狩撫麻礼追悼!「ハード&ルーズ」に学ぶ男の生き様!!5 [シリーズ]
引き続き「ハード&ルーズ」の名作回を発表して行く。
ただ、男の生き様が重要なテーマゆえに言語化すると陳腐になってしまう名作回も多い。ひとまずインスタ映えしそうな、構成が秀逸な名作回と断っておく。
第1位
「聖バレンタインデー」
銀座で独り、ダンボールを積んだリヤカーを引く男。
どこか十字架を背負ってゴルゴダの丘へ進むキリストのようで人目を引いていた。
一流会社に勤めるお嬢様がその男に恋をする。
同僚を引き連れて男の身元調査を依頼してきた。
「素敵なんです…。」
「きっと何か訳がある方に違いありません。新劇の俳優さんが修行してるとか孤高の天才詩人だったりとかあたしたち色んなこと妄想してますの。」
「バレンタインデーの日までにどうしても知りたいんです。引き受けてくださいます?」
軽く依頼を引き受ける探偵事務所のムードメーカー良平。
何か不安を感じるという女性探偵の陽子。
苦々しい顔をしながら遠くから依頼を聞いていた土岐にコメントを求めるも、土岐は依頼カードを放り投げ、無言で退出。
調査を開始。
普通にホームレスな生活をしているターゲット。
道を尋ねるふりをして話しかけるも、ターゲットは少し狼狽した風な表情を見せて無視。
ホームレス仲間を懐柔して情報を集めると、男がなんの変哲もないホームレスだとわかるついでに、何か説教される。
「要するに…だ。おめえたちは図々しいんだよッ」
「俺たちゃ他人(ひと)が恐ろしくて恐ろしくて口も利けねーほど恐ろしくて…こーゆー具合になっちまったのよ」
「あの男にも”いわく”なんぞはありゃしねえ。ただの神経症だァな。」
「お…おめえたちは平気で他人を傷つけやがるんだ。だからヌケヌケと世の中を渡っていけるんだよゥ。」
「押しても引いても彼氏はあーゆーヒトみたいです」と依頼人に報告する良平。
依頼者の島田ユカリはもうラブレターまで用意してあるという。お別れにせめてチョコレートだけでも渡したら?と提案する同僚。素敵なケジメだと話は決まる。
「男は突然ハンマーを島田さんの顔に振り下ろし…」
「男はその場で駆けつけた銀座署員に逮捕されました。幸いに島田さんは全治三週間ほどの…」
ニュースに驚愕する探偵事務所員たち。
なんとも言えない顔をしながら、背中越しに所員の報告を受ける土岐。
落ち込む良平。
とても渡せる状態じゃないと、チョコレートを捨てる女性探偵たち。
土岐は独り酒場で飲みつつ、
「俺は断固あの男を支持する。」
と心の内で呟きグラスを置く。
この話で土岐が喋るのは最後のひとことだけ。
その内情まで完璧にわかったとは思えないが、何か頷いてしまう。
土岐もこの結末までは予想していなかったと思う。
世の中には「良かれと思って」とか「話せばわかる」が通じない世界があるという畏怖が足りなかったのかなあと考える。浮浪者に恋するOL。なんか面白い話だし、やってみて損はないんじゃない?と、電車男の掲示板を読んでいるみたいに気軽に後押ししてしまうかもしれない。
実際に起こりそうな話ではある。
色々と想像の余地を残す読後感。これが俺の選ぶ「ハード&ルーズ」名作回1位だ。
ただ、男の生き様が重要なテーマゆえに言語化すると陳腐になってしまう名作回も多い。ひとまずインスタ映えしそうな、構成が秀逸な名作回と断っておく。
第1位
「聖バレンタインデー」
銀座で独り、ダンボールを積んだリヤカーを引く男。
どこか十字架を背負ってゴルゴダの丘へ進むキリストのようで人目を引いていた。
一流会社に勤めるお嬢様がその男に恋をする。
同僚を引き連れて男の身元調査を依頼してきた。
「素敵なんです…。」
「きっと何か訳がある方に違いありません。新劇の俳優さんが修行してるとか孤高の天才詩人だったりとかあたしたち色んなこと妄想してますの。」
「バレンタインデーの日までにどうしても知りたいんです。引き受けてくださいます?」
軽く依頼を引き受ける探偵事務所のムードメーカー良平。
何か不安を感じるという女性探偵の陽子。
苦々しい顔をしながら遠くから依頼を聞いていた土岐にコメントを求めるも、土岐は依頼カードを放り投げ、無言で退出。
調査を開始。
普通にホームレスな生活をしているターゲット。
道を尋ねるふりをして話しかけるも、ターゲットは少し狼狽した風な表情を見せて無視。
ホームレス仲間を懐柔して情報を集めると、男がなんの変哲もないホームレスだとわかるついでに、何か説教される。
「要するに…だ。おめえたちは図々しいんだよッ」
「俺たちゃ他人(ひと)が恐ろしくて恐ろしくて口も利けねーほど恐ろしくて…こーゆー具合になっちまったのよ」
「あの男にも”いわく”なんぞはありゃしねえ。ただの神経症だァな。」
「お…おめえたちは平気で他人を傷つけやがるんだ。だからヌケヌケと世の中を渡っていけるんだよゥ。」
「押しても引いても彼氏はあーゆーヒトみたいです」と依頼人に報告する良平。
依頼者の島田ユカリはもうラブレターまで用意してあるという。お別れにせめてチョコレートだけでも渡したら?と提案する同僚。素敵なケジメだと話は決まる。
「男は突然ハンマーを島田さんの顔に振り下ろし…」
「男はその場で駆けつけた銀座署員に逮捕されました。幸いに島田さんは全治三週間ほどの…」
ニュースに驚愕する探偵事務所員たち。
なんとも言えない顔をしながら、背中越しに所員の報告を受ける土岐。
落ち込む良平。
とても渡せる状態じゃないと、チョコレートを捨てる女性探偵たち。
土岐は独り酒場で飲みつつ、
「俺は断固あの男を支持する。」
と心の内で呟きグラスを置く。
この話で土岐が喋るのは最後のひとことだけ。
その内情まで完璧にわかったとは思えないが、何か頷いてしまう。
土岐もこの結末までは予想していなかったと思う。
世の中には「良かれと思って」とか「話せばわかる」が通じない世界があるという畏怖が足りなかったのかなあと考える。浮浪者に恋するOL。なんか面白い話だし、やってみて損はないんじゃない?と、電車男の掲示板を読んでいるみたいに気軽に後押ししてしまうかもしれない。
実際に起こりそうな話ではある。
色々と想像の余地を残す読後感。これが俺の選ぶ「ハード&ルーズ」名作回1位だ。
2018-01-22 08:50
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