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差別とビルゲニアと向き合う「仮面ライダーブラックサン」 [注目作品]

ブラックさん.png
(画像はアニパロコミックス30号、高橋なの「走れコウタロー!!」より)

なんで全10話を一挙配信するんだ!
アマゾンプライムの「仮面ライダーBLACK SUN」全10話を頑張って見終わった。
正直しんどかった。

まあ辛気臭い作品だ。
以下、ネタバレありで感想を語ります。

大量のエキストラを使ったロケ、長回し、
仮面ライダー史上最大の予算がかけられたのではないかと思える豪華な画作りと
監督の演出力で最初は楽しいのだけど、早々に失速していることに段々気づいてくる。

怪人と人間が共存する日本で、
怪人が平等な世界を目指して戦うというのが大まかなストーリー。

まあ陳腐と言えば陳腐なんだけど、
モチーフに在日朝鮮人問題をもってきて、
じっくり演出しているおかげか最初は期待が高まった。

とくにヘイト集団のリーダーを演じるキングオブコメディの今野浩喜が素晴らしい。
悪の総理大臣を演じたルー大柴も素晴らしい。
ヒロインの平澤宏々路(こころ、と読むそうだ)も素晴らしい。

「ビルゲニアと我々は向き合わなきゃいけない」という制作者たちの言葉からも伝わってくるように、
そこまでしなくてもいいのにというくらい原作をリスペクトしているのも良いのだが、
向き合った結果、テーマの人種差別問題がおざなりになっている。

現実に怪人が暮らしていたら軋轢を起こして当然だ。
それがこの「ブラックサン」では「人種差別問題」の範疇で語れるほど
世の中が落ち着いている奇妙な世界なのだ。

なぜそのような世界になったのか興味が湧くし説明の必要があると思うのだが、
ドラマではほぼ語られておらず、
原作とのすり合わせであるゴルゴム結成秘話に尺が取られている。

冒頭で大仰にブチ上げられたテーマは、
「在日朝鮮人問題あるでしょ?大体そんな感じを想像しといてください」
結局これぐらいの温度の扱いでしかない。

もちろん在日朝鮮人問題と怪人はイコールではないし、
イコールだと製作陣が言っているわけでもない。

この矛盾が見ていて激しく胃もたれをするのだ。

そもそも劇中で怪人差別を訴える側が、
「怪人」という呼称をそのまま受け入れているのはおかしい。
「快人」とか、それこそ「禍威人」とか呼称を改めるのが当然だ。
 

仮面ライダーブラックサンでは、
現代と過去が交互に語られ、
現代では市民運動、過去では学生運動が描かれる。
こんな説明を事前にされていたら大抵の人は見る意欲を失うだろう。

見ていても正直面白いもんでもない。
繰り返しになるが、辛気臭い話だ。
エヴァンゲリオンのネルフ誕生編を作ったらこんな感じになるのかなあと思いながら見ていた。

主人公の西島秀俊演じるブラックサンはこの学生運動で失敗し、
独身のまま中年になって車中泊をしているという落ちぶれよう。
そこに怪人差別と戦う人間の少女と出会うことになる。

少女はおそらくYouTuberもやってるのではないか。
奇異の目で盗撮してくる中年女性に「あたしの動画に出してあげようか」、
などと威圧したりして現代的な闘い方をしてることが演出により滲み出ている。
オープニングでは国連の場で英語でスピーチをするほどに成功している。

運動で過去に失敗した経験を持つ男と、
現代で新しい時代のやり方で道を切り開いている少女。

その二人がある種の化学変化を起こしつつ怪人差別に立ち向かう、
過去の運動のマズかった部分と、現代のスマートなやり方はなんなのか?
というプロットで展開していくべきだと思うのだけど、
残念ながら前述の通り、原作とのすり合わせ的なことにこのドラマは尺を取られている。

最終回の10話まで見ていると、
正直ギャグでやっているようにも思える。

「人一人の命は地球よりも重い」なんて死ぬほど陳腐なセリフが、
このドラマでは死ぬほど繰り返されるのだけど、まあ人が死ぬ死ぬ。
とくに悪人は念入りに演出されて殺される。
「地球より重い」なんて製作陣は露程にも思っていないと思う。

だから差別反対も単なるお題目、
「ヒーローもの」を成立させるためだけにやっているので掘り下げが浅くなっている。

ラストシーンでは、
いたいけなモブ少女の掲げる人類皆平等なプラカードが、
無関心な雑踏に踏み潰されるというあざとい演出がされ、
その時に手を差し伸べたテロ集団に少女はスカウトされ、爆弾工場で働くというオチ。

どんなドラマだ!と思った。
今後語り継がれていくであろう名シーンも色々あるので見る価値はあると思うのだけど、
再び全10話を通して見るのはごめん被りたい、そんな仮面ライダーブラックサンだったのでした。

 
監督した白石和彌の作品は
「日本で一番悪い奴ら」「フルーツ宅配便 」を見ていた。
どちらも面白かった。

配信開始とほぼ同時期にニュースになったゆりやんレトリィバァの脳挫傷事件。
ダンプ松本の半生をドラマ化した「極悪女王」撮影中の事故だそうだが、
あれを監督しているのも白石和彌なのだそうだ。

脳の損傷については大事に至らず撮影続行とのことだが、
こちらの出来もちょっと気になってきてはいる。
事故まで起こすのは問題外だが、そこまで執念あげて演出しているということでもある。
ブラックサンのアクションはいまいち平凡だった気がするけど…。

 

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