山光輝「平家物語」下巻
竹宮惠子「吾妻鏡」(中巻)
北崎拓「ますらお 秘本義経記 波弦、屋島」4巻では少しアレンジされている。
思いつきを義経に一蹴されて逆恨みした景時は、義経の失態をあることないこと頼朝に言いつけ、美しい兄弟愛に亀裂が。そして平家滅亡の功労者である義経は没落していく。。。
梶原景時はこんな分かりやすい典型的な憎まれ役にされているにも関わらず、自分にとってはこの年になるまで全く記憶に残っていないキャラクターだった。
考えてみれば梶原景時はボスにヘイトが向かないようにするNo.2という重要な役割である。
諸葛亮孔明、土方歳三、佐渡島方治と同格だ。
にも関わらず、ほとんどの作品で景時の扱いは軽すぎる。
梶原景時とは頼朝の全権委任大使であり、頼朝の人格の一部と言ってもいい。
竹宮惠子「吾妻鏡」はその辺をしっかり描いていて面白いので超オススメ。
考えてみれば、
景時は頼朝の命の恩人として温かく源氏軍に迎えられると思いきや、
最初に与えられた仕事は当時の源氏軍最強の上総介広常の暗殺。
頼朝のこのやり方はヤクザの手口そのものである。えげつない。
上総介(かずさのすけ)といえば、鎌倉殿の13人は通説である「頼朝の内に秘めた上総介への不審」を全く描かず、サイレントに粛清が進行していたということで意外性を演出した。この三谷幸喜の脚本は見事だった。通説というものがあるから歴史物は意外性を演出するのが難しいのだ。(上総介みたいなバリバリの武人が重量のある刀をスられて気づかないかなという疑問はあるのだが)
兵を集めるのに苦労するエピソードが多いこの時代において、
上総介は二万人とも言われる圧倒的な兵力を動員できた男。
妖狐をやっつけたという坂東武者アベンジャーズの一人でもある。
そして部下でありながら頼朝を前にして挨拶しない男だった。
相当な荒くれものだったと想像できる。
そんな男を殺してこいと命令されたらあなたはどんな気持ちになるか。
現代で言えば、ヴァンダレイシウバと麻雀をしてる最中に張り手をかましてこいと言われるに等しい。
それをやり遂げてしまったのが梶原景時という男なのだ。
ただの「がっきゅういいんちょう」ではない。
鎌倉殿の13人でこんな役を与えられた中村獅童、美味しいという他ない。
それを理解してから読み返すと変だなと思うのは北崎拓の「ますらお」である。
義経が景時と碁を打つシーンがあるのだが、義経は退屈そうにしている。
この時代の人間だったら、梶原景時にボードゲームを誘われようものなら自分も殺されるんじゃないかと震え上がったはずである。
一応「刺してみろ」と挑発するシーンがあるので「上総介のように」という枕詞が含まれているのかと解釈できなくもないが、ちょっと無理かもしれない。
ますらおの景時のキャラクター形成は上総介暗殺の経歴が全く反映されておらず、文字通り退屈な「がっきゅういいんちょう」になってしまっている。史実が反映されていれば、「ますらお」の義経であればなおさら景時相手の碁に退屈するはずがないのだ。
「ますらお」は少年漫画として始まっているので那須与一のエピソードを一生懸命膨らまそうとしている。景時を膨らまして綺麗に着地するのは相当難易度が高かったので避けたのかもしれない。「ますらお」では義経と頼朝の決裂の直接の原因は頼朝の性格の異常性として描かれるっぽい。現在連載中断中なのでこれが描かれるのがいつになるのか分からないのがまた厄介ではあるが、挽回に期待したい。
…で、
この文章を書きながら思ったが、よくよく考えると鎌倉殿の13人もそれと同じで周囲の人間が暗殺をやり遂げた景時を恐れる描写があまりないのは嘘っぽいかもしれない。
#鎌倉殿の13人
— 敷島_金鵄@艦これ提督 (@551_confucius) May 8, 2022
船のお尻(船尾)にオールこと櫓をつける
ので逆櫓 pic.twitter.com/mW7vZOefg4
大阪から四国へ渡ろうとした源氏軍において、
船の両側に櫓をつけたら便利なのではと進言した梶原景時(かじわらのかげとき)を、
義経が一蹴するというエピソード。
史実ではないのかもしれないが、大阪に碑が建てられているらしい。
逆櫓の松、一応モニュメント残ってるよ。中之島の旧阪大病院のそばだよ。淀川じゃなくて大川の河口出発らしい。めっちゃ陸地のど真ん中にあった。阪神電車の大物駅もそうだけど、大阪湾の海岸線は平家物語の時代よりだいぶ前進している。 pic.twitter.com/XJ3xT4PIC1
— MamBO@望みを捨てぬものだけに道は開ける (@MamBO666_888) May 8, 2022
この先、義経と頼朝が決裂する原因を作ったとされるチクリ魔、
学級委員長・梶原景時のキャラクターをわかりやすくする勧善懲悪話として色んな漫画に採用されている。
大倉元則「人物日本史 源義経」
田中正雄「人物日本史 源義経」
横山光輝「平家物語」下巻
竹宮惠子「吾妻鏡」(中巻)
北崎拓「ますらお 秘本義経記 波弦、屋島」4巻では少しアレンジされている。
思いつきを義経に一蹴されて逆恨みした景時は、義経の失態をあることないこと頼朝に言いつけ、美しい兄弟愛に亀裂が。そして平家滅亡の功労者である義経は没落していく。。。
梶原景時はこんな分かりやすい典型的な憎まれ役にされているにも関わらず、自分にとってはこの年になるまで全く記憶に残っていないキャラクターだった。
考えてみれば梶原景時はボスにヘイトが向かないようにするNo.2という重要な役割である。
諸葛亮孔明、土方歳三、佐渡島方治と同格だ。
にも関わらず、ほとんどの作品で景時の扱いは軽すぎる。
梶原景時とは頼朝の全権委任大使であり、頼朝の人格の一部と言ってもいい。
竹宮惠子「吾妻鏡」はその辺をしっかり描いていて面白いので超オススメ。
考えてみれば、
景時は頼朝の命の恩人として温かく源氏軍に迎えられると思いきや、
最初に与えられた仕事は当時の源氏軍最強の上総介広常の暗殺。
頼朝のこのやり方はヤクザの手口そのものである。えげつない。
上総介(かずさのすけ)といえば、鎌倉殿の13人は通説である「頼朝の内に秘めた上総介への不審」を全く描かず、サイレントに粛清が進行していたということで意外性を演出した。この三谷幸喜の脚本は見事だった。通説というものがあるから歴史物は意外性を演出するのが難しいのだ。(上総介みたいなバリバリの武人が重量のある刀をスられて気づかないかなという疑問はあるのだが)
兵を集めるのに苦労するエピソードが多いこの時代において、
上総介は二万人とも言われる圧倒的な兵力を動員できた男。
妖狐をやっつけたという坂東武者アベンジャーズの一人でもある。
そして部下でありながら頼朝を前にして挨拶しない男だった。
相当な荒くれものだったと想像できる。
そんな男を殺してこいと命令されたらあなたはどんな気持ちになるか。
現代で言えば、ヴァンダレイシウバと麻雀をしてる最中に張り手をかましてこいと言われるに等しい。
それをやり遂げてしまったのが梶原景時という男なのだ。
ただの「がっきゅういいんちょう」ではない。
鎌倉殿の13人でこんな役を与えられた中村獅童、美味しいという他ない。
それを理解してから読み返すと変だなと思うのは北崎拓の「ますらお」である。
義経が景時と碁を打つシーンがあるのだが、義経は退屈そうにしている。
この時代の人間だったら、梶原景時にボードゲームを誘われようものなら自分も殺されるんじゃないかと震え上がったはずである。
一応「刺してみろ」と挑発するシーンがあるので「上総介のように」という枕詞が含まれているのかと解釈できなくもないが、ちょっと無理かもしれない。
ますらおの景時のキャラクター形成は上総介暗殺の経歴が全く反映されておらず、文字通り退屈な「がっきゅういいんちょう」になってしまっている。史実が反映されていれば、「ますらお」の義経であればなおさら景時相手の碁に退屈するはずがないのだ。
「ますらお」は少年漫画として始まっているので那須与一のエピソードを一生懸命膨らまそうとしている。景時を膨らまして綺麗に着地するのは相当難易度が高かったので避けたのかもしれない。「ますらお」では義経と頼朝の決裂の直接の原因は頼朝の性格の異常性として描かれるっぽい。現在連載中断中なのでこれが描かれるのがいつになるのか分からないのがまた厄介ではあるが、挽回に期待したい。
…で、
この文章を書きながら思ったが、よくよく考えると鎌倉殿の13人もそれと同じで周囲の人間が暗殺をやり遂げた景時を恐れる描写があまりないのは嘘っぽいかもしれない。
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