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アメコミよ、これがテグスを自作する日本の漫画だ!矢口高雄「ニッポン博物誌」 [名作紹介]

「とうとうてめえの力で自転車が買えるぜ!」

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自作の罠でイタチを捕らえ、生皮を剥いで自転車購入費用に!
そんなたくましすぎる田舎の小学生を描いた矢口高雄の短編漫画「イタチビラめぐり」
むかしの日本にはそんなリアルポケモンマスターがあちこちにいたわけですな。

釣り用のテグスを著者本人が自作した思い出を漫画にしたのが「白髪(しらがみ)太郎」
テグスって自作できるんですな!強度はナイロン製のものに遥かに劣るようですけど。

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テグスの材料になるのはイモムシの腸腺。
作り方はまずイモムシの体を引きちぎってえ…、という、これまたワイルドな制作風景。
ヴィーガンもびっくりだ。現場からは以上です。

そんな文明人がビビってたじろぐ、
つい最近まで普通にあった日本人のワイルドライフ漫画をまとめたのが、
矢口高雄の「ニッポン博物誌」

ヤマケイ文庫 ニッポン博物誌

ヤマケイ文庫 ニッポン博物誌

  • 作者: 矢口 高雄
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: 文庫

ハリウッドよ、これが日本だ!って勧めたいぐらい。
いや日本人が見てもびっくりする描写の数々ですけど。

 
矢口高雄作品は「野生伝説」、「9で割れ!」「ボクの手塚治虫」以来の購入です。
Kindle Unlimitedで読んだのですが、面白かったので紙の本でも購入してしまいました。
びっくりしたのが、読んでも読んでも読み終わらないこと。
不思議に思ってページ数を確認したら全739ページ!(電子版)そりゃ終わらんわ。

短編は他にも傑作揃い。

底が透明になった船みたいな道具を使い、
夜の川を覗き込んで行う突き漁を描いた「カジカの夏」(国語の教科書に載ったらしい)

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「マルカケの銀次」は、
一見どう使うのかわからない道具を使った、ウサギ猟を紹介。

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「納豆ロード」(私は納豆嫌いですけど)雄大な合戦描写が良いですな。

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ツツガ虫病を研究する実在の医者漫画、「ケダニ先生奮戦記」も面白かった。
ツツガ虫は実在する妖怪だと、むかし児童漫画で読んで印象に残っていた。

もしタイムマシンで昔の日本を散策できたら…?という妄想を時々するが、
目視困難な害虫や病原菌にやられて死ぬだろうなと思う。

 
このように傑作短編が20も収められた「ニッポン博物誌」ですが、変なところもあります。
「鷹の翁」「アオの寒立ち」は過去に読んだ矢口作品、
野生伝説」にある「爪王」「飴色角と三本指」にそっくりじゃないですか!

この後、「マタギ」「マタギ列伝 上下巻」「バチヘビ」と、
銃弾の貫通を防ぎそうな分厚い単行本をまたまた読むことになるのですが、
そちらの方にも重複エピソードがチラホラ。

いったい矢口高雄というのはどういう作家なのだ?
ということを考えながら次回に続きます。

 
ケダニ先生でツツガ虫に刺されて死んでしまう架空の農夫の名前、
「土田育造」って実在の鷹匠の「土田力三」から採ってますよね!
モブにレジェンドの名前つけるセンスもよくわからん。
 

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