アラハバキで粗探し?とり・みき「石神伝説」、安彦良和「韃靼タイフーン」にジワジワくる話 [心に残る1コマ]
前回取り上げた本、斎藤光政の「戦後最大の偽書『東日流外三郡誌』」。
その本に書かれるルポの過程で、すでに様々な反響を巻き起こしたそうで、とりあえず俺は副読本として漫画を2タイトル6冊も買わないといけなくなってしまった。
その一つがとり・みきの「石神伝説」全3巻。
もう一つが安彦良和の「韃靼(だったん)タイフーン」文庫版全3巻である。
ちなみに韃靼とはタタール民族の意味なんだそうだ。
読めないタイトル、これは売れにくい!
石神伝説の3巻。「偽書騒動」とボカしているが、著者とり・みきに東日流外三郡誌を批判する意図があるのは間違いない。
安彦良和は最近出た雑誌「コンテニューVol.60」掲載インタビューの中で、韃靼タイフーンに触れ、東日流外三郡誌を「ウソつきのおっさんが調子に乗って書き散らした」と、やはり批判的な態度をとっている。
至極当たり前の反応なのだが、ちょっと首をかしげるところがある。
大和朝廷成立よりはるか昔から東北で崇められていたアラハバキという神様。
これのヴィジュアルイメージを遮光器土偶として一般に普及させたのがウィキペディアによると「東日流外三郡誌」だというのだ。
しかし石神伝説では1巻の最初に、地下鉄トンネル内で巨大遮光器土偶と自衛隊が人知れず戦っているというシュールなシーンがあるのだが、その巨大土偶を見て解説役が「アラハバキ神だ」とするシーンがあるのである。
東日流外三郡誌を批判しつつも、遡ってみればそのイメージで物語が始まっている。矛盾しているのではないか?と思った。
石神伝説は1996年にコミックビンゴで連載開始。3巻の最後の方の話は1998年に描かれたらしい。
一方、東日流外三郡誌の登場は1970年代であるそうだ。
斎藤氏の調査が始まったのが1992年。最初に本にまとめられたのが2006年。
約20年間、誰も批判していなかったこともないかも知れないが、連載開始当初はまだ偽書説がそんなに普及してなかったのであろうか。
韃靼タイフーンは、歴史の陰で暗躍していたアラハバキ党なる一族が主人公。その「じい」役のキャラクターがつけているバイザーが遮光器になっている。連載開始は1999年。つまり安彦さんも、捏造された歴史を真に受けていたということになる。
安彦さんの場合は前述のコンテニュー誌インタビューによると「あれに書かれているような伝承があってもいい」と割と好意的な態度である。ちなみにその安彦さんが表紙を描いた「戦後最大の〜」は、そういう「面白ければいいんじゃないの」という姿勢を結構批判しているのだが。
ちなみに安彦さんと「戦後最大の〜」の著者、斎藤光政さんの二人は友達であるらしい。
表紙は無理言って描いてもらったのだそうだ。
ナイスチョイス。
俺も安彦良和の表紙でなかったら興味持たなかっただろう。
もっとも、その内容については結構考えさせられる部分があった。
そもそも偽書事件とはなんなのかということだ。
もちろん本物と偽って歴史を捏造するのは罪深いことである。
「戦後最大の〜」を読んで一番罪深いなと思ったのは安東氏の墓。
すごい立派だ。
偽書事件の主犯である和田さんが、偽物の遺骨をネタにある村に1200万ぐらい使わせて、墓を建ててしまったという。
すごい立派な墓だ。
これは罪深いわ。
「戦後最大の〜」には、和田家文書とは直接関係がないこととして日本のキリストの墓の話も出てくる。
戸来村に伝わるというあれだ。
MMRにも出てきた。
まあいかがわしいけどロマンあるよね、とか生暖かい目で見てる人が多いと思うのだけど、海外から見たら「日本人がまたやってるぞ!」とか思われたりもするらしい。ネットではよく韓国起源説を笑うけども、海外からしたら大差ないのかもしれんと思うと恥ずかしくなってくるではないか。
アメリカ人は進化論を否定するのが一般的らしい。
人間は猿から進化したのではない、神様が作ったのだと。
ちなみに以前紹介したイスラム教もそんな考え方らしい。
じゃあ神様がセックスして日本列島ができたという国の成り立ちを、信じてないけど聞かれたらそう説明するしかない日本人とは大差あるのかないのか。
この辺はゴーマニズムが書いていたので、後ほど読み返して考えたい。
ちなみに「戦後最大の〜」の文中にはゴーマニズムから引用している箇所がある。
そもそも歴史は時の権力者によって残されてきたものだ。
捏造があって当たり前なのである。
和田家文書と次元が違うのはわかるんだけどもね。
わかっているが、考えだすとキリがない。
東日流外三郡誌を死ぬまで本物と訴え続けた学者の古田武彦のウィキペディアを見ると、
>酒匂景信が持ち帰った好太王碑の拓本は改竄されていなかったとする(古田武彦の説で唯一定説になったもの)。
…と書かれている。
これって安彦良和の「天の血脈」に登場したヤツですやね。
天の血脈は大日本帝国の覇権のため、都合の良い歴史を作ろうとする内田良平の工作活動が物語の核になっている。
…もうなんか色々ジワジワくるわけである。
うまく言語化できないけども。
その本に書かれるルポの過程で、すでに様々な反響を巻き起こしたそうで、とりあえず俺は副読本として漫画を2タイトル6冊も買わないといけなくなってしまった。
その一つがとり・みきの「石神伝説」全3巻。
もう一つが安彦良和の「韃靼(だったん)タイフーン」文庫版全3巻である。
ちなみに韃靼とはタタール民族の意味なんだそうだ。
読めないタイトル、これは売れにくい!
石神伝説の3巻。「偽書騒動」とボカしているが、著者とり・みきに東日流外三郡誌を批判する意図があるのは間違いない。
安彦良和は最近出た雑誌「コンテニューVol.60」掲載インタビューの中で、韃靼タイフーンに触れ、東日流外三郡誌を「ウソつきのおっさんが調子に乗って書き散らした」と、やはり批判的な態度をとっている。
至極当たり前の反応なのだが、ちょっと首をかしげるところがある。
大和朝廷成立よりはるか昔から東北で崇められていたアラハバキという神様。
これのヴィジュアルイメージを遮光器土偶として一般に普及させたのがウィキペディアによると「東日流外三郡誌」だというのだ。
しかし石神伝説では1巻の最初に、地下鉄トンネル内で巨大遮光器土偶と自衛隊が人知れず戦っているというシュールなシーンがあるのだが、その巨大土偶を見て解説役が「アラハバキ神だ」とするシーンがあるのである。
東日流外三郡誌を批判しつつも、遡ってみればそのイメージで物語が始まっている。矛盾しているのではないか?と思った。
石神伝説は1996年にコミックビンゴで連載開始。3巻の最後の方の話は1998年に描かれたらしい。
一方、東日流外三郡誌の登場は1970年代であるそうだ。
斎藤氏の調査が始まったのが1992年。最初に本にまとめられたのが2006年。
約20年間、誰も批判していなかったこともないかも知れないが、連載開始当初はまだ偽書説がそんなに普及してなかったのであろうか。
韃靼タイフーンは、歴史の陰で暗躍していたアラハバキ党なる一族が主人公。その「じい」役のキャラクターがつけているバイザーが遮光器になっている。連載開始は1999年。つまり安彦さんも、捏造された歴史を真に受けていたということになる。
安彦さんの場合は前述のコンテニュー誌インタビューによると「あれに書かれているような伝承があってもいい」と割と好意的な態度である。ちなみにその安彦さんが表紙を描いた「戦後最大の〜」は、そういう「面白ければいいんじゃないの」という姿勢を結構批判しているのだが。
ちなみに安彦さんと「戦後最大の〜」の著者、斎藤光政さんの二人は友達であるらしい。
表紙は無理言って描いてもらったのだそうだ。
ナイスチョイス。
俺も安彦良和の表紙でなかったら興味持たなかっただろう。
もっとも、その内容については結構考えさせられる部分があった。
そもそも偽書事件とはなんなのかということだ。
もちろん本物と偽って歴史を捏造するのは罪深いことである。
「戦後最大の〜」を読んで一番罪深いなと思ったのは安東氏の墓。
すごい立派だ。
偽書事件の主犯である和田さんが、偽物の遺骨をネタにある村に1200万ぐらい使わせて、墓を建ててしまったという。
すごい立派な墓だ。
これは罪深いわ。
「戦後最大の〜」には、和田家文書とは直接関係がないこととして日本のキリストの墓の話も出てくる。
戸来村に伝わるというあれだ。
MMRにも出てきた。
まあいかがわしいけどロマンあるよね、とか生暖かい目で見てる人が多いと思うのだけど、海外から見たら「日本人がまたやってるぞ!」とか思われたりもするらしい。ネットではよく韓国起源説を笑うけども、海外からしたら大差ないのかもしれんと思うと恥ずかしくなってくるではないか。
アメリカ人は進化論を否定するのが一般的らしい。
人間は猿から進化したのではない、神様が作ったのだと。
ちなみに以前紹介したイスラム教もそんな考え方らしい。
じゃあ神様がセックスして日本列島ができたという国の成り立ちを、信じてないけど聞かれたらそう説明するしかない日本人とは大差あるのかないのか。
この辺はゴーマニズムが書いていたので、後ほど読み返して考えたい。
ちなみに「戦後最大の〜」の文中にはゴーマニズムから引用している箇所がある。
そもそも歴史は時の権力者によって残されてきたものだ。
捏造があって当たり前なのである。
和田家文書と次元が違うのはわかるんだけどもね。
わかっているが、考えだすとキリがない。
東日流外三郡誌を死ぬまで本物と訴え続けた学者の古田武彦のウィキペディアを見ると、
>酒匂景信が持ち帰った好太王碑の拓本は改竄されていなかったとする(古田武彦の説で唯一定説になったもの)。
…と書かれている。
これって安彦良和の「天の血脈」に登場したヤツですやね。
天の血脈は大日本帝国の覇権のため、都合の良い歴史を作ろうとする内田良平の工作活動が物語の核になっている。
…もうなんか色々ジワジワくるわけである。
うまく言語化できないけども。
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