史上初の空襲をおこなったのはモンゴル軍。石田点「ゾミア」を読む [歴史漫画]
以前、モンゴル漫画ブームの記事を書いた際、
あれもあるぞこれもあるぞという盛り上がりに一部でなったので、
その影響で知った石田点のモンゴル漫画、「ゾミア」を購入して裁断、そして読んだ。
ちなみにこういう場合は3-2-1巻の順番で裁断していく。
ゾミアはこれを書いている現在、ヤンマガwebで全話無料で読める。
自分も1話はネットで読んでみたのだが、
『史上初の「空襲」を行ったのはモンゴル軍』
という歴史豆知識のインパクトにやられ、あとは読まず購入に至った。
原作は浅村壮平。
作画は「テロール教授の怪しい授業」の石田点。
この作品が連載作第二弾なのだそうだが、3巻で打ち切りになったようだ。
読んでみると、「さもありなん」と思う。
正直、一話を読んでそのあとしばらく展開が頭に入ってこなかった。
男同士のキングダム的友情から物語が始まるが、あまり特徴の無い二人。
耶律楚材(やりつそざい)が出てくるのだが、終盤で再会する相棒はそれと見分けがつかない。
テロール教授の時も思ったが、キャラデザがいまいちというか、妙に古いなと思う。
頭の中の白紙状態が続く中、ぼんやりと仲間に入ったマスクマンがタイトルにもある「ゾミア」に関連する重要キャラクター。構成的に最強でなくてはならないと思う主人公の相棒を遥かに凌駕する漫画的な戦闘力を持っている。ちなみにマスクの下は可愛らしい少女。
なぜこの少女を第一話から出さないのだ!と、読んでいてもどかしい。
歴史物にありがちな、時系列でエピソードを紹介しなきゃいけないという思考に陥り、毎回一番面白いものを!という至極当たり前のことを怠った結果のように思えて悔しい。
悔しいと思うのは、この漫画が3巻ぐらいからなんだか面白くなってくるからである。主人公チームはジンギスカン(作中ではチンギス・ハーン表記)の暗殺を実行に移すのだが、そのジンギスカンがいる天幕で見たものは想像もできないようなものだった。これ、二話目ぐらいでやらなきゃいかんことのような気がする。
タイトル「ゾミア」もあまりよくない。
要するに山の民的な意味らしいのだが、聞き慣れないので中国の歴史物という想像がしづらい。
単行本の装丁も尖っていて、内容を想像しづらい。
最終巻の3巻で普通の装丁っぽくなってる気がするが、売れなかったからだろうか。
巻末に参考文献として紹介されている本の中に、
「ゾミア―― 脱国家の世界史」という本があり、
未完で終わったそのあとの展開はこの本の中にヒントがあるのかもしれない。
定価で7040円もしますけど。買えるか!
ちなみに漫画の第一話で紹介されるモンゴル軍による空襲、史実なのだそうだ。
和睦のしるしとして、町の鳥やら猫やらをもらう。→尻尾に火をつけて逃す→自動追尾で街に戻っていく。→火事で大ダメージ!…という仕組みなのだそうが、ホンマかいなと思う。
戦法としてあまり有名じゃ無いのは、大した損害を与えられなかったせいじゃ無いかと思う。
嫌がらせレベル?
漫画「ゾミア」によると、
フレフレ少女でお馴染みの、応援の際の「フレー!フレー!」もモンゴル軍由来なのだそうだ。
調べてみたが、諸説あるらしい。
最後に、
耶律楚材を漫画にしたのはこの漫画の意義のひとつであると思う。
でもでも、よく考えてみると「やりつそざい」が何やった人なのか、なんで知ってるのか思い出せない。名前が変わってるから?世界史の授業で習ったんだっけ?
ウィキペディアで来歴をざっと読んでみたのだが、ものすごい魅力的なキャラクターである。
にも関わらず、その辺が漫画ではほとんど描かれていない。
というか耶律楚材が主人公、あるいはバディな漫画で良かったはずである。
つくづくゾミアは惜しい漫画だと思う。
続編は無いと思うので、他に誰か耶律楚材を漫画化してくれませんか。
モンゴル漫画ブームな今がチャンス!
(画像は桜玉吉「ブロイラーおやじFX+」収録の「花のジンギスカンちゃん」)
2023-03-22 18:11
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