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ワンダと巨像も読み返したくなる、高寺彰彦のコミッカーズ連載 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

四半世紀前、コミッカーズという雑誌に高寺彰彦のマンガの書き方コーナーがあった。
高寺彰彦、いまだにちゃんと作品を読んだことがないマイナーな漫画家である。
大友克洋のアシスタントをしていて、緻密な背景作画を評価されていた人らしい。
現在だったら確実に炎上しているような物言いを時々していたことで強い印象を残している。

同誌から出た菅野博之山本貴嗣などのHowTo本は単行本化され版を重ねたが、
高寺彰彦のコーナーは単行本化されないまま。2019年に著者も亡くなった。

時折思い返して猛烈に読み返したいという人もいるのではないだろうか?
「ワンダと巨像」上田文人も単行本化してほしいと切望していた。


この度、掲載誌全収集&電子化完了しましたので、
さらにコーナーだけ抽出して一冊の電子書籍にしてみました。
もちろん個人で楽しむためのものです。

連載期間はコミッカーズの前身となる「マンガテクニック」から1994〜1997年の3年間。
「スーパードローテクニック」、「<映と漫>画塾」、「栗8通信」と3回改題している。
 
自分も集めたい、
あるいは振り返ってみたいという人のために、一覧を作ってみました。

注:amazonで見つけたものに関してはリンクを貼りましたが、
先方に参考画像がないものもあるのでリンクが間違っている場合もあるかもしれません。
責任は取れないのであらかじめご了承ください。

マンガテクニック(表紙「メドゥーサ」かわぐちかいじ)9ページ
高寺彰彦のスーパー・ドローテクニック1自然のなかの人物
<解説>記念すべき第一回。
背景を描くために書き割りのようなラフスケッチを描いているのが衝撃的。

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マンガテクニック02(表紙 吉田まゆみ)10ページ
高寺彰彦のスーパー・ドローテクニック2 演出効果を高める構図
<解説>写実的に描くことと、その絵から伝えたいことを誤解なく読者に伝える技術、
構図の演出方法について語っている。

マンガテクニック03号(表紙 江口寿史)8ページ
高寺彰彦のスーパー・ドローテクニック3 構図とアングル
<解説>前回の続き。氏の特徴である映画から引用しての説明が増える。同誌の広告ページ(レトラセットジャパン)にも氏が登場。

マンガテクニック04号(表紙 麻宮騎亜)6ページ
高寺彰彦のスーパー・ドローテクニック4 「暗示」「隠喩」「象徴」
<解説>いよいよ映画の演出方法の解説が増え、
この辺から連載が「らしく」なってきたと思える回。

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コミッカーズ1995年夏号(表紙 唯登詩樹)6ページ
高寺彰彦のスーパー・ドローテクニック5添削スペシャル
<解説>読者の投稿作品を添削。リライトして効果的な演出方法を解説している。
連載とは別に専門学校の見開き広告にも登場。黒澤明の映画について語っている。

コミッカーズ1995年秋号(表紙 士郎政宗)6ページ
高寺彰彦のスーパー・ドローテクニック6最終回
見開きの使い方と背景の意味
<解説>前回の添削から発展させて、
マンガならではのページめくりを利用した演出について語っている。

コミッカーズ1996年冬号(表紙 いのまたむつみ)5ページ
高寺彰彦のストーリー・テクニック講座
<映と漫>画塾 第1回モノの見かた
<解説>ついに名作映画の見方についての解説が始まる。
のちに論争を巻き起こす「顔の描き方」についてもこの回から始まる。

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コミッカーズ1996年春号(表紙「マリンカラー」SUEZEN)6ページ
高寺彰彦のストーリー・テクニック講座
<映と漫>画塾 第2回ストーリーの基本
<解説>引き続き名作映画の見方について解説。

コミッカーズ1996年夏号(表紙 鈴木雅久)6ページ
高寺彰彦のストーリー・テクニック講座
<映と漫>画塾 第3回ストーリーのパターン
<解説>引き続き名作映画を使って、話の展開のさせ方のパターンについて解説。
さらに流行りの横顔の描き方について、
「モンモウ病」(手塚治虫「きりひと讃歌」に登場する架空の病気)のようだと批判。

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コミッカーズ1996年秋号(表紙 山田章博)4ページ
高寺彰彦のストーリー・テクニック講座
<映と漫>画塾 第4回シナリオ添削特集
<解説>読者投稿作品をよりよくするための解説(文章のみ)

コミッカーズ1996年12月号(表紙「覚悟のススメ」山口貴由)3ページ
栗8通信その1 マンガの考え方
<解説>デフォルメされた絵と「いびつな絵」はどこが違うのか?について説明。
この辺の回がコーナーのイメージを象徴しているのではないだろうか。
藤子F不二雄先生が亡くなり、近年の漫画の評価のあり方についても批判。超辛辣である。

コミッカーズ1997年2月号(表紙「遊撃宇宙戦艦ナデシコ」麻宮騎亜)3ページ
栗8通信その2 ファンタジーの考え方
<解説>TVゲームから流行した実在感のないファンタジーコミックについて批判。

コミッカーズ1997年4月号(表紙「Happy! モンスター」浦沢直樹)3ページ
栗8通信その3 頭部の描き方
<解説>デフォルメの意図を理解しないまま模倣することで起こるコピーの劣化現象を、見開きを使って漫画で解説。

コミッカーズ1997年6月号(表紙「レイラ&レイ」衣谷遊)3ページ
栗8通信その4 理論と感覚について
<解説>読者から批判的な反応が巻き起こったようで、改めて解説の意図を説明している。

コミッカーズ1997年8月号(表紙「少女革命ウテナ」さいとうちほ)3ページ
栗8通信その5 続・頭部の描き方
<解説>さらに批判的な反応について3ページ全てを使い漫画で解説。

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コミッカーズ1997年10月号(表紙 上條淳士)3ページ
栗8通信その6 リアリティーについて
<解説>氏はよく名作映画から演出方法を学べと書いているが、漫画における成功の実例紹介が無いのが弱いところではないかとワタシ的には思う。しかしこの回の「もーれつア太郎」の引用はわかりやすくて良かった。映画とはあまり関係ないけど。

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コミッカーズ1997年12月号(表紙「エンジェルノート」こやま基夫)4ページ
栗8通信最終回 品位について
<解説>賛否を巻き起こしたが連載だが、プロからの批判が手元までこなかったことを残念がっている。

 
 

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