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手塚治虫と並ぶ人気があっても、50年経つと忘れ去られる? [あの人は今]

「手塚治虫とトキワ荘」読んでいたらば、
サンデーとマガジン創刊時のくだりで気になったことがある。
少年マガジン創刊号に起用した漫画家に、高野よしてるという人がいたと書かれている。

当時は手塚治虫と並ぶ人気漫画家だったそうだ。
知ってる?俺は全然知らなかった。
手塚治虫と並ぶ人気の漫画家なのに。

今の感覚で言ったら、将来ワンピースのことをみんな覚えているのに、ナルトやブリーチを誰も覚えてないみたいなことじゃないすか。

ちょっと気になって調べて見た。
高野よしてるが少年マガジン創刊号から始めた漫画のタイトルは「13号発進せよ」
巨大ロボット漫画である。逃げも隠れもしない、鉄人28号インスパイア漫画である。

本を取り寄せてみたが、説明文にも堂々「鉄人28号に対抗して描かれた」とある。
13号の体はブルーで鉄人と同じ。頭だけ赤い。ゴーグルタイプのジム系のご尊顔である。
鉄人と同じく誰でもリモコンで操縦でき、主人公の名前は正太郎ならぬ京太郎であった。
この漫画については次回細かく紹介する予定。
高野1.png
作画がいいなと思った。
それが購入に至った理由の一つ。
確かなデッサン力がウリの一つだったらしい。

調べてみると、雑誌編集長だったこともあるらしく、いい意味で商売人目線でニーズを取り入れられるフットワークの軽い人だったのだろうと想像している。最大で月に15本も連載を抱えるほどの売れっ子だったが、20年続けて体を壊すと思ったのか1970年に断筆して写真館を始めたそうだ。

 
手塚治虫と並ぶ人気でも、おそらく俺世代になるとほとんど知らない。

手塚治虫が多作だった理由の一つに忘れられないようにという強迫観念があったという人もいる。「忘れられるわけないじゃん、もっとのんびり仕事すりゃいいのに」と思ってしまうが、やはり手塚の心配は半分正しいのかなとも今思う。

手塚治虫は石ノ森章太郎に「漫画は残りませんよ」と言ったそうである。
残りません.png
「…マンガは残りませんよ。」
「…そうかなァ… そうでしょうか。」
「作者と一緒に時代と共に、風のように吹き過ぎていくんです。ーそれでいいんです。」

ワンピースは長く人の記憶に残ると思うが、ナルトやブリーチはどうか。
いや、今と市場規模も全然違うし、当然同じレベルで語ることはできないが、意外と残らないこともあるかもしれない。忘れてはいけないのが、忘れ去られる訳が無いと当時思われていた漫画が、現在あっさり忘れ去られそうになっているという事実である。

 
高野よしてるについて驚いたのは「13号発進せよ」以前にも巨大ロボット漫画を描いていて、タイトルが「赤ん坊帝国」。高い知能を持った赤ん坊たちが団結して宇宙人と戦う話だそうだが、この漫画に出てくるロボットはなんと大仏なのだそうだ。シュール!

やはり当時の感覚では巨大で戦うものというと大仏という認識がスムーズだったのだろうか。
ちなみに途中で大仏が奪われて敵になり、もう一つの大仏を味方にして戦う。
奈良の大仏vs鎌倉の大仏みたいなことになるのだそうだ。ガンダム0083を先取りしている!

検索してよく出てくるのは、泉ゆき雄によるリメイク版。

ゲームセンターあらしにも同じタイトルの話があるが、影響があるのかもしれない。
あの高須クリニックの院長も「赤ん坊帝国」を愛読していたという。

読んでみたいが、復刻版的なものはなさそう。
いまアニメ化なんかしたら意外とヒットするのではなかろうか。

 

13号発進せよ [完全版]  コミック 全2巻  完結セット

13号発進せよ [完全版] コミック 全2巻 完結セット

  • 作者:
  • 出版社/メーカー:
  • メディア: コミック



手塚治虫とトキワ荘

手塚治虫とトキワ荘

  • 作者: 中川 右介
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/05/24
  • メディア: 単行本






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