かなりジャンプ読者の記憶から抹消されているであろう幻の打ち切り漫画、大西志信の「ミスターライオン」 [名作紹介]
少年マンガにこだわったという少年ジャンプ黄金期。
しかし当時も今も、どう考えても雑誌のカラーに合わないだろうという作品が存在する。
その頂点に立つのは大西志信(おおにししのぶ)の「ミスターライオン」なのではなかろうか。
お笑い芸人の大西ライオンとは関係ないと思う。
女子校を舞台にした熱血教師ものである。
絵柄は逃げも隠れもしない少女漫画タッチ。
戸惑いながらも当時小学生だった俺は、煽りを鵜呑みにして「こ、これが面白い漫画なんだな」と思いながら読み始めるワケですよ。
第一話は、夢見がちな女子生徒がイケメンの大学生にかどわかされ、一服盛られて裸の写真を撮られまくってしまい、ショックのあまり自殺未遂を起こすという内容。もう小学生には異次元の話で、理解できずとにかく絶句したのを覚えている。
ちなみに第3話は1話の少女が便秘に苦しむ話である。
ジャンプ読者の人気が得られるワケもなく、結局ミスターライオンは10話で打ち切りになったようである。
いったい編集部にどんな戦略があったのだろう。
ちなみに抜けが多い「少年ジャンプ暗黒50年史」では、連載開始作品リストにミスターライオンの名前が無い。同年に終わったことだけが書かれている。
ミスターライオンの主人公はどことなくシティーハンターの冴羽獠に似ているのだが、なんとミスターライオン連載開始のその次の号からシティーハンターが始まっているのである。
他にも85年は「ついでにとんちんかん」「魁!!男塾」が連載開始。
同85年に終わった漫画としては「バオー来訪者」「男坂」「ブラックエンジェルズ」「ウイングマン」「よろしくメカドック」などがある。
前年84年のジャンプは390万部。
ミスターライオンのせいではないだろうけども。
ちなみに87年は450万部
さらに部数を伸ばすためには、女性読者も少し取り入れなければとか、そんな狙いがあったのだろうか?
作者的には少女漫画をおちょくるようなことを書いたり、「その辺の学園ドラマ」にも見られたくなかったようである。少年読者に擦り寄りたい気持ちがあったのかもしれない。
今読んで見てどうか。
女子高生が大学生の彼氏にかどわかされるという第一話は今読んでもショッキングだ。が、2話以降、それを上回るようなリアリティやテーマは無い。学園コメディの定番的な話ばかりだ。
単行本の書き下ろしページで週刊連載のキツさを嘆いているので大変だったのだろう。かなり失速していく感はある。
(ノーヘルで三人乗り。これが許される時代だったのだろうか?ちなみに主人公の本職は警察官)
ミスター・ライオンは高校卒業してからの作品で
連載中に本人と数回会っていました
16位からは缶詰で地元の漫画サークルの助っ人で
何とか〆切までに書いていたようです。
by ひこにゃん (2020-07-17 22:36)
すごい貴重な証言ありがとうございます!
by hondanamotiaruki (2020-07-23 11:04)