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モンキーパンチの故郷で熊と暮らす。川崎のぼる&畑正憲「ムツゴロウが征く」 [名作紹介]

「新 巨人の星」が面白かったので、
ちゃんと読んだ事がなかった「巨人の星」も読み出した。

「新」では緻密一辺倒だった川崎のぼるの作画が、
「巨人の星」ではやや拙いのだが、緩急あって素晴らしい!

ムツゴロウ6.jpeg

そういえば川崎のぼるは週刊連載の「巨人の星」との掛け持ちで、
コメディ漫画「いなかっぺ大将」を描いていた人だというのを思い出した。

これ系で思い出した川崎のぼる作品が「ムツゴロウが征く」
畑正憲原作の動物漫画で、コロコロコミックに連載。
子供の頃、なぜか一冊だけ単行本が家にあり、繰り返し読んだ思い出の漫画なのです。


これが猛烈に読みたくなり、古書をネットで検索。
てんとう虫コミックスが全8巻。
文庫版が全5巻の2バージョンが存在するようで、文庫版の方が市場価値がやや安い。
なので文庫版を購入したのだが、それでも新品で買うぐらいの価格がした。

読んでみたら、やはり面白い。
動物の飼い方も流行り廃り(言い方が悪い)があると思うので、
今読むと異議を唱えられそうな描写もあるのだが、
クマを育てた畑正憲に意見できる人もなかなかいないのではないか。

畑正憲といえば動物王国。
あまり覚えていないがTVで時々見ていた記憶がある。
「動物たらし」、というか、どんな猛獣相手にも臆するところがなく、
仲良くなってしまう姿に毎回度肝を抜かれた。

漫画にはよく格闘家が熊と戦って勝つ描写がある。
現実では人間は犬猫にすら勝てないらしいが。
さらに言うと、戦いを挑んでくる者と仲良くなってしまえる人こそ最強という説がある。
ならば熊と仲良くなってしまえる畑正憲は地上最強の人間という論法も成り立つ。

畑正憲はヒグマの激減を食い止めようと、子熊から育て始める。
当時あまり生態が知られていなかったヒグマを研究すれば、
ケガした他の野生動物の治療にも役立つという想いからということが漫画で語られている。

漫画は主に前後半に分けられる。
畑正憲ことムツゴロウの少年時代を描くのが前編。
作家になって熊を育てたエピソードを後半で語っている

熊を育てるために、
東京から北海道の無人島で暮らし始めるというのだから呆れる。
わざわざそんな不便で寒いとこいかんでも!

その無人島は嶮暮帰島(けんぼっきとう)といい、
ルパン三世のモンキー・パンチの出身地である北海道厚岸郡浜中町に存在する。
ハードな環境に、病弱だった娘さんもたくましく育ってしまったらしい。

ムツゴロウ5.png

熊相手に排泄の躾は難しいようで、家はおしっこ、うんこまみれ。
俺には絶対無理。奥さんもよくついていけるものだと思う。

ムツゴロウ4.png

この熊、「どんべえ」がその後どうなったか漫画では語られていないので調べてみたのだが、
野生に戻したのちに亡くなってしまったとのこと。いろいろ難しい。

少年時代も面白い。
うちにあったてんとう虫コミックスはこの中盤あたり。
オオカミと犬の混血、タロが活躍するあたりだ。

そのエピソードの回想シーンで語られていた、
キツネのコン太のエピソードを今回初めて読むことができた。

ある意味で主人公を裏切り続ける形になってしまったコン太を、
自分で銃殺することで落とし前をつけろと父親に決断を迫られるシーンは手に汗握った。
少年誌的にギリギリなシーンだ。結末は…だった!
ちなみに子供が喫煙するシーンもある。

ムツゴロウ2.png

驚いたのが漠然と北海道でのエピソードだと思っていたのが、実際は満州だったということ。
この時代はなるほどそうだよねー。

異常に広すぎる土地、大陸。
漫画では強盗団となっていたが、いわゆる馬賊がいるので、
拳銃を持って自衛しないといけないハードな世界だ。
実際に襲われたりもしている。本当の話なんかいな?

ムツゴロウ3.png

たぬきに風呂敷包みにお土産入れて背負わせてリリースするメルヘンな話もある。
子供向けの演出も多少入っているのは間違いないだろうけども、
どこまで本当の話なのか。活字の本も読まないといけないかもしれない。

作画はしっかりしているのだが、
動物の描き方がいまいちという論評をネットに見つけた。

「ハア?天下の川崎のぼるだぞ?」

そんなことはないだろうと思ったのだが、
よくよく見てみると、成長したポインターのポチのことが、
だんだんとバイキング小峠の顔をした人面犬に見えてきて、
そういう風にしか見えなくなってしまった!

ムツゴロウ1.png

鼻骨を長く描かないのが原因だと思うのだが、
子犬の時の描写に引きずられてしまったようである。
ジョジョのイギーも人面犬化していったけど、小型犬なのであまり気にならないよね。

 

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