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実は早期打ち切りの可能性もあった!「聖闘士星矢」の掲載順位を検証する [心に残る1コマ]

車田正美といえば、男坂の3巻打ち切りから、
次の聖闘士星矢で特大ホームランをかっ飛ばした人として有名。
だけども、その聖闘士星矢も連載開始早々に打ち切り候補の末端の掲載順に追いやられていたということはあまり語られていない。

この事実も、
自分も記憶だけで語ってきたことなので、
この際だからはっきり検証してみようと思う。

聖闘士星矢が始まったのは1986年の少年ジャンプ1・2合併号。
ちなみにそのきっかり1年後に「ジョジョの奇妙な冒険」が始まっている。

同時期に始まった新連載は
ラブ&ファイヤー」(平松伸二)、
超機動員ヴァンダー」(桂正和)、
うわさのBOY」(みやすのんき)と、すべて打ち切られてしまった。
ひょっとしたら、ここが一つのポイントだったのかもしれない。

掲載順位の資料は「天地を喰らう」のときと同様に「コミックゴン!Vol.1」に頼る。
掲載順位検証.png
2次資料を参考にして調べたということは留意されたい。

聖闘士星矢の単行本1巻は4話収録となっているが、これは複数話を再編集したもの。
これを記憶に頼って実際の話数に分解、掲載順位と照らし合わせていく。
カラー回が何話なのか分かるので、その辺おそらく間違いは無いはずである。

単行本1巻
1 2)第一話   (1位)「シェイプアップ乱」終了(16位)
3 4)カシオス決着(2位)
5)クロス装着 (4位)
6)シャイナさん(6位)
7)記者会見1 (9位)
8)記者会見2 (8位)
9)銀河戦争抽選(11位)
10)ベアー撃破 (1位)

【解説】
左の数字からジャンプ掲載号、大体の内容と、掲載順位、関連事項を記す。
第一話掲載と同時に終わったのが徳弘正也の傑作「シェイプアップ乱」。16位がデッドラインであるということはこの後を見ても推測できる。14位くらいから危険水域と考えられるだろう。聖闘士星矢は10号で1位を取っているが、1位2位は宣伝のためのカンフル剤的掲載位置なので人気の参考にはできない。もちろん掲載順位が実際のアンケート順位の何号後に反映されてるか、どれほど正確であるのかは分からない。しかし大体の人気のバロメーターであることは公然の秘密である。

聖闘士星矢のウリである聖衣の概念が明らかになったのが5号掲載の第3話と遅い。10話で初の聖衣装着者同士による戦いが始まるが、まだ内容的に本領発揮には程遠い。このことから分かるように、漫画としてはスロースターターだった。聖衣のアイディアは面白かったが、それがどういうことになるのか予測ができず、読み手としては混乱が多かったのでは無いか。ちなみにアニメは聖闘士同士が聖衣を装着して戦うギャラクシアンウォーズから始まっており、星矢は遅れて参戦するという脚色がされている。

単行本2巻
11)氷河登場(10位)
12)ヒドラ市(8位)「ロードランナー」終了(16位)
13)紫龍登場(12位)「ラブ&ファイヤー」終了(16位)
14)矛盾  (12位)
15)矛盾2 (12位)
16)龍の右拳(9位)
17)紫龍蘇生(12位)
18)瞬 登場(14位)
19)アクシア(12位)

【解説】同時期の連載開始作品である平松伸二のボクシング漫画「ラブ&ファイヤー」が11話で終了一番乗り。聖闘士星矢もジリジリと二桁台に落ち着いてしまう。これ以上、ギャラクシアンウォーズを長引かせるとヤバイと思い、中断して暗黒聖闘士編に移ったのかもしれない。

単行本3巻
20)一輝登場 (12位)
21)鳳凰幻魔拳(12位)「超機動員ヴァンダー」終了(16位)
22)暗黒聖闘士(14位)「うわさのBOY」終了(16位)
23)暗黒乱闘 (15位)アニマル拳士」終了(16位)
24)暗黒白鳥 (16位)
25)四天王登場(13位)
26)ムウの館 (10位)
27)貴鬼登場 (12位)
28)聖衣帰還 (12位)

【解説】ヴァンダーとウワサの〜が終了。これで同時期に連載開始した漫画は聖闘士星矢以外、全て終わってしまった事になる。さらにアニマル拳士が終了した後、聖闘士星矢はスライドされて打ち切り順位である16位になってしまう。翌週は最下位を脱出するが、危険水域であることに変わりはない。

アニメ化が発表されたのは暗黒フェニックスを追い回して蹴散らしてゆく23号あたりではなかったかなと記憶している。ギャラクシアンウォーズが中断し、話がワケ分からなくなってこんな掲載順位後ろでアニメ化してどうするんだと思った。あと人気投票も行っていたが、こんな掲載順位が後ろで(以下略)。

単行本4巻
29)黒ペガサス(14位)
30)黒死拳  (15位)
31)氷河対一輝(10位)「はなったれBoogie」終了(16位)
32)瞬対暗黒 (12位)
33)聖衣修復 (11位)「メタルK」終了(17位)
34)紫龍対伏竜(9位)
35)黒ドラゴン(7位)
36)青銅集結 (12位)「ターヘルアナ富子」終了(16位)
37)一輝の過去(13位)

【解説】単行本1巻の奥付が1986年9月となっておりそれが正確な発売日か疑わしいが、この頃に単行本1巻が発売されたと思われる。あっという間に売り切れ続出でブーム到来を予感させたが、まだ掲載順位にそれは現れていない。「るろうに剣心」のときも、そんな風だったような気がする。アニメがスタートしてアンケート順位が上がるパターン。

単行本5巻
38)一輝無双 (14位)
39)一輝回想 (12位)
40)暗黒編終了(2位)
41)白銀聖闘士(11位)「サスケ忍伝」終了(16位)
42)再会の真鈴(9位)
43)白銀集結 (13位)
44)ミスティ戦(7位)
45)ミスティ死(1位)聖闘士星矢アニメ化記念特集号

【解説】41号で「きまぐれオレンジロード」が翌年の12号まで長期休載に。枠が一つ空いたけども、アニメ効果か打ち切り枠から少し脱却している。翌年のジャンプに掲載された、読み切り作品「SHAKA」から単行本5巻の巻頭に収録されている。

単行本6巻
46)氷河復活 (10位)「ハッスル拳法つよし」終了(16位)
47)魔鈴対白銀(9位)
48)星矢対白鯨(14位)
49)魔鈴復活 (8位)
50)アテナ告白(7位)
51)沙織誘拐 (6位)
52)星矢対黒鳥(6位)「くおん…」終了(17位)
1 2)一輝対黒鳥(7位)
3)デッドライン(11位)

【解説】87年の3号の11位から、しばらく二桁台はなくなり、聖闘士星矢は名実とともに大人気漫画となる。次の二桁台は88年の46号の10位。89年も二桁台は一回のみで相変わらず人気が高かったことが窺える。90年になると途端に二桁台しかなくなり(巻頭カラー除く)、聖闘士星矢はその年に終了しているのだった。

【総評】
やはり聖闘士星矢がかなり打ち切り危険水域にいたことが確認できた。かなり初期の方からアニメ化が進められいたようだが、それでも打ち切られていたかもしれない。現在は知らないが、昔のジャンプは漫画作りの主導権を奪われるメディアミックスを嫌う傾向があったことは以前ブログに書いた。この聖闘士星矢の頃のジャンプ編集部にその気風が残っていても全然おかしくない。

しかし新連載陣がこぞって打ち切りというのも失態だし、車田正美には実績もあるし、アニメ化も。。。という理由で首の皮一枚つながったという可能性もある。

しかし思い出した!アニメ化の話があり、グッズまで作られていたゆでたまごの「ゆうれい小僧がやってきた!」は打ち切りくらったんだったそういえば!なんと聖闘士星矢の連載開始の1年後の話であるから、当時のジャンプ編集部は気骨がありすぎる。

何しろ掲載作品でアニメ化されているのが「北斗の拳」「ドラゴンボール」「キン肉マン」「奇面組」「キャプテン翼」「魁男塾」「ついでにとんちんかん」「こちら葛飾区亀有公園前派出所(※)」「シティーハンター」「銀牙」「きまぐれオレンジロード(※)」と、傑作がゴロゴロしている435万部の頃の話である。やっぱり聖闘士星矢が生き延びたのは運もあったのだろう。

 

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車田正美も聖闘士星矢がヒットするまではアニメ化人気漫画家ではなかった。
by お名前(必須) (2023-05-04 13:45) 

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