タイガーマスクの正体を暴露して腕を折られた太陽仮面ソラールの見た本当の地獄 [あの人は今]
前回からの続き。
大ブームを巻き起こしたプロレスラー、タイガーマスク。
「プロレススーパースター列伝」では正体佐山サトル説を一生懸命否定していたが、当時の学研の「アイドルコミックス」では割とガバガバな書き方。
タイガーマスクの正体はそれほど厳重に隠されていなかった?ということを引き続き検証する。
所有している文庫版「列伝」6巻の巻末で、記者から佐山サトル説を追及され、
猪木新間コンビは余裕の表情で「そう単純かどうか」と発言するコマがじわじわくる。
これはいわゆる「効いてないアピール」に他ならない。単純も単純だったのだ。
文庫版8巻から、正体は佐山サトルじゃないよーんキャンペーンが始まる。
その口火を切るのがメキシカンマスクマン、太陽仮面エル・ソラール。
「フッフッフ…タイガーマスクの正体はサヤマ・サトルなんて日本人じゃないが 同じ東洋人さ!」
そして、「国籍は香港!名は…ミスター・カンフー!!」
記者は何言ってんのって感じで珍しく正しいリアクションをとるが、ソラールは証拠写真を見せて、とりあえず佐山サトルとは別人という理解を得ようとする。
記者は「佐山サトルはこんな不気味につりあがった目じゃなくやさしい目つきをしていた。あ、あきらかにこれは別人の目だ!」と納得する。
このコマがいまひとつ意図がよくわからない。
原作の梶原一騎と、作画の原田久仁信の間で意思疎通がよく出来ていなかったのだろうか。
「不気味につりあがった目」というのはメイクであることは明らかだ。
そういう原作が上がってきても、メイクじゃないようにごまかす作画は可能なのに、原田久仁信はそうしてない。そもそも目つきが違うから別人なのだとしたら、タイガーマスクの正体がミスターカンフーだとする論拠も成り立たないのでは。非常に苦しい弁明だ。
ちなみにこの後、列伝でのタイガーは、カンフーというリングネームを過去に名乗ったことを認めるも、そのまま記事にすれば恥をかくと記者を脅かし、制裁とばかりに試合ではソラールの右腕をへし折ってボコボにしてしまう!このタイガーのテンションに記者も記事を書くことを躊躇してしまうという展開になる。
>かるがるしく覆面レスラーの秘密をしゃべることは、われわれレスラー仲間では、タブー(厳禁)とされている!うっかりおしゃべりして、仲間からフクロダタキにされた実例もあるほどで…その怒りがタイガーマスクに太陽仮面の腕をブチ折らせたのか?なにしろタイガーはケンカ殺法にかけても悪役養成機関(トラの穴)出身のアニメタイガーそのままメッポー強い!!アントニオ猪木(談)
と、解説が入る。
しかしこの試合を実際に見てみると、
タイガーが故意に折りにいったわけではなく、技の攻防中にソラールが脱臼してしまうという、明らかに不慮の事故だった。ソラールは脱臼して激痛に苦しみながらも、なんとか試合を続行させようと頑張っているのだ。
動画の6分あたりからソラールの挙動がおかしくなる。その後グダグダになり9分頃にタイガーが見せ場を作って試合を終わらせようとラッシュを仕掛ける。これが列伝のソラールボコボコシーンに採用される。が、小鉄はフィニッシュを認めない。。。
タイガーもなんとか試合をエンタメとして早く終わらせようと奮闘するのだが、レフリーの小鉄さんがなかなか諦めようとしない!漫画では小鉄さんが必死に止めたことになっているが。。。
この辺の小鉄さんの挙動は列伝のマイク・コステロ戦のエキサイトしてる姿とダブる。
健気に頑張ったソラールは、漫画では
「この野郎、なんて弱いんだッ!!太陽仮面なんてえらそーな名前つけやがってー!」と、エライ言われよう。日本の少年少女の中に、屈辱的なイメージを残して帰国したことになる。
この記事を書くまで、自分の認識も同じだった。
そもそも列伝にある、タイガーを激怒させた記者会見はあったのだろうか?
…まあ、無いだろう。
アクシデントがあった試合を使って、都合のいいように脚色したのだ。
役割とは言え、ちょっとソラールには気の毒すぎるが。
2010年にベースボールマガジン社から発売された「初代タイガーマスク30years1981-1983」では、見開きを使ってソラールの事故に触れ、健闘が称えられている。
その記事によると、
>この初来日はいいところのなかったソラールだが、その後、現在に至るまでずっと現役で戦っているということに驚かされる。02年には総合格闘技にもチャレンジし、10年7月には同じく大ベテランのネグロ・ナバーロといぶし銀の攻防を繰り広げた。タイガーとも02年にリングで再会。あれから30年の月日が流れ、あともう一度だけ見てみたいと思わせるカードである。
と結ばれている。
知らない人も多いだろうが、一応名誉の回復はなされたのだ。
続く。
大ブームを巻き起こしたプロレスラー、タイガーマスク。
「プロレススーパースター列伝」では正体佐山サトル説を一生懸命否定していたが、当時の学研の「アイドルコミックス」では割とガバガバな書き方。
タイガーマスクの正体はそれほど厳重に隠されていなかった?ということを引き続き検証する。
所有している文庫版「列伝」6巻の巻末で、記者から佐山サトル説を追及され、
猪木新間コンビは余裕の表情で「そう単純かどうか」と発言するコマがじわじわくる。
これはいわゆる「効いてないアピール」に他ならない。単純も単純だったのだ。
文庫版8巻から、正体は佐山サトルじゃないよーんキャンペーンが始まる。
その口火を切るのがメキシカンマスクマン、太陽仮面エル・ソラール。
「フッフッフ…タイガーマスクの正体はサヤマ・サトルなんて日本人じゃないが 同じ東洋人さ!」
そして、「国籍は香港!名は…ミスター・カンフー!!」
記者は何言ってんのって感じで珍しく正しいリアクションをとるが、ソラールは証拠写真を見せて、とりあえず佐山サトルとは別人という理解を得ようとする。
記者は「佐山サトルはこんな不気味につりあがった目じゃなくやさしい目つきをしていた。あ、あきらかにこれは別人の目だ!」と納得する。
このコマがいまひとつ意図がよくわからない。
原作の梶原一騎と、作画の原田久仁信の間で意思疎通がよく出来ていなかったのだろうか。
「不気味につりあがった目」というのはメイクであることは明らかだ。
そういう原作が上がってきても、メイクじゃないようにごまかす作画は可能なのに、原田久仁信はそうしてない。そもそも目つきが違うから別人なのだとしたら、タイガーマスクの正体がミスターカンフーだとする論拠も成り立たないのでは。非常に苦しい弁明だ。
ちなみにこの後、列伝でのタイガーは、カンフーというリングネームを過去に名乗ったことを認めるも、そのまま記事にすれば恥をかくと記者を脅かし、制裁とばかりに試合ではソラールの右腕をへし折ってボコボにしてしまう!このタイガーのテンションに記者も記事を書くことを躊躇してしまうという展開になる。
>かるがるしく覆面レスラーの秘密をしゃべることは、われわれレスラー仲間では、タブー(厳禁)とされている!うっかりおしゃべりして、仲間からフクロダタキにされた実例もあるほどで…その怒りがタイガーマスクに太陽仮面の腕をブチ折らせたのか?なにしろタイガーはケンカ殺法にかけても悪役養成機関(トラの穴)出身のアニメタイガーそのままメッポー強い!!アントニオ猪木(談)
と、解説が入る。
しかしこの試合を実際に見てみると、
タイガーが故意に折りにいったわけではなく、技の攻防中にソラールが脱臼してしまうという、明らかに不慮の事故だった。ソラールは脱臼して激痛に苦しみながらも、なんとか試合を続行させようと頑張っているのだ。
動画の6分あたりからソラールの挙動がおかしくなる。その後グダグダになり9分頃にタイガーが見せ場を作って試合を終わらせようとラッシュを仕掛ける。これが列伝のソラールボコボコシーンに採用される。が、小鉄はフィニッシュを認めない。。。
タイガーもなんとか試合をエンタメとして早く終わらせようと奮闘するのだが、レフリーの小鉄さんがなかなか諦めようとしない!漫画では小鉄さんが必死に止めたことになっているが。。。
この辺の小鉄さんの挙動は列伝のマイク・コステロ戦のエキサイトしてる姿とダブる。
健気に頑張ったソラールは、漫画では
「この野郎、なんて弱いんだッ!!太陽仮面なんてえらそーな名前つけやがってー!」と、エライ言われよう。日本の少年少女の中に、屈辱的なイメージを残して帰国したことになる。
この記事を書くまで、自分の認識も同じだった。
そもそも列伝にある、タイガーを激怒させた記者会見はあったのだろうか?
…まあ、無いだろう。
アクシデントがあった試合を使って、都合のいいように脚色したのだ。
役割とは言え、ちょっとソラールには気の毒すぎるが。
2010年にベースボールマガジン社から発売された「初代タイガーマスク30years1981-1983」では、見開きを使ってソラールの事故に触れ、健闘が称えられている。
その記事によると、
>この初来日はいいところのなかったソラールだが、その後、現在に至るまでずっと現役で戦っているということに驚かされる。02年には総合格闘技にもチャレンジし、10年7月には同じく大ベテランのネグロ・ナバーロといぶし銀の攻防を繰り広げた。タイガーとも02年にリングで再会。あれから30年の月日が流れ、あともう一度だけ見てみたいと思わせるカードである。
と結ばれている。
知らない人も多いだろうが、一応名誉の回復はなされたのだ。
続く。
初代タイガーマスク30years 上巻(1981ー1983)―永久保存版 新日本プロレス時代 (B・B MOOK 682 スポーツシリーズ NO. 554)
- 作者:
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2010/08/02
- メディア: ムック
初代タイガーマスク30years 下巻(1984ー2010)―永久保存版 UWFからリアルジャパンまで (B・B MOOK 683 スポーツシリーズ NO. 555)
- 作者:
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2010/08/02
- メディア: ムック
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