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ジョージ秋山の弟子の40年の記録。イエス小池「漫画家アシスタント物語」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

イエス小池の活字の本、「漫画家アシスタント物語」を読んだ。
いっとき話題になった、ジョージ秋山のアシスタントを40年近く勤めた人のブログの書籍化。

まあ暗い。
著者が性格が暗いことを自認していて、
あまり読んでいて気持ちの良い話は出てこない。

漫画家になるワケでもなく、
やめるわけでもなく、
デビューしても食っていけない。
そんな世界観な印象。
そんな人がウジャウジャいて、業界がそれに支えられているという事実に暗い気持ちになる。

 
元マグロ漁船出身のアシスタント、大漁さん(仮名)という人。
船の上で喧嘩になって、一人が包丁を持ち出したらどうするかという話を著者にふる。
正解はこっちも包丁持つ、持たせるという話が面白い。
相手が持ってないから刺しちゃうのだと大漁さんは笑っていたそうだ。

その大漁さん、エロ漫画家として独立して10数年後。
奥さんと子供を殺害して新聞に載る。。。

 
先輩のハアさんの話もすごい。
デビューしたのに早々に打ち切り。
次の連載の話も来ず。

奥さんと離婚。
老母と別居。
建設現場で日雇い労働者として一人働くようになるが、
やがて金に困るようになり、あちこち金策。

10年勤めた師匠のジョージ秋山の元にも金を借りにくるが、
それをなんとジョージ秋山は断るのだった。
ハアさんはこのとき殺意を抱いたという。

ちなみにジョージ秋山は決してケチではなく、相手を見て断ったのだと分析されており、数年後にハアさん自身もあれで良かったのだと納得しているのだそう。ハアさんはのちにジョージ秋山の「ピンクのカーテン」のヒットに奮起して再デビュー。単行本1冊を出し、そのあと完全に廃業したそう。
 

「漫画家アシスタント物語」の元になったブログが話題になって書籍化されたのは2008年ごろだそう。
現在著者はアシスタントを辞めて、タイ人女性と結婚してタイに移住。
アシ中も女性関係はあれこれしっかりやっていることが本に書かれている。

内向的な性格らしく、先輩アシスタントのパワハラに耐えられず、年末進行の忙しい最中にかわぐちかいじの元をトンズラ。次の職場では、憧れてた村野守美のパワハラ気質に耐えられず一週間足らずで逃亡。

それでも本の出版時に、両先生とジョージ秋山は本を絶賛。
実名出すことを快く承諾してくれたという。なんか感動した。

 
アシスタントもいろいろだと思う。
まあ世間的に見て、あまり幸福そうに見える待遇の方は少ないと思う。
若いうちはそれでもいいが、年取ってからがキツイ。
若い頃はそれがよく分からない。自分の身にも刺さる。

例外中の例外といえば、45歳でナニワ金融道をヒットさせた青木雄二ぐらいか。凄すぎる。

30ぐらいでダメだったら諦めたら、と世間一般で言われているが、全くもって妥当だと思う。
「漫画家アシスタント物語」漫画化志望の人が必ず読むべき一冊…なのかどうかは分からない。
若い漫画志望者にとっては自分とは関係ない話だと思うだろう。
実際にそうかもしれないし、そうでないかもしれない。
 


漫画家アシスタント物語 (SUN MAGAZINE MOOK)

漫画家アシスタント物語 (SUN MAGAZINE MOOK)

  • 作者: イエス 小池
  • 出版社/メーカー: マガジン・マガジン
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本



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