「ライダーは死なない!」「殺せば?」「ですよねー!」 [心に残る1コマ]
仮面ライダー the first本郷猛(秋田文庫5-52) (秋田文庫 5-52)
- 作者: 石ノ森 章太郎
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2013/01/10
- メディア: 文庫
石ノ森章太郎の「仮面ライダー」を購入。
子供の頃、TV版とギャップがありすぎて苦手だった漫画。
「こんなの仮面ライダーじゃねえ!」子供の頃はそう思っていた。
本郷猛が途中で死んで、脳だけになって一文字隼人と合体したかのような展開が特に受け入れられなかった。この展開は、庵野秀明の映画「シン・仮面ライダー」に踏襲されたことで再び注目を浴びた。
よくよく読み返すとこの漫画版「仮面ライダー」、「原作」という表現が微妙に当てはまらない。
一文字隼人の誕生は、本郷猛役の藤岡弘のバイク事故というTV撮影のアクシデントから発生したものだからだ。石ノ森版の漫画は、基本的にTV番組の宣伝のために放送に合わせて描かれた漫画である。
だがしかし、
ショッカーライダーのように、逆に漫画からTVドラマ版に取り入れられたキャラクターもいる。
このように、TVが主で漫画が従だが、互いにリアルタイムで影響を与え合いながら作られている。
読み返すまで、すっっっっっっっっっかり忘れていたのだが、
漫画版の本郷猛はロボットになってラストバトルに登場する。
だったら最初から殺すなよという話だ。
つまり藤岡弘が降板したとき石ノ森章太郎は、
「あ、こいつもう出てこないから殺しちゃえばいいや」
と思って漫画の中で殺してはみたものの、藤岡弘が復帰してダブルライダー旋風が世に巻き起こったので、あわてて漫画の最後でロボットにして出してみた、ということだと思われる。
村枝賢一の漫画、「仮面ライダーをつくった男たち」で、
本郷猛の設定の処遇に苦慮するスタッフたちの前で、
「藤岡くんを切ってはいけない!ヒーローは絶対に死にはしないんだ!」と、
熱弁を振るった平山亨プロデューサーの姿は感動的であり、英断であった。
今まで気付かなかったが、
あっさり本郷猛を殺してしまった石ノ森章太郎の態度とはかなり対照的である。
しかしその後、
仮面ライダーがあっさり死んで、あっさり生き返る展開は、V3からのTV版の仮面ライダーに見事に逆輸入されて毎度おなじみのあの時の涙を返しやがれバカにすんな、ということになってしまうのである。
(画像はTVコミックス版「仮面ライダー」作画:山田ゴロ)
仮面ライダーthe second一文字隼人 (秋田文庫 5-53)
- 作者: 石ノ森 章太郎
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2013/04/10
- メディア: 文庫
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