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沈黙しない娘が語る漫画家族「かいじくんちのニラコさん」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

映画「沈黙の艦隊」、冒頭11分しか見てないけどちょっと語る。
あの作品を2時間かそこらで全て描き切ることは困難だと思う。
たぶん映画も、「これから!」というところで終わっているのだろう。
映画の興行成績は知らないが、シリーズ化するというのは普通困難なことだ。

どうせなら
ニューヨーク沖でミサイル打ち上げショーやるとこから始めれば良かったのに!

そうすれば世界に類のない一大カルトムービーになれたのになあ。
海江田役は大沢たかおよりも谷原章介が良かったなあ。

そんな「沈黙の艦隊」の、
かわぐちかいじの娘の漫画があるとツイッターのプロモーションで流れてきて知った。
エッセイ漫画、「かいじくんちのニラコさん」を読んだ。

かいじくんちのニラコさん 1 (A.L.C. DX)

かいじくんちのニラコさん 1 (A.L.C. DX)

  • 作者: カワグチニラコ
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2023/10/16
  • メディア: Kindle版

ラさんかと思ったが、ニラさんである。
赤ん坊ころ、髪の毛がニラっぽいから韮子とあだ名されたそうだ。

周囲では好評。
特にかわぐち夫人が人気。
二人の出会いは明治大学の漫画研究会。

ハード&ルーズが好き4.png

「明大漫研OB作品集」という単行本を持っている。
プロになったOBによる短編集で、片山まさゆき、いしかわじゅん、高田裕三、小林たつよし、すのうちさとるなどの作品が掲載されているが、プロになってからの再録、あるいは描き下ろしである。かわぐちかいじの作品も掲載されていおり、こちらもが再録。

明大漫研OB作品集 (CBS/SONY comics)

明大漫研OB作品集 (CBS/SONY comics)

  • 出版社/メーカー: ソニー・マガジンズ
  • 発売日: 1987/06/01
  • メディア: 単行本

かわぐち夫人はビートルズのファンだったが、音源だけ所有して再生装置を持っていなかった。
そんな時代だったのだ。かいじが「じゃあ俺の部屋に来いよ」と誘ったことで二人の距離は縮まる。

中学の担任教師の趣味で「新しいステレオを注文したよ、僕の部屋に遊びにおいで」という背筋が寒くなる歌を合唱コンクールで無理やり歌わされたことがあったけども、本当にそういう時代があったのだなあ。かわぐちかいじは「僕はビートルズ」なんて漫画も描いてたよね。

「かいじくんちのニラコさん」は面白いのだけど、
おれ的には正直少し食い足りない。

バキの板垣恵介の娘、板垣巴留の「パルノグラフィティ」を読んだ時も少し不満だったのだが、もっと名作を描いてる時のエピソードや、それぞれの作品に対する娘の感想が読みたかった。

まあ、そういうマニアに寄せてもしょうがないのかな。
ちょっと特異な大家族スペシャルといった内容になっていて、万人にオススメできる。

さて、
かわぐちかいじはアシスタントに気を遣うタイプの漫画家らしく、
職場は賄い付きで社員旅行やボーナス、単行本刊行時には分配金も出しているのだそう。

条件も年代によって変わるのだろうが、
分配金のエピソードはイエス小池の「漫画家アシスタント物語」に描かれている。

ハード&ルーズが好き5.png

「漫画家アシスタント物語」の著者、
イエス小池はかわぐちプロで人間関係に苦しみ、年末進行の最中にバックれる。
給料だけはしっかり貰いに行ったのだが、その時もかいじは不満を抑えて慰留してきたという。
「漫画家アシスタント物語」の刊行時の許諾も「OKOK!」と快く応じてくれたというから、かわぐちかいじはCOCOROが広い。

職場は自宅も兼ねており、
アシスタントが学校にニラコのお弁当を届けにきたりするぐらい、家族同然に過ごしていたようだ。
それにしてはあまり画力が受け継がれてないのが腑に落ちないのだが。

カワグチニラコは田中圭一の「ペンと箸」にも登場する。

ハード&ルーズが好き1.png

「ペンと箸」は有名漫画家の子供に、父親との思い出の食事を紹介してもらいながら逸話を聞くというコンセプトの漫画だ。単行本化されているがネットで読むことも出来る。
ちなみにこの回の背景を作画している田中圭一のアシスタントも、かわぐちプロ出身だという。

マンガテクニック1994年5月号のかわぐちかいじインタビュー記事に、
当時在籍中の5人アシスタントも紹介されており、その中に漫画で紹介されているK谷氏も実名の年齢不詳で掲載されている。(顔も似てる!)

ハード&ルーズが好き2.png

ハード&ルーズが好き3.png

しかし「かいじくんちのニラコさん」の中で一番目立っている「イツキ」さんはいないようだ。
おそらくこの人物は、プロジェクトXのコミカライズを手がけたうちの一人である、いつきたかし氏。

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち 運命の滑走―日本初、人力飛行機に挑む

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち 運命の滑走―日本初、人力飛行機に挑む

  • 出版社/メーカー: 宙出版
  • 発売日: 2005/02/01
  • メディア: コミック


かわぐちかいじには双子の弟がおり、「ペンと箸」ではその辺が重要エピソードとして語られているのだが「かいじくんちのニラコさん」1巻には一切登場しなかった。続刊も出るようなので、楽しみに待ちたい。イエス小池は出るのかなー。ニラコと面識はなくても、先生に思い出話語ってもらうだけでもマニアにとっては面白いのだが。

 

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ネスカフェ

こんにちは。

この漫画描いている娘さんって、たしか不登校だったんですよね。
https://futoko.publishers.fm/article/563/
Amazonじゃ「漫画家の娘がコネで書いた凡作」とひどい評価ですが、たしかに内容を見ていてもかわぐちかいじのインタビューなんか読むだけで充分な内容なんですよね。

もし、本人が不登校だった時代にどう父親が向き合ったか、また親になった時にそれをどう感じたかとかいう内容に触れていれば、もう少し大化けしたんでしょうが。
by ネスカフェ (2023-11-04 23:42) 

hondanamotiaruki

不登校新聞なんてものがあるんですね。
漫画の中では学校でうまくやってるエピソードしかないので意外。
続刊で描かれるのかな?
by hondanamotiaruki (2023-11-05 10:04) 

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