嫉妬漫画家の巨匠、手塚治虫は本宮ひろ志にも嫉妬していたのか問題 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]
コンビニの廉価版単行本で、「春爛漫」という漫画を見つけた。
本宮ひろ志の自伝漫画だ。
面白そうだったので、ネットでプレイボーイコミックス版を購入。
1985年の第16刷だった。ちなみに初版は1981年。売れてる。。。
内容は自伝本である「天然漫画家」とかぶるが、ちょっと違う部分もある。今度読み比べてみよう。
その「春爛漫」の最後の方で、「男一匹ガキ大将」でヒットを飛ばした本宮が、出版社のパーティーでセンパイ漫画家から「インテリジェンスが感じられない」などと、散々なじられるシーンがある。
で、そんなお上品な先輩作家たちを恫喝するスピーチがクライマックスだ。
春爛漫は実話に基づくフィクションとしているが、同じようなことをいかにもやりそうである。
これを読んで、そういえば手塚治虫って、本宮ひろ志のことどう思ってたのかなと、ふと思いついた。手塚治虫といえば、AKIRAだったり石ノ森章太郎だったりあしたのジョーだったり、同時代に売れてる漫画にことごとく嫉妬して「何が面白いのかわからない」「あんなの自分にも描ける」が口癖だったみたいに語られている。
前回本宮ひろ志の新作「グッドジョブ」が面白かったと描いた。この漫画はインテリジェンスがないことはないが、マニアが語り継ぐような作品ではない。ブルーカラーがラーメン屋で読んだり、ホワイトカラーが通勤電車で読んでスカッとして網棚に置き忘れていく類の漫画だ。だからこそ貴いという見方も出来る。パッと見てパッと忘れる普通の人のための作品。三谷幸喜なんかもそういう路線を極めたいとしているらしい。インテリジェンスがあるのも無いのも、どちらも人間だ。「なければならない」というのは願望であって、リアルな人間描写では無い。
そういうインテリジェンス側の人間では絶対描けない表現ができる本宮ひろ志を、手塚治虫はどう思っていたのか調べてみたら、吉田豪のインタビューしか出てこなかった。
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本宮:もういいよ。パーティーは。昔、手塚賞のパーティーで珍しく審査委員長の手塚(治虫)さんが出てきて、「いまの若手は人気ばっかり気にして描いてるから、それはよくない」って言ったことがあるの。
吉田:そのとき本宮先生が喧嘩を売ったんですよね?
本宮:なんか言ってるとは思ったけど、挨拶をちゃんと聞いてなかったんだよね。俺が選考の発表だったんで、いきなり「漫画で一番重要なのは人気だ」って言っちゃってさ(笑)。
吉田:ダハハハハ! 喧嘩売る気はなかったんですか?
本宮:いや、相手神様だけど、べつにいいやと思って、「漫画で一番重要なのは人気で、最初はみんな並なんだから、人気を出すことによって化けていくことができるから、とにかくお前らは人気を取れ」って言って。そしたらシーンとなっちゃったわけね。
吉田:そりゃあなりますよ。
本宮:手塚さんが俺を睨んでるんだよ。それっきり口も利いてくれなくなった。
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一体いつ頃の話なのかはよく分からない。
集英社の手塚賞授賞式でのことと書いてあるから、昭和の末期という説がある。
本宮の最後の少年ジャンプ作品である「赤龍王」の単行本1巻著者コメントで同じようなことを書いていることから、昭和61(1986)年ごろというのが正解かもしれない。
そういえば本宮ひろ志が政界進出ドキュメンタリーで描いた「やぶれかぶれ」の中で、どう思うか同業者にコメントを求めた中で、手塚治虫のコメントもあった。一応、手塚は本宮の存在を認識していたことはわかる。
ちなみにこれが1982年ごろのコメント。
褒めてるような、貶してるような、どちらにも取ろうと思えば取れる味わい深いコメントだと思う。
本宮ひろ志の自伝漫画だ。
面白そうだったので、ネットでプレイボーイコミックス版を購入。
1985年の第16刷だった。ちなみに初版は1981年。売れてる。。。
内容は自伝本である「天然漫画家」とかぶるが、ちょっと違う部分もある。今度読み比べてみよう。
その「春爛漫」の最後の方で、「男一匹ガキ大将」でヒットを飛ばした本宮が、出版社のパーティーでセンパイ漫画家から「インテリジェンスが感じられない」などと、散々なじられるシーンがある。
で、そんなお上品な先輩作家たちを恫喝するスピーチがクライマックスだ。
春爛漫は実話に基づくフィクションとしているが、同じようなことをいかにもやりそうである。
これを読んで、そういえば手塚治虫って、本宮ひろ志のことどう思ってたのかなと、ふと思いついた。手塚治虫といえば、AKIRAだったり石ノ森章太郎だったりあしたのジョーだったり、同時代に売れてる漫画にことごとく嫉妬して「何が面白いのかわからない」「あんなの自分にも描ける」が口癖だったみたいに語られている。
前回本宮ひろ志の新作「グッドジョブ」が面白かったと描いた。この漫画はインテリジェンスがないことはないが、マニアが語り継ぐような作品ではない。ブルーカラーがラーメン屋で読んだり、ホワイトカラーが通勤電車で読んでスカッとして網棚に置き忘れていく類の漫画だ。だからこそ貴いという見方も出来る。パッと見てパッと忘れる普通の人のための作品。三谷幸喜なんかもそういう路線を極めたいとしているらしい。インテリジェンスがあるのも無いのも、どちらも人間だ。「なければならない」というのは願望であって、リアルな人間描写では無い。
そういうインテリジェンス側の人間では絶対描けない表現ができる本宮ひろ志を、手塚治虫はどう思っていたのか調べてみたら、吉田豪のインタビューしか出てこなかった。
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本宮:もういいよ。パーティーは。昔、手塚賞のパーティーで珍しく審査委員長の手塚(治虫)さんが出てきて、「いまの若手は人気ばっかり気にして描いてるから、それはよくない」って言ったことがあるの。
吉田:そのとき本宮先生が喧嘩を売ったんですよね?
本宮:なんか言ってるとは思ったけど、挨拶をちゃんと聞いてなかったんだよね。俺が選考の発表だったんで、いきなり「漫画で一番重要なのは人気だ」って言っちゃってさ(笑)。
吉田:ダハハハハ! 喧嘩売る気はなかったんですか?
本宮:いや、相手神様だけど、べつにいいやと思って、「漫画で一番重要なのは人気で、最初はみんな並なんだから、人気を出すことによって化けていくことができるから、とにかくお前らは人気を取れ」って言って。そしたらシーンとなっちゃったわけね。
吉田:そりゃあなりますよ。
本宮:手塚さんが俺を睨んでるんだよ。それっきり口も利いてくれなくなった。
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一体いつ頃の話なのかはよく分からない。
集英社の手塚賞授賞式でのことと書いてあるから、昭和の末期という説がある。
本宮の最後の少年ジャンプ作品である「赤龍王」の単行本1巻著者コメントで同じようなことを書いていることから、昭和61(1986)年ごろというのが正解かもしれない。
そういえば本宮ひろ志が政界進出ドキュメンタリーで描いた「やぶれかぶれ」の中で、どう思うか同業者にコメントを求めた中で、手塚治虫のコメントもあった。一応、手塚は本宮の存在を認識していたことはわかる。
ちなみにこれが1982年ごろのコメント。
褒めてるような、貶してるような、どちらにも取ろうと思えば取れる味わい深いコメントだと思う。
2019-01-17 13:00
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