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サムライカアサンで思い出す楠本まき先生のジェンダーバイアス問題 [あの人は今]

「TOKIOの城島リーダー主演ドラマがなんと!」という見出しをクリックすると、「サムライカアサン」という漫画のドラマ化で、コテコテの昔ながらの「オカン」を演じるということだった。

サムライカアサン 1 (クイーンズコミックスDIGITAL)

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  • 作者: 板羽皆
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/07/06
  • メディア: Kindle版


真っ先に思い出したのが、楠本まき先生の「ジェンダーバイアス」問題。
挑発的なカットの引用が大きな話題を呼んだ、と思う。

その中で、女性が生き辛くなる漫画表現の象徴として取り上げられたのが、エプロンにおたま持った記号的な女性の表現。まさに今回のサムライカアサンのような表現だと思った。

もっとも自分は楠本まき先生の主張には首を傾げざるをえない。
2年前ぐらいか、何度かに分けて記事を書いた。

要約して再掲すると、
・そもそも漫画は先入観(バイアス)なしに表現はできない。
・説明を省略するために使う。
・先入観を裏切るからこそ支持を集める(「ユカを呼ぶ海」の例)

楠本先生の主張を代弁するコマも、
「顔の整った人物が正しい主張をする」という先入観を利用して描かれている。

そのことに楠本先生が無自覚に見えるのは憤りを感じるのだが、
もっと度し難いのは作家であるのに作品の力に頼るのではなく、
編集者や出版社に働きかけることでシステムによって自主規制を推し進めようとしたことである。

と、まあTwitterで少し吠えようかなと思ったけども、
変な論争も多いし、万が一にもドラマ化のお祝いムードに水をさすのもなんなので、ブログで静かに当時を振り返った次第である。
アレから何か変わったのだろうか。

調べてみると、「サムライカアサン」の連載していたメディア、「ココハナ」は楠本先生も論争当時連載していたメディアである。当時の記事を読み返すと

『ココハナ』は、まあ、どちらかというと保守的な考え方の掲載作品の多い漫画雑誌です。

と楠本先生が分析していて、また味わい深いものがある。

 
少女漫画といえば、最近「一度きりの大泉の話」を読んだんですけど、面白かったので「少年の名はジルベール」も読んだんですよ。これも面白かった。萩尾先生のことを抜きにしてもエンタメしていて面白いです。もっともこれが面白かったからこそ、萩尾先生は書きたくもない本を描かざるをえなかったんですけど。

「少年の名はジルベール」の中で、竹宮先生が少女漫画革命を起こそうと奮闘してます。
楠本先生にインタビューをしたメディアはこう書いている。
少女漫画の中の世界はあまり変わっていないように感じます。

あれから2年。




サムライカアサン コミック 全8巻完結セット (クイーンズコミックス)

サムライカアサン コミック 全8巻完結セット (クイーンズコミックス)

  • 作者: 板羽 皆
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/11/18
  • メディア: コミック



タグ:自主規制
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