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北朝鮮のドキュメンタリー映画「太陽の下で」を見た。 [時事ネタ]

ジャック・デンプシー関連の著作を調べていると、
北朝鮮のドキュメンタリー映画をアマプラに見つけた。
「太陽の下で」というタイトルが同じなだけなのだが。
(デンプシーのタイトルマッチは屋外で行われた)

 
どんなんかなとながら見してたのだが、
家庭での食事風景に興味を惹かれた。

家族3人で食事している風景が映るのだが、
カットが切り替わって引の映像になると、
家族3人が食事もせずにボーっとしている。

え?何してんの?と映像を見ていると、
部屋の端からおっさん二人が現れる。
おっさん二人も何をするでもない。ボーっとしている。

また画面が切り替わると楽しい団欒に戻っている。
さらに画面が切り替わると、先ほどのおっさんの一人が子役に演技指導をしてる光景が映る。夫婦が台本を読んでいる光景も映る。それで全て理解した。

どこかの外国人監督が北朝鮮の一般家庭のドキュメンタリーを撮りたいと申し入れた。
許可は降りたが撮影が始まってみればテコ入れが入った。
ありもしない理想の風景の捏造が始まる。
しかもとてもドキュメンタリーには見えない、稚拙な演出だ。

そこで監督は考えた。撮影前にカメラを止め忘れたテイで回しっぱなしにして、それを演出された映像の後に差し込むことで、なんの解説も入れず、北朝鮮の歪んだ社会を表現したのだ。面白い。

ちなみに、ボーッとしている映像は、
外で行軍してる軍隊の「軍靴の音」がうるさいので、通り過ぎるのを待っていたようだ。

 
映画を見ていて興味深いのは、いい子が多いということだ。
半分ボケが入ったようなおじいちゃん軍人の武勇伝を延々と聞かされても、大人しく、眠気と必死に戦いながら聴いている幼稚園児たち。親や国家の言いつけ通りに進学して、そこで何がしたいと聞かれれば「わからない」と泣き出す。あやそうと、好きな歌を聞かせてと言うと、お決まりの指導者を讃える詩の暗唱を始め、大人の望むいい子を表現する。北朝鮮高官は感涙にむせぶ、なのかもしれないが、うちらはドン引きだ。

親のお仕着せが徹底された社会がこれだ。
じいちゃん軍人が話芸を磨く機会は永遠に訪れない。
 

我々は綺麗な社会を目指す。
しかしなんの不満のない世の中というのは、逆にいえば不満の言えない、綺麗事しか言えない世の中かもしれないのだ。

シェイクスピアの「綺麗は汚い。汚いは綺麗」ってそういう意味なんかな。

少年犯罪2.png
少年犯罪4.png

白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき。

ツイッターなどでよく見かける表現規制の問題。
下品だエロいと抗議の声を上げるのもいいだろう。
だが、それらを全て取っ払えば理想の社会が訪れるなどと本気で思っている人もいる。
そういう人が間違って天下をとってしまうと、こういう社会になってしまうのだろう。

綺麗なものも汚いものもある。
嬉しいことも悲しいこともある。
親の手厚い庇護から抜け出して一人で社会に歩み出た時に子供は何を思うか。
親に対する失望である。
そして襲いかかる現実にあがなう力を蓄えていなかったことを思い知らされるのだ。

 

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