SSブログ

野球にもグルメにもあまり興味がない俺がサンプル読んでケチつけたにも関わらず絶賛する渡辺保裕「球場三食(きゅうじょうさじき)」 [名作紹介]

「球場三食(きゅうじょうさじき)」全4巻を電子化した。

野球場に限定したB級グルメ漫画だ。
俺は野球にあまり関心がない。
もっと言うと、この漫画に出てくるグルメにも全く心を動かされないのだが、この漫画は良かった。

そもそもなんでこの漫画を読んだかと言うと、アマゾンのオススメに何故か入っていて、なんとなくサンプルを数ページ読んだら気になって購入してしまったのである。さらに言えば、この漫画の第一話は、読み終えて振り返ってみれば、唯一欠点を抱えた回であったのだ。何を言ってるのかよく分からないかもしれないが。

この漫画は、作者のプロ野球愛と、その自らの観戦作法を語る漫画である。
おまけページに出てくる作者像は昭和のヤクザ映画に出てきそうなオッサンの風貌なのだが、それを30代のイケメン塾講師(担当編集者がモデルであるらしい)に置き換えている。近くに座ったリア充グループにマナー無視で色々気分を害されるのだが、そのグループの一員であるが連中とは一線を引いている野球オタクのメガネっ子美少女と意気投合。仲の良さを見せつけてしまうのが第一話。
球場三食1.png
まあリアリティがないし、モテないオタクが妄想で自分を慰めているようで痛すぎる構成の第一話だ。それでもその細かすぎる観戦作法のデティールに滅多打ちを食らって購入まで至ってしまったのである。作画も良い。アナログからして上手いのだろうが、それがデジタルにも及んでいる。写真のデジタル処理が多いが違和感なく、手抜き感が無いのだ。出てくる女の子たちが色っぽいのも良い。

何故恋愛を絡ませるのか、主人公がイケメンでないといけないのか、と言うのは最後まで引っかかってはいたが、担当編集者によるテコ入れであったらしい。マシリトがブルマと悟空にラブロマンスをやらせようとしつこかったと言う話を思い出した。連載はアフタヌーンで、作者的には初のメジャーマウンドに上がる気分で、監督の指示を無視できなかったらしい。

ちなみにメガネ美少女とは最終話の1話手前で結ばれるが、最終話には全く出てこないことから、これは最後ぐらい自分の好きことだけやろうという作者の意地なのではないのかと思ってしまう。あと口説き方はなっとらんと個人的には思う。そもそもこんなイケメンで、多勢の若い女の子相手に仕事してる塾講師のそっち方面のデティールが全く描かれておらず不自然極まりない。
球場三食3.png
第一話が「オタクの俺が若い美人さんを連れて観戦できて周りに見せつけられたらなあ!」という印象だったので、この漫画に出てくる女連れでない男性オタクたちすべてに、どこか悲しさも感じてしまったりもしたのだった。

まあそれでもこの漫画はとても面白いと思うのである。
(どないやねん)

 
各巻末にメイキングインタビューが載っている。
ある球場のスタッフが素晴らしかったので漫画にしたところ、その警備会社から社内報に使わせてくれと連絡があり、その冊子が届いたので作者が読んでみると、専務のコメントとして「田中さん(そのスタッフ)のサービスが作者の心を打ったのです」と書かれていたという。いい話。
球場三食2.png
しかしだ、作中ではそのスタッフ名前が書かれていない。結構な人数がいると思うのだが、それでも特定できるほど作画が似ていたということなのだろうか。写真取り込みが多そうな漫画ではあるが、おそらく人物に関しては記憶か、あるいはロングショットの小さい写真を頼りに描かれていると思うのだが、それでも特定に至るほど似ているのだとしたらすごい話だ。

 
電子化して読み返して初めて気がついたが、球場のキラーアングルから「たまらない」というのが決めゴマとなっている。読み返すまで気がつかなかったが、そんなところも良いと思うのである。完結してからちょっと経つけども、ドラマ化とかで再評価とかないのだろうか。
球場三食4.png
wikiの作者の項目を読んでみたが、なんと1967年生まれで俺よりも10近く年上だった!紛れもないオッサンじゃん。作画が若いなあ!

 

[まとめ買い] 球場三食

[まとめ買い] 球場三食

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。