SSブログ

マーティン・スコセッシ監督「沈黙-サイレンス-」を見たよ。 [名作紹介]

子供の頃から愛読している「少年少女日本の歴史」。ザビエルが出てくるシーンで、弥次郎という男が日本行きに協力を申し出る。「のっぴきならぬことから人を殺してしまった」として涙ながらに自分の罪を告白してキリスト教に入信する。
ヤジロウ1.png

そのあとどうなったのかは描かれていないのだけど、それから四半世紀たって「まんがで読破フロイス日本史」を読んだら、そこにも出てきた。
ヤジロウ2.png
出てきたのだけど、そのあと海賊王に俺はなる!と闇落ちしてしまったと描かれていてショックだった。
ヤジロウ3.png

そんなこんなでAmazonプライムで「沈黙-サイレンス-」を見たよ。
 
沈黙-サイレンス- [Blu-ray]

沈黙-サイレンス- [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: Blu-ray


隠れキリシタンをテーマにした遠藤周作原作小説をハリウッドで映画化。
監督はマーティン・スコセッシという超一流。

信頼する師匠が日本で棄教したという噂を確かめるために、
マカオで日本人キチジロウを雇い、鎖国中の日本に潜入した宣教師が主人公。

このキチジロウがとにかく裏切る。
その裏切りには美学がないし、空気を読まない。
アスペルガーなんじゃないかと思う。

このキチジロウは前述のヤジロウがモデルなんじゃないかなあ。
演じるのは窪塚洋介
実は作品を象徴する重要な役回りだ。

観賞は時々作業の手を止めての、ながら見字幕版。
そんなんでも、なんか刺さるものがなければ試聴止めようという、いつものスタイル。
目を引いたのは、とにかく出てくる日本人が流暢に英語を喋る喋る。

浅野忠信、イッセー尾形、窪塚洋介、塚本伸也、
その他、小汚い農民役ですらベラベラ喋るので、
考証的に正しいのかは置いといて、なんか見惚れてしまいました。

主人公も懐柔されたり拷問されたりで棄教を迫られてどうするという話ですけど、
教えに殉じて美しく死んで良かったねという結末ではありません。
途中、裏切り者に散々悪態つきつつも、最終的に主人公はギブアップします。
こんな原作だから、世界13カ国語で出版され、物議をかもしたそうです。

北朝鮮に拉致された人、みたいな置き換えもできるかもしれない。
現在、チベットでこんなことが行われてるかもしれない。
いやそれどころか、例えば緊急事態で人を食ってまで生き延びるか、人として品位を保ったまま飢え死にするか、そういう普遍性が感じられる良いテーマだなと思いました。

 
日本が不当に悪く描かれているというレビューも散見しますが、けっこうフェアのような気が俺自身はします。浅野忠信が演じる通訳は、劇中では表面上社交的に振る舞ってますが、見てないとこで「いつもと同じ。傲慢な奴らだ。」という風な言葉を吐き捨てるシーンがあります。

自分は「完訳フロイス日本史」を3巻ぐらいまで読みました。そこまで読んだ感想ですけど、確かに彼らはある意味合理的で進歩的で科学的かもしれないですけど、自分たちと違う価値観に対する畏怖や敬意がかけらも感じられないと思うことがありました。そういう部分はさりげなくでも描かれていたように自分は感じます。

「沈黙」は原作者の遠藤周作脚本で1971年にも映画化されています。
U-NEXTの有料会員だったので無料で見れたました。面白かったです。
2016年版でリーアム・ニーソンが演じていた主人公の師匠役が丹波哲郎!
ヤジロウ4.png
国際派俳優ですけど、肝心なシーンは日本語でベッタベタに演じていて笑ってしまいます。
新選組血風録の沖田総司役、島田順司が出ていたのが嬉しかったなあ。

 
スコセッシ版で浅野忠信が演じてた役は当初渡辺謙を予定していたそうだ。
娘の杏さんがYouTubeで歌ってた歌がしみたので、ついでに貼っておく。

命を大事に。
つまりそういうことです。

その逆もある。

 
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。