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桜玉吉に匹敵する才能、初単行本が最後になった?すのうちさとるの「ファミコン必笑コミック」 [ゲーム]

こどもの頃感じていたこと。ジャンプ巻末の作者コメント欄で一番つまらなかったのが新刊の発売告知。「単行本出ます。買ってね。」とか、割と事務的に書かれているので、別に作者は買っても買わなくてもどっちでもいいんだろうなあとか思っていた。そんな事は絶対無いと今は思うが。ミュージックステーションで、スカした態度で告知してるミュージシャンを連想してしまうのだ。

面白いか面白く無いかは人による。性癖と同じだ。商売になるかならないかが、面白さを測る共通の物差しとして最も近いことは間違いない。それがプロ意識というものだと思う。
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すのうちさとる以上に単行本化の喜びを表現した漫画家を見たことがない。何しろ表紙からして「苦節10年初単行本」と嬉し泣きしているのだ。ページを開いてみれば、単行本購入を勧める4コマ、初単行本化記念の描き下ろし、作者インタビューや解説などなど盛りだくさん。解説には「これまで作品の発表の場が三流エロ漫画誌に限られており、その才能は10年埋もれていた」とある。取引相手を三流と書いてしまうあたり、ものすごい信頼関係があるのだろうか。
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この漫画はゲーム雑誌「ファミコン必勝本」に連載されていて、こどもの頃ワクワクしながら立ち読みしていた記憶がある。単行本化の際は指折り数えて発売日に購入。しかし、その後すのうちさとるの他の単行本が自分の視界に入ってくることは、今日までの人生でなかったのである。いつまで掲載誌で読んでいたか定かでないが、単行本未収録作品も確実に存在している。売れなかったか、作者がドロップアウトしたか、権利で揉めたか、どっちにしろ商売にならなかったようである。しかし熱心なファンも確実に存在しており、絶版となった本書は定価で買える可能性は皆無だ。
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すのうちさとる漫画の一番の特色はゲームブックスタイルを取り入れていることである。主人公の行動を複数から選び、指定のページに飛ぶアレだ。この漫画では次のページに全て選択肢の結果が収められており、流れが途切れることなく読み進めることができて楽しい。桜玉吉に匹敵するゲーム漫画センスがあると思うのだが、商売にならなかった以上、共感する人の数は残念ながら自分が望むよりも少ないだろう。
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