SSブログ

王道の狗メイキングインタビューが必読、「CONTINUEVol.60」 [名作紹介]

今年の「もう年も変わりますが去年読んだこの漫画がすごい!賞」の大賞を受賞した安彦良和の「王道の狗」。好きすぎて、王道の狗メイキングインタビューが掲載された雑誌「コンテニュー」も購入していた。色々と溜飲が下がったインタビューだった。
ウキウキおじいちゃん2.png
講談社という、初のメジャー出版社からの依頼にひたすらウキウキしていた様子を語っている。
 
そもそも安彦良和にはずっと違和感があった。
なんで面白い漫画を描かないんだろうという。
まあ、コテコテの少年漫画が嗜好のベースにある偏った漫画読みの意見ですけどね。

安彦良和の代表作といえば、ガンダムを除けば「虹色トロツキー」
この作品について、「王道の狗」連載の依頼にきた講談社の編集長は「イマイチ言いたい事がよくわからない」と言ったらしい。それ!

俺は「虹色トロツキー」を読んで、これを面白いと思える人がたくさんいるんだから皆んな頭がいいんだなあと感心したものだが、なんだよ、そう言う風に思って良かったんだ?って安心しました。

その後、BSマンガ夜話の「虹色トロツキー」回を見たら、司会のいしかわじゅんが「何が面白いのかわからん」みたいなことをぶっちゃけていて、なんだ!皆んな同じこと思ってるんだ!って驚きましたよ。でも分からん漫画で一回放送しちゃうってすごいよね。あくまで趣味嗜好は人それぞれだけど、分からんのに分かったふりしている人も相当数いると思う。
 

もうちょっと読者にわかるようにしてほしいと。そこで、「覇道と王道」という言葉を出したところ、それぞれを象徴するキャラクターを置いたらわかりやすいと言われて、素直になっているから「なるほど、いいこと言うな。だから俺はいままでウケなかったんだ」って思って。

講談社は以上のように、安彦氏にオーダーしたという。
それに対し安彦氏はこんな風に感想を述べている。

はっきり言ってその考え方は好きじゃなかったけど、せっかくメジャーデビューするんだからここは言うことを聞いておこうと。

この後、「その考え方は間違っていなかった」「いいアドバイスだった」「自分でもすごく気に入っていて」と続くんだけど、安彦作品の今後に対して「俺の期待したものが出てこない」と言う、ちょっと「あきらめ」みたいなものが、このインタビューを読んで芽生えました。

 
「王道の狗」の話にメジャー感が出るのは、武田惣角に合気道を教わってから。

そこまではまだ相変わらずのマイナー感を引きずっているんだけど、チンケな政治逃亡犯が一気にスーパーパワーを手に入れて無双状態。明治の傑物と渡り合い、アジアを舞台に大暴れする展開になるから読んでいてとてもスカッとするのだ。

ある意味、なろう小説的な展開である。
ベタでバカっぽいが読後感がとても良い。

これまでの安彦漫画に足りなかったのは、こう言う恥ずかしい男の願望を、恥ずかしげもなく叶える、突き抜けた漫画的な嘘だと思った。

「ヤマトタケル」を読んだときなども思ったけど、何かこうマイナーな歴史マニアにカッコよく思われたいみたいな色気が、面白くない安彦作品には充満していると思うのだ。
 

この「王道の狗」の成功の影響か、「韃靼タイフーン」はひたすらハチャメチャな感じになっている。

ルーズソックスの眼鏡っ子女子高生、着物着たヤクザの姉さんが長ドス持って大暴れ。クライマックスは飛んでるミサイルの上で爆弾解体イベント。おじいちゃん、おクスリ効きすぎです!って感じなのだが、嫌いじゃない作品だ。


ウキウキおじいちゃん1.png
 

ちなみに現在連載中の「乾と巽」だけども、…今後に期待したいです。。。

 

王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: 文庫



CONTINUE Vol.60

CONTINUE Vol.60

  • 作者: 押切 蓮介
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。