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ターミネーターの元ネタ?永井豪流の白土忍法が炸裂!「黒の獅士」 [名作紹介]


黒の獅士 (文庫版) [マーケットプレイス コミックセット]

黒の獅士 (文庫版) [マーケットプレイス コミックセット]

  • 作者: 永井 豪
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • メディア: コミック

永井豪の「黒の獅士」を取り寄せてみた。
あちこちでターミネーターの元ネタだと言われている漫画だ。
そんな漫画があるんだ、と最近知った。

購入した文庫版の帯には、スターウォーズの元ネタになったとも書いてある。
通巻表記をローマ数字にしているのはスターウォーズを連想させるようにしてるのだろうか。

クロノオシシカメン3.jpeg

だが調べても大抵ターミネーターのことしか書かれていない。
なぜスターウォーズの方はミュートされがちなんだろうと疑問に思って調べてみた。
なんと連載が始まったのはスターウォーズ公開の翌年!そりゃミュートされるわ。

文庫版解説によると、作中で主人公の腕が切断されて義手になるのが後年のスターウォーズの続編「帝国の逆襲」と共通した展開ということが主に言いたいらしい。

「黒の獅士」の話の冒頭は王道忍者漫画として始まる。
文庫版解説で作者自身が明かしているが、白土三平山田風太郎の影響が見られる。
話の冒頭から、横山光輝「伊賀の影丸」を超えてやんよ!という意気込みを感じる。

クロノオシシカメン1.png

そんな大人気忍者もあっさり倒す、銅磨陣内(どうまじんない)というキャラが元祖ターミネーターらしい。
正体はサイボーグで、妨害をもろともせずに主人公を追いかけてくるのは言われてみればターミネーター的だ。

クロノオシシカメン6.png

だが、怖さでは明かにシュワちゃん演じるターミネーターの方が怖い。
それは黒の獅士が王道忍者漫画として描かれているからだと思う。
登場人物が現実離れした身体能力を持つ超人忍者たちなので、読者に死を感じさせるようなリアリティがハリウッドの実写映画に比べて圧倒的に足りないのだ。

やーめネーター2.png
(鳥山明「ドラゴンボール」5巻に登場するメタリック軍曹はターミネーターのパロディ)

さらにターミネーターは、自分と同じ名前の人間が次々と殺されているというニュースを見たヒロインが、次は私なのではと恐怖するプロットが秀逸で、それがターミネーターの追いかけてくる感を増幅させている。

やーめネーター1.png
(画像は片山まさゆき「ぎゅわんぶらあ自己中心派」6巻収録「ヤーメネーター」)

そもそも不死身キャラというのは難しいと思う。
不死身アピールのために何度も致命傷を負わなければならないため、必然的に弱く見えてしまうからだ。
山田風太郎「甲賀忍法帖」の薬師寺天膳も、伊賀の影丸の阿魔野邪鬼も、忍者じゃないけど無限の住人の卍もそう。

タアミネエタアカ.png
(画像は魔夜峰央「パタリロ!」34巻

黒の獅士の銅磨陣内も、塚原卜伝という実在の老剣士に頭を叩き割られ、それでも死なないことに相手がびっくりしたのに気を良くしてか、反撃しないままその場を立ち去る、なんてシーンが冒頭にあってあまり強そうに見えない。

さらに言うと、そのシーンから、
どこまで先の展開を考えて描いているんだろうという疑問が湧いてしょうがない。

この先、銅磨陣内は実はサイボーグだったという展開になり、ターミネーターのように顔半分をスケルトンヘッド状態にして大暴れするのだが、

クロノオシシカメン4.png

あれっと思ってページを戻すと、
塚原卜伝に頭を割られた時は生身っぽい。
実はサイボーグ、そんな構想がある様には見えないのだ。

クロノオシシカメン6.png

しかも頭が痛いことに、
この「黒の獅士」は永井豪がデビュー前に描いた80ページの大作のリメイク。
探したら一部だけ見ることができたのだが、「実はサイボーグ」というのは変わらないコンセプトのようだ。。。

クロノオシシカメン5.jpeg

最初に全身サイボーグという構想があるのなら、何も不死身アピールで頭を叩き割らせる必要はない。
心臓を貫かれても生きてる、とかやればいい。

合理的に考えれば、描いてる途中でデビュー前のリメイクにすることを思いついたのだろうという結論になるのだが、永井豪の考えることは規格外だから正直よくわからない。

 
お話も二転三転して行き当たりばったり感がある。

惚れた女と一緒に逃げるために、家族でも殺す!という展開で始まったのに、
追手の計略にハマってその女をあやまって殺してしまい、捕まって復讐の機会を窺うという暗い展開になるのだが、その後の主人公はそんな暗い情念はまるで見られず、個人的な復讐は忘れて大義と組織のために頑張る、みたいな展開になる。ただし宇宙的スケールで。時空も飛び越え、その辺もターミネーター的ではある。

繰り返すようだがハッタリ効きまくりのいかにも永井豪らしい漫画だと思う。
永井豪が描いた張飛翼徳が見れたのは収穫だった。 
 

ターミネーターの続編、
「ターミネーター2」は社会現象にもなり、当時大流行していたビデオレンタルでは貸出中が相次いだ。
「T2」という略し方がさらにプレミア感を高めた。

T2.png
(画像は冨樫義博「幽遊白書」6巻


ムービー・マスターピース DX ターミネーター2 1/6スケールフィギュア T-800 (バトルダメージ版)

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  • 出版社/メーカー: ホットトイズ(Hot Toys)
  • 発売日: 2013/11/30
  • メディア: おもちゃ&ホビー



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