「民法だって決して動物を物扱いにしろとは言ってないんです。」、高井研一郎「あんたの代理人」 [時事ネタ]
ある歌手がワイドショーの発言で炎上しているらしい。
通りすがりの人が、散歩中に犬を蹴り続ける飼い主をSNSで告発。飼い主は懲らしめられ、犬も引き取られてハッピーエンドというニュースだったのだが、その歌手が「警察や愛護団体に通報するべき。SNSは疑問」というような発言をしたのだそうだ。
偶然、この件について不満をツイートしている人を見たのだが、「警察は動物をモノ扱いして役に立たない」と言っていて、俺は高井研一郎作画、浅野拓脚本の「あんたの代理人」を思い出したのだった。
「あんたの代理人」では動物愛護法に関するエピソードが2編ある。
2巻6話「仇討ち」と、5巻4話「ポチは物じゃない」だ。
「仇討ち」では牛舎に住み着いていたので可愛がっていた迷い鹿がハンターに撃たれてしまう話。
「そいつぁひでえ話だな。なあ論平、そういうの法律で罰せられないのか?」
「おい論平よ、罪になんだろ?」
「許せねえよっ!」
「動物虐待の罪なんてあんのかい?」
「器物損壊になるんだよ。」
「器物?物扱いなの?」
「ああ。動物殺しは刑法ではそういう扱いになってる。」
(注:あんたの代理人の連載時期は1987〜90年。法律監修は山崎司平)
ハンターが法律をちょっとかじった地元の名士だったから、ちょっと手強い。旅先で牛舎の相談にのった主人公は六法全書を購入して再勉強。相手の六法全書が古かったことから勝機をつかんだ。
(えらい散財だとボヤいている主人公。アマゾンで六法全書を検索したら1万3500円もした!)
「ポチは物じゃない」は、怪我した犬を拾って治療した依頼者が、犬に愛情のないブリーダーに引き取らせたくなくなりトラブルとなる話。主人公は拾い主の権利を最大限行使して、採算を取れなくして飼い主に引き取りを諦めさせるというオチ。
どちらの話も法律を駆使して相手を論破するが、人としての道理を説教して締めることも忘れない。これがいいのだ。
「条文なんてどうでもいいんだよ!」
「問題はあんたらが赤ん坊の手をねじるように鹿を殺したってことだ!!」
「六法全書なんて本にはですね…、人の心とか優しさなんて言葉は、高級すぎて載ってないんです。」
「勘違いしないでくださいよ!」
「民法だって、決して動物を物扱いにしろとは言ってないんです。」
「ただ便宜上モノとしているだけです。」
「いいですか、どう言いくるめたって生きてるんです!痛いのが嫌なのは人間と一緒なんです!!」
客と接する仕事というのは、規模が大きくなれば大きくなるほど、全員になるべく平等に接しないといけなくなる。お国の仕事というのは究極の全国チェーンなので、ペットを便宜上モノ扱いにしないと(極端な言い方をすれば)それこそ生類憐れみの令になってしまう。警察嫌いも結構だけども、それで非人間扱いする人の人間性もどうなのかなとは思う。でもそういう挙がる声があるからこそ、あんたの代理人のように法律が変わることもあるのだろう。
「ほらこれだ!四十八年にはいい法律ができてるんだ!!」
今回の件についてはSNSが一番よかったと思う。
なぜ炎上した歌手がそこに疑問を呈したのか。
こういうワイドショーはことさらこういうことを言い出す傾向にあると思うので、台本通り言わされたのかもしれない。もうちょっと深読みすると、いつ誰から撮影されているかもわからない芸能人だからこそ分かる、SNSの恐さがあるのかもしれない。
むかし居た職場で、建物の構造上の欠陥で、仕事とプライベート空間の仕切りが曖昧になっていて、それで自分がクレームをもらったことがあった。落ち込んで上司から慰められて終わった話なのだが、クレームのメールには「撮影したのでYoutubeにあげようかと思った」と書いてあって、それが実行されていたらと考えると今も心底ゾッとする。
だから、なんでもSNSにとやっていると、今に思いも寄らない悲劇が起こることになるから(すでに起こっているのかもしれない)誰かが警鐘を鳴らさなければならないというのも分かる気はするのだ。それが今回の虐待ニュースでかどうかは微妙なところだけども、社会の公器だったら炎上上等でそこまでやって仕事を果たしたことになるのかもしれない。
通りすがりの人が、散歩中に犬を蹴り続ける飼い主をSNSで告発。飼い主は懲らしめられ、犬も引き取られてハッピーエンドというニュースだったのだが、その歌手が「警察や愛護団体に通報するべき。SNSは疑問」というような発言をしたのだそうだ。
偶然、この件について不満をツイートしている人を見たのだが、「警察は動物をモノ扱いして役に立たない」と言っていて、俺は高井研一郎作画、浅野拓脚本の「あんたの代理人」を思い出したのだった。
「あんたの代理人」では動物愛護法に関するエピソードが2編ある。
2巻6話「仇討ち」と、5巻4話「ポチは物じゃない」だ。
「仇討ち」では牛舎に住み着いていたので可愛がっていた迷い鹿がハンターに撃たれてしまう話。
「そいつぁひでえ話だな。なあ論平、そういうの法律で罰せられないのか?」
「おい論平よ、罪になんだろ?」
「許せねえよっ!」
「動物虐待の罪なんてあんのかい?」
「器物損壊になるんだよ。」
「器物?物扱いなの?」
「ああ。動物殺しは刑法ではそういう扱いになってる。」
(注:あんたの代理人の連載時期は1987〜90年。法律監修は山崎司平)
ハンターが法律をちょっとかじった地元の名士だったから、ちょっと手強い。旅先で牛舎の相談にのった主人公は六法全書を購入して再勉強。相手の六法全書が古かったことから勝機をつかんだ。
(えらい散財だとボヤいている主人公。アマゾンで六法全書を検索したら1万3500円もした!)
「ポチは物じゃない」は、怪我した犬を拾って治療した依頼者が、犬に愛情のないブリーダーに引き取らせたくなくなりトラブルとなる話。主人公は拾い主の権利を最大限行使して、採算を取れなくして飼い主に引き取りを諦めさせるというオチ。
どちらの話も法律を駆使して相手を論破するが、人としての道理を説教して締めることも忘れない。これがいいのだ。
「条文なんてどうでもいいんだよ!」
「問題はあんたらが赤ん坊の手をねじるように鹿を殺したってことだ!!」
「六法全書なんて本にはですね…、人の心とか優しさなんて言葉は、高級すぎて載ってないんです。」
「勘違いしないでくださいよ!」
「民法だって、決して動物を物扱いにしろとは言ってないんです。」
「ただ便宜上モノとしているだけです。」
「いいですか、どう言いくるめたって生きてるんです!痛いのが嫌なのは人間と一緒なんです!!」
客と接する仕事というのは、規模が大きくなれば大きくなるほど、全員になるべく平等に接しないといけなくなる。お国の仕事というのは究極の全国チェーンなので、ペットを便宜上モノ扱いにしないと(極端な言い方をすれば)それこそ生類憐れみの令になってしまう。警察嫌いも結構だけども、それで非人間扱いする人の人間性もどうなのかなとは思う。でもそういう挙がる声があるからこそ、あんたの代理人のように法律が変わることもあるのだろう。
「ほらこれだ!四十八年にはいい法律ができてるんだ!!」
今回の件についてはSNSが一番よかったと思う。
なぜ炎上した歌手がそこに疑問を呈したのか。
こういうワイドショーはことさらこういうことを言い出す傾向にあると思うので、台本通り言わされたのかもしれない。もうちょっと深読みすると、いつ誰から撮影されているかもわからない芸能人だからこそ分かる、SNSの恐さがあるのかもしれない。
むかし居た職場で、建物の構造上の欠陥で、仕事とプライベート空間の仕切りが曖昧になっていて、それで自分がクレームをもらったことがあった。落ち込んで上司から慰められて終わった話なのだが、クレームのメールには「撮影したのでYoutubeにあげようかと思った」と書いてあって、それが実行されていたらと考えると今も心底ゾッとする。
だから、なんでもSNSにとやっていると、今に思いも寄らない悲劇が起こることになるから(すでに起こっているのかもしれない)誰かが警鐘を鳴らさなければならないというのも分かる気はするのだ。それが今回の虐待ニュースでかどうかは微妙なところだけども、社会の公器だったら炎上上等でそこまでやって仕事を果たしたことになるのかもしれない。
タグ:高井研一郎
2019-02-18 10:41
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