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いうほど父親は娘さんをくださいの場面で乗り込んでこない!平松伸二の「そしてボクは外道マンになる」が売れない理由 [新刊]

自伝的漫画、「そしてボクは外道マンになる」の3巻を購入。
少年ジャンプを出てからの作品に馴染めなかったが、四半世紀ぶりぐらいにちゃんと読んでいる平松伸二作品だ。評判はいいが作者が思うほど売れてないらしく、その辺「ど根性ガエルの娘」とかぶる。60を越えた作者の集大成的な作品になるだけに、やり残しがなければいいなと思う。

3巻は「キャプテン翼」の高橋陽一や、「高校鉄拳伝タフ」の猿渡哲也が登場。
作者自らデスノートのパクリとツッコミを入れての壮絶な一人芝居など、いよいよ面白くなってきている。
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ただ前にも書いた通り、エンターティメントでやってきた作者の変なクセが出ている。
売れてない理由を探すと、ここが原因なのではと思ってしまう。

象徴的なのが、婚約者の両親と対面する場面。
漫画家を水商売だと認めない婚約者の両親に対して、1億円の通帳を見せびらかして説得しようとするシーンは面白い。ものすごい面白いとこだと思うのだが、サラッと描いていて勿体無いぐらいだ。

問題はそこに作者の父親が「ちょっと待った!」と襖を開けて殴り込んで来るシーン。これはない。漫画やドラマでは良くある展開だが、言うほど人は襖を開けて殴り込んで来ない。
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フィクション前提なら流してしまうところだが、これは実話を基にしている漫画だ。実に嘘っぽいし、陳腐な演出だ。おそらくこれはずっとエンタメでやってきた平松伸二のクセなんだと思う。父親を最初から同席していたというシチュエーションが許せない。ここを脱皮出来ないことには、新しい読者層を開拓してこの漫画をメガヒットに導くことはないのではと思ってしまう。実に読んでいて歯がゆい。

他にもパロディにしたレスラーに首を絞められるシーンも問題だ。
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実際はボブサップにヘッドロックをかけられるぐらいのノリのじゃれ合いだったと思う。この話を聞いた義父が大笑いするコマがあるが、実際そんな程度の話だろう。それを盛っているのだろうが、漫画では真剣なピンチの「引き」として演出しており、リアリティが無い。プロレスを真剣勝負だと思って見ていたファンが多かった時代の発想だ。ちなみに、たまたま所有していたプロレス雑誌における平松氏のインタビューをチェックしてみたが、このエピソードは入ってなかった。したのかもしれないが、ハネられる程度の話だということだ。

 
有望な新人だった猿渡哲也の手を潰そうとするシーンも嘘くさい。
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まあ、実際妄想するぐらいはあったのだろうが、潰しかけて良いタイミングで思いとどまったまでするとやり過ぎだ。このシーンに説得力を持たせるには、前フリとして相当追い込まれてる感が必要なのではないか。例えば日常的に犬猫を傷つけて遊んでるとか。おそらく4巻で収録される話で、「あの頃の平松さんはヤバかった」と猿渡氏が証言するシーンがあったが、ここで使っていれば良かったのにと思う。

超ベテラン作家の作品に素人が知った風な口をきくのもリスペクトに欠ける行為だと思うが、追い詰めるほど伸びる作家だとも作品内で説明されているのでまた書いてみた。繰り返しになるが、この作品は売れてほしい。やり残しがないようにしてほしい。特に集英社は気合を入れて世間に売り込んで欲しい。

あと、平松氏が外道マンに変わるシーンがスムーズに移行しなかった気がする。アイシャドウとかやると思ってたのに。

 

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そしてボクは外道マンになる 2 (ヤングジャンプコミックス)

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  • 作者: 平松 伸二
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: コミック

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