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少年ジャンプ10週打ち切り版「進撃の巨人」とは何か? [名作紹介]

進撃ロボ1.png
前回からの続き。
魔神竜バリオン以降、32年間ジャンプに巨大ロボ漫画はなかった。
ひとことで言うと、巨大ロボ漫画は編集部に嫌われていたのだと思う。

細かく検証するとキリがないのでざっくり結論を済ませてしまうが、ゲーム業界の巨大ロボものに対する上層部の嫌悪感と同じようなものがジャンプ編集部にもあったと思うのだ。その嫌悪感を払拭できるような企画を、様々な書き手が試行錯誤したのだと思う。バリオンもそのひとつだったが正解ではなかった。
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(画像は田中圭一「若ゲのいたり」)

正解は2009年の「進撃の巨人」だった。
ロボではないが、話の構造はロボだ。
巨大なものが人類を脅かし、主人公は巨大なものに搭乗し戦う。
進撃ロボ2.png
累計8000万部。
すごいなと思うのは、普段漫画を読まないような人を巻き込んだ作品ということである。
始めて読んだ漫画だという女の子もよく見かける。
将来漫画を語る上で、ワンピースと並び基礎的な教養となる作品だと思う。

「進撃の巨人」は、よくジャンプが逃したヒット作として、ジャンプ叩きのネタとして使われることが多い。失態は失態ではあるが、目利きが完璧だとは思っていない編集部の空気は「バクマン。」が表現している。
疎外6.png
売れればなんでもいいわけではなく、ジャンプの作風に合わなければ、ヒットメーカーの三田紀房と売れっ子編集者の佐渡島庸平のタッグの企画すら蹴っ飛ばすという強い信念がジャンプ編集部にはある。

ジャンプの型にはめられていればあれこれと作風が改変され、「進撃の巨人」のヒットも無かったかもしれない。月刊マガジンというのもよく分からないけども。同じ講談社のアフタヌーンだったら納得できる。

「進撃の巨人」が良かったなと思うのは巨大ロボ成分を上手く消しているところだと思う。作品のイメージとしては立体機動装置を使った戦闘の方が印象がはるかに強く、巨大ロボに搭乗して戦うのは印象が薄い。だから世間的には巨大ロボ物としては低アレルゲン商品として受け入れられやすかったのではないかと思う。ガンダムが「ロボット」を「モビルスーツ」と表記し、子供っぽいイメージから脱却したように。

これが並の作品なら、1話目から主人公が巨大ロボに乗り込んで戦っていだろう。
そうしたらこの作品はあっという間に見限られ、終わっていたのかもしれない。
ところが実際に主人公が巨大ロボに乗り込んだのは単行本2巻の8話である。
ロボに乗り込むまで、8ヶ月かかっているのだ。
ちなみに、単行本表紙に主人公機が描かれるのは単行本7巻までかかっている!

ちなみに俺はこの漫画を首を傾げながら読み始めて、
8話目で「ああ、なるほど」と思ったものである。

ファーストガンダム以上のヒットを出せず苦しむ富野由悠季監督が1993年に放った「機動戦士Vガンダム」は、当初主役ロボット登場を4話目に予定していたが、スポンサーが難色を示したために元々の4話を第一話とし、以降の話を回想に構成し直したという。
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(画像は山田玲司「絶望に効くクスリ」5巻
4話のままにしておけば作品が進撃の巨人的な大ブームを巻き起こせたかどうかは置いといて、定石を打ち破って大成功してしまうことがたまにあるということの一例として、頭の隅にとどめておきたい。

 
 
進撃ロボ4.png


 
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