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ソフィアと光太夫は肉体関係があったのかどうか [歴史漫画]


弟と60過ぎの母とで『月光露針路日本 風雲児たち』見てきたので、
ついでに動画を作って見ました。

うちはみんな「風雲児たち」好き。
家族で映画見に行けるなんて、この先あるのかな。

コロナ以後、初めての映画館でもありました。
席は一つづつ感覚を置いての発券。
これは儲からないなー。大丈夫でしょうか映画館。

土曜の昼の回ですが、お客さんは11人いる
実写版ジョジョがこんな感じだったなあ。
ちな1日二回公演。こんな地方でかけてくれるだけありがたい。
客層は高齢の女性が多い感じで、歌舞伎ファンなんだろうと思う。

映画は、オープニングで原作をアニメーションにしてたのが良かった。
つうかもうアニメ化して下さいよ、NHKさんあたり。
そしてバンバン海外に輸出ですよ。これぞクールジャパンですよ。

役者は庄蔵役の市川猿之助さんが良かったな。
大河ドラマ「風林火山」の武田信玄役は優等生な感じだったが、
「風雲児たち」では庄蔵役で、傾奇者っぽいハジけた演技をしていて面白かった。
 

動画を作るにあたって原作をしつこく読み返しました。
10回ぐらい読み返した。

気になったのは、光太夫の歌を作ったという庭師の妹、ソフィアとの関係。
「風雲児たち」では光太夫が必死に理性を働かせているシーンが面白くて印象的だが、最後の方ではちょっと怪しい感じになっている。
ソフィア3.png

ソフィア4.png

史実はどうだったのか。
調べてみると、「ソフィアの歌」という漫画があることがわかった。
作画、森川久美。原作は五木寛之。

ソフィアの歌 (Asuka comics deluxe)

ソフィアの歌 (Asuka comics deluxe)

  • 作者: 森川 久美
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2020/10/22
  • メディア: コミック


表紙からして少女漫画な感じかなー?と思って取り寄せて読んでみたのだが、まさに私が思う少女漫画の文法に、光太夫の人生をはめ込んだみたいな内容だった。
ソフィア1.png
光太夫がイケメンに描かれていて、まるで土方歳三みたいだ。
一行が漂流した理由も、光太夫が功を焦って周囲の反対を押し切り嵐の中を出航したせいという事になっており、仲間から疎まれていてクラスで浮いている不良っぽく描かれている。リーダーの役割は仲間に目的を持たす事と言い切る風雲児たちの光太夫像とは全く異なっているのが面白い。

「光太夫が周囲の反対を押し切り出航した」というのは、
一瞬そういう説もあるのかなと思ってしまったが、「風雲児たち」には同日に難破した船が23隻だったか24隻だったかあったと書かれていたので、光太夫が出航した判断は常識的なものだった可能性が高いのかな。

ちなみに「ソフィアの歌」では日本に帰り着いたのが4人となっており、風雲児たちやウィキに書いてある3人とはダイナミックに違う。幕府の取り調べ前に一人亡くなっており、日本に残された肖像画は2人描写されている。だから2人と間違えるならわかるのだが、3人よりも増えちゃうのはなんでだろう。

推測してみる。
「ソフィアの歌」では生き残りが5人だと示唆するシーンが2度ある。そこでの勘定は合っているのだが、そこから脱落するのが一人しか描写されてないため、単純に5-1で日本に辿り着いたのは4名だとしたのではなかろうか。

意図的な脚色だったのか考証ミスなのか、どちらとも取れる。
ちなみにソフィアの歌で脱落が描写されているのは新蔵の方である。
足を切断しロシアで泣き暮らしたという人間味溢れる庄蔵の存在を、制作チームが関心を持たなかったということは間違いなく、それはそれですごい話だなあと思う。

 
別に調べていく過程で知ったのだが、
光太夫がロシアの公娼で接待を受けていた記録があるそうで、これは「風雲児たち」には描かれていないが、「ソフィアの歌」には描かれている。光太夫とソフィアの関係が実際にどうだったかは分からないが、「風雲児たち」から受ける印象そのままに禁欲を貫き通すイメージは少し史実とは違うようだ。

「ソフィアの歌」では光太夫とソフィアが肉体関係を持つが、
これはエンタメとしての脚色だと思われる。


ちなみに、
さいとうたかを先生も大黒屋光太夫で一冊描いており、それにも公娼に出入りしたことは描かれている。その事でソフィアが嫉妬するのは「ソフィアの歌」と同じである。ちなみにさいとうたかを版の光太夫は、隠れキリシタンの女性と恋仲になり、漂流中も終始彼女のことを思い続けており、その結果、行く先々で奇跡が起こるというエンタメな内容になっている。これはロシアに保管される光太夫の落書きから、「おし満様」なる想い人がいたらしいという研究から膨らませたエピソードだと後書きに書かれている。

大黒屋光太夫―江戸の世にロシアを見た男 (徳間描き下しコミック叢書)

大黒屋光太夫―江戸の世にロシアを見た男 (徳間描き下しコミック叢書)

  • 作者: さいとう たかを
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1992/04/01
  • メディア: 単行本


 
さらにもう一冊、光太夫漫画がある。
NHKの「その時歴史が動いた」のコミカライズ短編集が出版されており、その中に大黒屋光太夫もあった。作画が「大和虹一」となっており、あのプラモ狂四郎の「やまと虹一」と全く同じ名前だった。プラモ狂四郎とは全く違う画風なのだが、念のため調べてみると、どうも同じ人っぽい。動画内で検証しているので、詳しくは見ていただきたい。「17:40 プラモ狂四郎の大黒屋光太夫!」をクリック!この漫画にはソフィアは登場しない。

NHK「その時歴史が動いた」コミック版 冒険・挑戦編 (ホーム社漫画文庫)

NHK「その時歴史が動いた」コミック版 冒険・挑戦編 (ホーム社漫画文庫)

  • 出版社/メーカー: ホーム社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫


 
ところで「ソフィアの歌」には、もう一人ソフィアが登場するのでややこしい。
少女漫画の様式に慣れてないせいか、読んでいて混乱する。
ソフィア2.png
(唐突に登場するもう一人のソフィア。右下に小さく描かれているのが主人公のソフィア)

このもう一人のソフィアは「ソフィア・イワーノヴナ」という名前だ。
フルネームは後半で明らかになるが、初登場時は単にソフィアとしか出てこないので、尚更混乱するのだ。宮廷秘書官の妻で、ソフィアにとっていけすかない女と描写されている。

調べてみると、「シネマ歌舞伎」の風雲児たちの方にも登場しており(原作にはいなかったと思うが)、実際に二人のソフィアがいたのかもしれない。歌舞伎では坂東竹三郎が演じていて、「情熱的な宮廷女官」となっている。情熱的というからには、これが光太夫の歌を作ったソフィアなのか?歌舞伎版の記憶は定かでないのだが、少なくとも映画には光太夫のロマンスはなかったと思う(映画は舞台で講演したものの短縮版)。

 
現在、「光太夫の悲恋」という、昭和42年出版の本を読んでいる。
井上靖の「おろしや国醉夢譚」よりは新しいが、その映画化で生み出された一連の作品や、風雲児たちよりもかなり前の作品である。何が書かれているかまだ分からないが、何か面白いことがわかったらまた記事を書こうと思う。

「ソフィアの歌」の原作小説も取り寄せ中だ。
こっちは日本にたどり着いたのが何人になっているのかに興味があっての購入だ。

 
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