現在も日本にあるらしい。高田かや「カルト村で生まれました。」 [名作紹介]
こないだエホバの証人の二世漫画を紹介しました。
今回の二世漫画は高田かやの
「カルト村で生まれました」を紹介。
漫画には明確に描かれていませんが、
調べてみたところネットでは「ヤマギシ会」ではないかという意見を多数見かけました。
これは宗教ではなく、農事組合法人なのだそうだ。
漫画から受けた会の印象について誤解を恐れず言うならば、
ハリソンフォードの映画、「刑事ジョンブック」に出てくる
アーミッシュみたいな暮らしをしてる集団といった風。
そんなのが現在の日本にもあるらしい。
これはそこで子供時代を暮らした作者の回想記。
この作者の本は5冊出ていて、全て購入している。
シンプルな絵に綺麗な描き文字が特徴。
うち3冊「カルト村で生まれました。」「さよなら、カルト村。」「カルト村の子守唄」にて会について書いている。
漫画によると子供は親から離され、
村ごとに1箇所に集められて生活している。
大勢の子供たちをたった一人の世話役に管理させていたそうで、
まあこの時点でシステムに問題があるのは一目瞭然だ。
特に問題なのは1日二回の食事と365日無休で労働を手伝わせているということ。
その上で問題を起こした子供の食事を抜くという体罰を加えていたりもしていたらしい。
空腹に耐えかねて、地面に散乱した上に雨に濡れた御供物のコアラのマーチを拾い食いした体験なども漫画には描かれている(美味しかったそうだ)。
漫画も禁止。
TVも「日本昔ばなし」のみ。
どんな子育てを考えていたのか推して知るべし。
陳腐な想像力で、自分達に都合の良い子供が量産できると信じていたのだろう。
大人たちが目指していたのは大人たちのユートピアであって、
子供たちから見ればディストピア以外の何者でもない。
印象的だったのは、
子供たちが世話係に「殺意」を抱いていたということ。
この「殺意」というワードは毒親系の本を読んで色々思うところがある。
ただし作者の実の両親が毒親かというとそんなこともなく、
漫画から受けた印象は割と普通っぽい。
作者と断絶しているわけでもなく、現在は一般社会に帰属しているようだ。
わりとたくましく、
ある意味ドライな作者の作風のおかげであまり悲惨な印象は受けないのは特徴と言える。
現在の会は、
オウム事件を機にバッシングも高まり、
色々改められているとのこと。
さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで (文春e-book)
- 作者: 高田かや
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/02/03
- メディア: Kindle版
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