松本零士の訃報から読んだ「漫画歴史博物館」で若き日の田中正雄に再会する。 [あの人は今]
松本零士先生が亡くなられた。
正直、ほとんどの作品と親しんだ事がない。
が、好きな漫画家の多くが敬愛している漫画家なので偉大さは分かる。
島本和彦や江川達也の影響でハーロックを文庫で買った事があるのだが、どこかにいってしまった。
訃報をきっかけに前から気になっていた松本零士の著作、
「漫画大博物館」(日高敏との共著)を購入。
氏は古い漫画コレクターとしても有名で、この本はその松本零士コレクションの中から、
1924年から1959年に出版された漫画単行本を紹介したもの。
2004年に出版されたこの「漫画大博物館」は、
1980年の「漫画歴史大博物館」をリニューアルしたもの。
調べても違いが分からなかったので安くて新しい方を買ったのだが、
旧版には外国漫画が掲載されており、取り扱う作品の年代も3年長い。
単純にページを削った増やしたという話ではないようで、どちらの版にも一長一短はあるのだろう。
しかしなんだか損した気分になったので結局旧版の方も購入しちゃったい。
もちろん、あまり安い買い物ではない。
漫画読みというのは少し読んだぐらいですぐ詳しい気になって、
あれはこの作品のパクリだなんだ、やれ最近の漫画はつまらないなどと尊大な態度をとりがち。
誰でも通る道だけど。
が、この年になっても知らない作品が山ほどあることに気付かされる。
当時人気作と持て囃された作品ですら、全てを把握して記憶するのは不可能な量がある。
そんなことにちょっとでも抗いたくて、今回大枚はたいてみました。
さて、年代順に読み進めていて基本的に知らない漫画家ばかりで当然なのだが、
そんな中で子供の頃から愛読している「学研まんが人物日本史」で描いていた作家を見つけた。
田中正雄と太田じろうだ。二人の歴史漫画は今読んでも面白い。
過去の二人と再会したのは昭和23年の項。なんだろうこの感覚は。
自分が生まれる前の時代にタイムスリップした先で知ってる人と遭遇したみたいな。
不思議な感動を覚える。
田中正雄は手塚治虫と親しかったらしく、そのことを漫画にしている。
おそらく手塚が亡くなったのをきっかけにしたのだろう。
それをホームページで読むことができるのだが素晴らしい!その表現力に惚れ惚れする。
こんなの読まないのは人生の半分ぐらい損してると割とマジで思うので、
少しでも多くの人に読ませたいとブログで紹介する機会を窺っていたのだが、
「漫画大博物館」購入をきっかけにTwitterに書いたら結構な反応があった。
田中正雄の作品は前述した「学研まんが人物日本史」等なら電子で手軽に読む事ができる。
新装版は装丁がちょっと好きじゃないんですけど。
チャーリーブラウンみたいなキャラクターがかわいい。
自分が所有している作品は全て学研に描かれたもの。
「伊藤博文」「日蓮」「源頼朝」「平清盛」「平将門」「徳川家光」「日本の歴史11巻」「日本の歴史15巻」「日本の歴史16巻」
中でもオススメは「伊藤博文」。
伊藤博文の友達だったという近所のお爺さんから聞いた話を基に描いたと、最後のページで作者自ら出演して子供たちにメッセージを伝えている。
「ねえ、やる気になれば、人間一生の間にすばらしいことができるんだね。」
子供を大事にしてそうな人柄が伝わってくる。
ひとつ欠点を挙げるとすれば、作風に毒がなさすぎること。
田中正雄にかかると、女好きの伊藤博文も源頼朝も聖人君子みたいに描かれてしまう。
親が安心してお子様に買い与えられるのは間違いないが、毎回そんな感じなのでちょっとワンパターンかなと思ってしまう。
そんな田中正雄ブームだった私が、
今ハマってるんだと「日本の歴史16巻」の表紙(旧版)を知人に見せたところ、
「行くとこまで行っちゃったね」と温かい言葉をいただきました。
正直、ほとんどの作品と親しんだ事がない。
が、好きな漫画家の多くが敬愛している漫画家なので偉大さは分かる。
島本和彦や江川達也の影響でハーロックを文庫で買った事があるのだが、どこかにいってしまった。
訃報をきっかけに前から気になっていた松本零士の著作、
「漫画大博物館」(日高敏との共著)を購入。
氏は古い漫画コレクターとしても有名で、この本はその松本零士コレクションの中から、
1924年から1959年に出版された漫画単行本を紹介したもの。
2004年に出版されたこの「漫画大博物館」は、
1980年の「漫画歴史大博物館」をリニューアルしたもの。
調べても違いが分からなかったので安くて新しい方を買ったのだが、
旧版には外国漫画が掲載されており、取り扱う作品の年代も3年長い。
単純にページを削った増やしたという話ではないようで、どちらの版にも一長一短はあるのだろう。
しかしなんだか損した気分になったので結局旧版の方も購入しちゃったい。
もちろん、あまり安い買い物ではない。
松本零士先生の訃報をきっかけに、
— ムゲンホンダナ(本棚持ち歩き隊) (@hondanamotiaru) February 25, 2023
前から気になってた「漫画大博物館」を購入。
80年に出版された「漫画歴史大博物館」とどう違うのか、
調べても分からなかったので安くて新しい方を選んだ。
画像左はTwitterから拝借した漫画歴史大博物館の画像。
右が漫画大博物館の画像。けっこう違うね。 pic.twitter.com/ojeSlxGUoW
漫画読みというのは少し読んだぐらいですぐ詳しい気になって、
あれはこの作品のパクリだなんだ、やれ最近の漫画はつまらないなどと尊大な態度をとりがち。
誰でも通る道だけど。
が、この年になっても知らない作品が山ほどあることに気付かされる。
当時人気作と持て囃された作品ですら、全てを把握して記憶するのは不可能な量がある。
そんなことにちょっとでも抗いたくて、今回大枚はたいてみました。
さて、年代順に読み進めていて基本的に知らない漫画家ばかりで当然なのだが、
そんな中で子供の頃から愛読している「学研まんが人物日本史」で描いていた作家を見つけた。
田中正雄と太田じろうだ。二人の歴史漫画は今読んでも面白い。
過去の二人と再会したのは昭和23年の項。なんだろうこの感覚は。
自分が生まれる前の時代にタイムスリップした先で知ってる人と遭遇したみたいな。
不思議な感動を覚える。
田中正雄は手塚治虫と親しかったらしく、そのことを漫画にしている。
おそらく手塚が亡くなったのをきっかけにしたのだろう。
それをホームページで読むことができるのだが素晴らしい!その表現力に惚れ惚れする。
こんなの読まないのは人生の半分ぐらい損してると割とマジで思うので、
少しでも多くの人に読ませたいとブログで紹介する機会を窺っていたのだが、
「漫画大博物館」購入をきっかけにTwitterに書いたら結構な反応があった。
田中正雄の作品は前述した「学研まんが人物日本史」等なら電子で手軽に読む事ができる。
新装版は装丁がちょっと好きじゃないんですけど。
チャーリーブラウンみたいなキャラクターがかわいい。
自分が所有している作品は全て学研に描かれたもの。
「伊藤博文」「日蓮」「源頼朝」「平清盛」「平将門」「徳川家光」「日本の歴史11巻」「日本の歴史15巻」「日本の歴史16巻」
中でもオススメは「伊藤博文」。
伊藤博文の友達だったという近所のお爺さんから聞いた話を基に描いたと、最後のページで作者自ら出演して子供たちにメッセージを伝えている。
「ねえ、やる気になれば、人間一生の間にすばらしいことができるんだね。」
子供を大事にしてそうな人柄が伝わってくる。
ひとつ欠点を挙げるとすれば、作風に毒がなさすぎること。
田中正雄にかかると、女好きの伊藤博文も源頼朝も聖人君子みたいに描かれてしまう。
親が安心してお子様に買い与えられるのは間違いないが、毎回そんな感じなのでちょっとワンパターンかなと思ってしまう。
そんな田中正雄ブームだった私が、
今ハマってるんだと「日本の歴史16巻」の表紙(旧版)を知人に見せたところ、
「行くとこまで行っちゃったね」と温かい言葉をいただきました。
この記事を読んだ直後、田中正雄先生のホームページで「大阪時代に出会った手塚治虫」を読んで、とにかく素晴らしかったんでもう一回読もうとしたら、あれれ、リンク無くなっている?
学研まんがはやっぱりいいですね。
by 智 (2023-08-21 23:58)
ほんとだ!無くなってる!やばい!Σ(°Д°;
by hondanamotiaruki (2023-08-22 01:46)
「伊藤博文」はシリーズ中一番のメタ作品。
伝記漫画や歴史漫画は他社でも沢山出ているけど、作者の知人が語り部だなんて、ここまでメタなのは無いだろう。
田中さんの作品は歴史漫画しか知らないけど、折り目正しくて王道だと思う(ご指摘の通り作風に毒がなさすぎる)。
by お名前(必須) (2023-09-17 03:33)
大人になってわかる「伊藤博文」の異色さは際立ってますよね。
ここまで「私」の視点で描かれた学習まんががあっただろうか?
監修の偉い先生がどう見てたかも興味深いですね。
by hondanamotiaruki (2023-09-22 07:55)
こんばんは。
田中正雄先生の歴史漫画では「源頼朝」が好きですね。性善説で描かれているのですが、その分、様々な事情で次々と弟たちを殺めていく立場に立たされる源頼朝の無常感が際立った作品ですね。とくに狂言回しの男の子の「どうして兄弟で殺しあわなきゃいけないんだろう」の後の出兵場面は傑作だと思います。
思えば友人の手塚治虫は同じ題材で「火の鳥」では義経さえも悪人として描いているんですよね。その辺の違いが面白い。
歴史漫画といえばやりたい放題のムロタニツネ象さんも好きでしたね。そういえば「卑弥呼」も手塚の火の鳥とは逆の登場人物設定でした。
by ネスカフェ (2023-11-05 20:39)
ムロタニツネ象はほとんど学研まんがでしか読んだことないのですが、漫画としての普遍的な面白さがあると感じますね。「世界の歴史」全15巻を全てムロタニ先生に描かせたのは、あおむら純に「少年少女日本の歴史」全巻を描かせたのに匹敵する英断だったと思います。
by hondanamotiaruki (2023-11-06 09:40)
ごん太爺さんの話を聞いていた田中少年は中学生ぐらいだと思ってたけど、実際は19歳だったのか。
「伊藤博文」は、幕末と終戦が100年も経っていない事を思い知らされる。1945-1868=77。
by お名前(必須) (2024-02-04 22:08)
なるほど、ラストが昭和21年。
田中正雄がデビューするのが昭和22年!
辻褄が合う。
でもなんか平和な感じで終戦直後っぽくないですね。
昭和20年の和歌山市は空襲で市域の70%を消失したそうです。
全焼2万7,402戸・重軽傷者4,438人、死者1,101人
by hondanamotiaruki (2024-02-05 03:58)