ゼネラルモーターズも欲しがった、気で人を吹っ飛ばすセガの社長、入交昭一郎の戦い [ゲーム]
またホンダネタを書きたいのだが、
事実確認のために「ホンダ神話 教祖のなき後で」で読み始めた。
500ページ以上もある大長編なんだけども、
冒頭からいきなりセガの話になって面食らった。
入交昭一郎(いりまじりしょういちろう)さんといえば、
ゲーム「セガガガ」の頃のセガの社長さんだった人だ。
ひとまじり社長のモデルだ。


この人は元々ホンダの人で、ホンダアメリカの社長「ミスターイリ」として世界の自動車業界でその名を轟かせたカリスマなんだそうだ。もちろん次期本社社長との呼び声高かったが叶わず、健康を害し一線を退く。ゼネラルモーターズが副社長のポストを用意してヘッドハンティングしにくる。
業界の仁義に背くことに悩みながらもGMイリは実現直前まで行ったが、国民性の違いから絶対上手くいかないと友人に猛反対され、その時いっしょにゴルフをしていたセガ社長中山隼雄との縁で、セガイリを勧められたのだそうだ。ちなみに当時セガは3年で売上を5倍にした驚異的な成長を遂げていたという。
中山社長が入交氏を口説くために見せびらかしたのがなんとAS-1。

R-360で体感ゲームを極めたセガが、さらにその先を行った伝説の筐体だ。
ゲーセンでは見たことがない。なんだかわからないまま時代は過ぎ去ってしまった。
バーチャルライドアトラクションみたいなものだったようだ。
これに衝撃を受け、イリはセガイリする。
ちなみにワシはR-360には乗ったことがあるんじゃあ。
一回500円だった。
プレイ中は店員が一人つきっきりで、あまり商売にならなそうに見えた。
やっぱり採算に見合わなかったらしく、この路線は進化が打ち止めとなる。
入交社長もいつの間にかセガからいなくなってしまった。
元セガ社長の佐藤秀樹氏の書いた「開発秘史」を読み返してみる。
イリさんは「第4章ドリームキャストの通信と夢」の項に登場する。
アメリカと日本、どっちの会社と手を組んでゲーム機を作るかで、著者の佐藤氏とイリさんが対立したんだそうだ。当時はイリさんが社長で佐藤氏は常務で技術の責任者。イリさんはアメリカ通なので、どうしてもアメリカ贔屓になってしまう。それでよく対立したそう。
大岡裁きならぬ大川(功)裁きで、佐藤氏の案が通ったそうな。
>最終決定は大川さんがするのだが、大川さんは技術的にどうだこうだよりも、人を見て判断していた。佐藤でいけ、というのも、理由が非常にわかりやすい。どういうことかというと、佐藤はたくさん失敗してきたからいい、というのだ。8ビット、サターンとたくさん失敗してきているんだから、たくさん学んでいることもあるだろう、だから今度は失敗しないんじゃないか。大川さんはそういういい方をする。
うーん、勝海舟イズム(安彦版)。


>その会議のあとで、入交さんが私に、この会社は変だ、といった。なんでここでおまえの方に決まるのか、私にはもうわからない、っていってきた。
>それに対して私がいったのは、なんで社長なのに私のところまで降りてくるんだ、ということだ。私は常務で技術の担当であると。私と同じレベルまで降りてきて、ハードウェアの性能がどうだこうだというのは、違うだろう、と。社長はもっと大局からチェックしなくちゃいけない。にも関わらず、私のところに降りてきてアメリカに肩入したから、私が勝った。なんと行っても私の方が修羅場を踏んで来ているし、半導体メーカーの人脈だってあるわけだから、ここまで降りてきたら勝負にならない。なんで、わざわざ俺のところに降りてくるんだ。それこそおかしいじゃないか、って。
>入交さんが社長で私が常務だったのだが、こっちは絶対権力者大川さんとくっついているから、それからしばらくの間は、入交さんも強いことがいえない。1年ぐらいの間は、会議でも私の顔を見やしないし、私の発言も聞いちゃいなかった。
入交氏がセガに入社したのは1993年。バーチャファイターの年だ。
社長になったのは1998年。ドリームキャスト発売の年。
2000年、PS2発売でセガは大打撃を受ける。イリさんは副会長になり同年退社。。。
イリさんのセガイリは不幸な出会いだったように見える。
まあ一番以外は皆死亡という厳しい業界である。
それはイリさんと対立し、のちにセガの社長になった佐藤氏にとっても同じだった。
あと、イリさんは健康を害してホンダをリタイヤして療養中の時期、奥さんから気功の本を勧められ、読んで道場に通ったら健康を取り戻したんだそうだ。冒頭紹介した本、「ホンダ神話」に描かれている。
気功道場の主はイリさんにこう言ったという。
「入交さん、人生は全てゲームです。ただ生きているだけが真実なのです。でも多くの人たちは、自分の仕事が人生だと思っている。名誉だ、肩書きだと思っている人もいるでしょう。夢、つまり幻想の花は大きく咲かせるべきです。忘れてならないのは、いま生きていることだけが真実であって、あとはすべて幻想だということです。」
この言葉に感銘を受けたイリさんはもうひと花咲かせようと意欲を取り戻したそう。
「人生は全てゲーム」と言われたからGM副社長を蹴ってゲーム会社に入ったのではないだろうけども。
ちなみにこの気功師の名前は西野皓三。
気合で人を吹っ飛ばす系の人だ。
なんか映像を「リングの魂」で大槻ケンヂが紹介していたような気がする。
由美かおるも西野流呼吸術を学び、若々しさを保っているという。
西野氏も大正生まれの94歳。まだ存命してるというのは波紋法的な何かあるのだろうか。
ステータスのある人が壇上に上がり紹介され、花の応援団のように吹っ飛ぶ?さまはなかなか前振りの効いたギャグだと思う。
おばあちゃんが元気に跳ね飛びまくる動画も衝撃だ。
気で吹っ飛ぶかどうかは別として、この運動量はすごい。



事実確認のために「ホンダ神話 教祖のなき後で」で読み始めた。
500ページ以上もある大長編なんだけども、
冒頭からいきなりセガの話になって面食らった。
入交昭一郎(いりまじりしょういちろう)さんといえば、
ゲーム「セガガガ」の頃のセガの社長さんだった人だ。
ひとまじり社長のモデルだ。

この人は元々ホンダの人で、ホンダアメリカの社長「ミスターイリ」として世界の自動車業界でその名を轟かせたカリスマなんだそうだ。もちろん次期本社社長との呼び声高かったが叶わず、健康を害し一線を退く。ゼネラルモーターズが副社長のポストを用意してヘッドハンティングしにくる。
業界の仁義に背くことに悩みながらもGMイリは実現直前まで行ったが、国民性の違いから絶対上手くいかないと友人に猛反対され、その時いっしょにゴルフをしていたセガ社長中山隼雄との縁で、セガイリを勧められたのだそうだ。ちなみに当時セガは3年で売上を5倍にした驚異的な成長を遂げていたという。
中山社長が入交氏を口説くために見せびらかしたのがなんとAS-1。

R-360で体感ゲームを極めたセガが、さらにその先を行った伝説の筐体だ。
ゲーセンでは見たことがない。なんだかわからないまま時代は過ぎ去ってしまった。
バーチャルライドアトラクションみたいなものだったようだ。
これに衝撃を受け、イリはセガイリする。
ちなみにワシはR-360には乗ったことがあるんじゃあ。
一回500円だった。
プレイ中は店員が一人つきっきりで、あまり商売にならなそうに見えた。
やっぱり採算に見合わなかったらしく、この路線は進化が打ち止めとなる。
入交社長もいつの間にかセガからいなくなってしまった。
元セガ社長の佐藤秀樹氏の書いた「開発秘史」を読み返してみる。
イリさんは「第4章ドリームキャストの通信と夢」の項に登場する。
アメリカと日本、どっちの会社と手を組んでゲーム機を作るかで、著者の佐藤氏とイリさんが対立したんだそうだ。当時はイリさんが社長で佐藤氏は常務で技術の責任者。イリさんはアメリカ通なので、どうしてもアメリカ贔屓になってしまう。それでよく対立したそう。
大岡裁きならぬ大川(功)裁きで、佐藤氏の案が通ったそうな。
>最終決定は大川さんがするのだが、大川さんは技術的にどうだこうだよりも、人を見て判断していた。佐藤でいけ、というのも、理由が非常にわかりやすい。どういうことかというと、佐藤はたくさん失敗してきたからいい、というのだ。8ビット、サターンとたくさん失敗してきているんだから、たくさん学んでいることもあるだろう、だから今度は失敗しないんじゃないか。大川さんはそういういい方をする。
うーん、勝海舟イズム(安彦版)。

>その会議のあとで、入交さんが私に、この会社は変だ、といった。なんでここでおまえの方に決まるのか、私にはもうわからない、っていってきた。
>それに対して私がいったのは、なんで社長なのに私のところまで降りてくるんだ、ということだ。私は常務で技術の担当であると。私と同じレベルまで降りてきて、ハードウェアの性能がどうだこうだというのは、違うだろう、と。社長はもっと大局からチェックしなくちゃいけない。にも関わらず、私のところに降りてきてアメリカに肩入したから、私が勝った。なんと行っても私の方が修羅場を踏んで来ているし、半導体メーカーの人脈だってあるわけだから、ここまで降りてきたら勝負にならない。なんで、わざわざ俺のところに降りてくるんだ。それこそおかしいじゃないか、って。
>入交さんが社長で私が常務だったのだが、こっちは絶対権力者大川さんとくっついているから、それからしばらくの間は、入交さんも強いことがいえない。1年ぐらいの間は、会議でも私の顔を見やしないし、私の発言も聞いちゃいなかった。
入交氏がセガに入社したのは1993年。バーチャファイターの年だ。
社長になったのは1998年。ドリームキャスト発売の年。
2000年、PS2発売でセガは大打撃を受ける。イリさんは副会長になり同年退社。。。
イリさんのセガイリは不幸な出会いだったように見える。
まあ一番以外は皆死亡という厳しい業界である。
それはイリさんと対立し、のちにセガの社長になった佐藤氏にとっても同じだった。
あと、イリさんは健康を害してホンダをリタイヤして療養中の時期、奥さんから気功の本を勧められ、読んで道場に通ったら健康を取り戻したんだそうだ。冒頭紹介した本、「ホンダ神話」に描かれている。
気功道場の主はイリさんにこう言ったという。
「入交さん、人生は全てゲームです。ただ生きているだけが真実なのです。でも多くの人たちは、自分の仕事が人生だと思っている。名誉だ、肩書きだと思っている人もいるでしょう。夢、つまり幻想の花は大きく咲かせるべきです。忘れてならないのは、いま生きていることだけが真実であって、あとはすべて幻想だということです。」
この言葉に感銘を受けたイリさんはもうひと花咲かせようと意欲を取り戻したそう。
「人生は全てゲーム」と言われたからGM副社長を蹴ってゲーム会社に入ったのではないだろうけども。
ちなみにこの気功師の名前は西野皓三。
気合で人を吹っ飛ばす系の人だ。
なんか映像を「リングの魂」で大槻ケンヂが紹介していたような気がする。
由美かおるも西野流呼吸術を学び、若々しさを保っているという。
西野氏も大正生まれの94歳。まだ存命してるというのは波紋法的な何かあるのだろうか。
ステータスのある人が壇上に上がり紹介され、花の応援団のように吹っ飛ぶ?さまはなかなか前振りの効いたギャグだと思う。
おばあちゃんが元気に跳ね飛びまくる動画も衝撃だ。
気で吹っ飛ぶかどうかは別として、この運動量はすごい。


元社長が語る! セガ家庭用ゲーム機 開発秘史 ~SG-1000、メガドライブ、サターンからドリームキャストまで~
- 作者: 佐藤 秀樹
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2019/09/20
- メディア: 単行本
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