キレイなベニョヴスキー。詐欺師はなぜ英雄になったのか? [歴史漫画]
世界中にウソをばらまくのが俺の趣味!で、
一部の人、特にみなもと太郎著「風雲児たち」読者にお馴染みのモーリス・ベニョヴスキー。
彼に関して調べていたら、海外で連続TVドラマ化、映画化してることに気づいた。
YouTubeで検索してみたら、それっぽい動画を発見。
TVドラマ版をざっと見てみたが、日本は出てこない。
おそらく晩年のマダガスカルでの出来事を描いているのではないかと思われる。
ちょっと気になったのは、TVドラマ版のベニョヴスキーがえらくイケメンで、「風雲児たち」に描写されるような、「世界中に嘘をばら撒くのが俺の趣味!」といったキャラクター像にはとても見えないということだ。わざわざドラマ化、映画化してるぐらいだから、母国でベニョヴスキーは人気者なのかもしれない。ちなみに母国はハンガリー。
日本語ウィキペディアを調べてみても、あまり悪そうには書いていない。
海外のものを自動翻訳してみても同様だ。
さらに日本語ウィキペディアは、最初に書かれたものは詐欺師イメージだったが、数年前にそういった記述が一切改変されてしまったことがわかった。
ウィキの履歴をチェックすると、
> 2017年11月3日 (金) 初版作成者による著しい誤認が多数あり。意図的な歪曲も疑われますが、とりあえず目に付くところを修正。
と、なっている。これ以降、
キレイなベニョヴスキーのページが誕生したらしい。
えー、いつの間にベニョヴスキー像は変わってしまったの?
なにしろ「風雲児たち」のベニョヴスキー編は35年以上も前の漫画である。
おそらく風雲児たちのベニョヴスキー像は『日本人の西洋発見』(ドナルド・キーン著/芳賀徹訳)中公文庫という格調高そうな本を根拠にしていると思われる。私は読んだことがないが、まるでデタラメを描いてるとは考えづらい。しかし、言うて35年以上前である。新たな資料、解釈があってもおかしくない。織田信長が真面目で部下思いの良い上司とされたり、生類憐れみの令が善政とされたり、こういう価値観の逆転みたいなことは、ままある。
その辺を検索してみたが、でてくるページはいずれも詐欺師ベニョヴスキー像。
wikiによると日本における最も最新のベニョヴスキー関連本は2010年に出版された「黒船前夜 ~ロシア・アイヌ・日本の三国志」のようだ。Amazonレビューをチェックすると、風雲児たち読者が感想を書いている。もしベニョヴスキーに関しての新解釈があれば、必ず反応するはずだが、そういった形跡はない。
「風雲児たち」の「世界中に嘘をばらまくのが俺の趣味」な詐欺師ベニョヴスキー像はなぜ説得力を与えたのか。
1・身分を偽り、来年ロシアが日本に総攻撃するというデタラメな手紙を送った
2・なろう小説のようなウソ満載+盗作自伝が大ヒット
この2つに集約されると思う。
現在ベニョヴスキーが偉人として再評価されているなら、この2つを好意的に解釈する方法があるということである。それを考えてみた。
1の嘘手紙を好意的に解釈
・日本みたいな地の果ての国にしたことなどどうでもいい。
・ロシアの脅威に備えなければいけないのは本当。多少誇張しないと鎖国の国には効果ない
2の嘘自伝を好意的に解釈
・実はゴーストライターが脚色した?
(出版にこぎつけた人は科学者だそうで、彼が脚色した可能性は低そう)
・対日政策は自分に任せろというPR手段としてエンタメに徹したのは理解できる?
(ちなみにマダガスカル史については一級の資料だとする説もある)
加えて、ウィキを読むとベニョヴスキーの経歴には
>ポーランド人の対ロシア抵抗組織「バール連盟」に加わった
となっており、その後ロシアに捕まり、カムチャッカ送りとなった。
愛国無罪なのかは知らないが、大国ロシアと戦い続けた男として英雄視されている可能性もある。伊藤博文暗殺犯が一方で英雄視されているように。
しかし謎である。
ベニョヴスキー英雄説が今や世界の潮流なのだろうが、日本語ではそれに関する解説が一切見当たらない。ウィキを改変した人の言動もよく考えると変である。「風雲児たち」を読んでないのはいいとして、日本において最も定着している説を「作成者による著しい誤認」「意図的な歪曲」とするのは日本の事情を知らない外国人、海外住みである可能性もある。
もしその人がここを読んでいるなら、せめて日本におけるベニョヴスキー像の変遷みたいな解説ページを作って欲しいのだが。。。
一部の人、特にみなもと太郎著「風雲児たち」読者にお馴染みのモーリス・ベニョヴスキー。
彼に関して調べていたら、海外で連続TVドラマ化、映画化してることに気づいた。
YouTubeで検索してみたら、それっぽい動画を発見。
TVドラマ版をざっと見てみたが、日本は出てこない。
おそらく晩年のマダガスカルでの出来事を描いているのではないかと思われる。
ちょっと気になったのは、TVドラマ版のベニョヴスキーがえらくイケメンで、「風雲児たち」に描写されるような、「世界中に嘘をばら撒くのが俺の趣味!」といったキャラクター像にはとても見えないということだ。わざわざドラマ化、映画化してるぐらいだから、母国でベニョヴスキーは人気者なのかもしれない。ちなみに母国はハンガリー。
日本語ウィキペディアを調べてみても、あまり悪そうには書いていない。
海外のものを自動翻訳してみても同様だ。
さらに日本語ウィキペディアは、最初に書かれたものは詐欺師イメージだったが、数年前にそういった記述が一切改変されてしまったことがわかった。
ウィキの履歴をチェックすると、
> 2017年11月3日 (金) 初版作成者による著しい誤認が多数あり。意図的な歪曲も疑われますが、とりあえず目に付くところを修正。
と、なっている。これ以降、
キレイなベニョヴスキーのページが誕生したらしい。
えー、いつの間にベニョヴスキー像は変わってしまったの?
なにしろ「風雲児たち」のベニョヴスキー編は35年以上も前の漫画である。
おそらく風雲児たちのベニョヴスキー像は『日本人の西洋発見』(ドナルド・キーン著/芳賀徹訳)中公文庫という格調高そうな本を根拠にしていると思われる。私は読んだことがないが、まるでデタラメを描いてるとは考えづらい。しかし、言うて35年以上前である。新たな資料、解釈があってもおかしくない。織田信長が真面目で部下思いの良い上司とされたり、生類憐れみの令が善政とされたり、こういう価値観の逆転みたいなことは、ままある。
その辺を検索してみたが、でてくるページはいずれも詐欺師ベニョヴスキー像。
wikiによると日本における最も最新のベニョヴスキー関連本は2010年に出版された「黒船前夜 ~ロシア・アイヌ・日本の三国志」のようだ。Amazonレビューをチェックすると、風雲児たち読者が感想を書いている。もしベニョヴスキーに関しての新解釈があれば、必ず反応するはずだが、そういった形跡はない。
「風雲児たち」の「世界中に嘘をばらまくのが俺の趣味」な詐欺師ベニョヴスキー像はなぜ説得力を与えたのか。
1・身分を偽り、来年ロシアが日本に総攻撃するというデタラメな手紙を送った
2・なろう小説のようなウソ満載+盗作自伝が大ヒット
この2つに集約されると思う。
現在ベニョヴスキーが偉人として再評価されているなら、この2つを好意的に解釈する方法があるということである。それを考えてみた。
1の嘘手紙を好意的に解釈
・日本みたいな地の果ての国にしたことなどどうでもいい。
・ロシアの脅威に備えなければいけないのは本当。多少誇張しないと鎖国の国には効果ない
2の嘘自伝を好意的に解釈
・実はゴーストライターが脚色した?
(出版にこぎつけた人は科学者だそうで、彼が脚色した可能性は低そう)
・対日政策は自分に任せろというPR手段としてエンタメに徹したのは理解できる?
(ちなみにマダガスカル史については一級の資料だとする説もある)
加えて、ウィキを読むとベニョヴスキーの経歴には
>ポーランド人の対ロシア抵抗組織「バール連盟」に加わった
となっており、その後ロシアに捕まり、カムチャッカ送りとなった。
愛国無罪なのかは知らないが、大国ロシアと戦い続けた男として英雄視されている可能性もある。伊藤博文暗殺犯が一方で英雄視されているように。
しかし謎である。
ベニョヴスキー英雄説が今や世界の潮流なのだろうが、日本語ではそれに関する解説が一切見当たらない。ウィキを改変した人の言動もよく考えると変である。「風雲児たち」を読んでないのはいいとして、日本において最も定着している説を「作成者による著しい誤認」「意図的な歪曲」とするのは日本の事情を知らない外国人、海外住みである可能性もある。
もしその人がここを読んでいるなら、せめて日本におけるベニョヴスキー像の変遷みたいな解説ページを作って欲しいのだが。。。
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