デブはいるのかいらないのか?5人戦隊はどのようにアレンジされてきたのか?鈴木武幸「夢を追い続ける男」7 [シリーズ]
今回はほぼ本に触れない番外編。
5人戦隊の元祖とはなんだろう。
スーパー戦隊の始祖である「秘密戦隊ゴレンジャー」が始まったのは1975年。
それ以前の五人戦隊といえば1972年のアニメ、「科学忍者隊ガッチャマン」がメジャーだ。
それよりも以前の5人戦隊というと、コレです(バン!)。
「三国志」の五虎大将軍。
関羽レッド、黄忠イエロー、、、(後が続かない)。
そもそも五人1組を最小のグループとしたのは古代中国で、そのリーダーが「伍長」。歴史上、最も有名な伍長はヒットラーなんだそうだ。「落伍者」という言葉もある。
話をガッチャマンまで戻すけども、主人公、ニヒル、デブ、チビ、女という編成はガッチャマンに限らず、当時のアニメの定番だったように思う。人数は様々だが、五人ぐらいが丁度いいと皆が気づいたのがガッチャマンだったのではなかろうか。
デブとかチビとかいらなくね?
全部美形でよくね?
ということに気づいてしまったのが車田正美なのではなかろうか。
当時、プロなら必ず押さえておくべき常識を覆し、レギュラーを全員イケメンにした「聖闘士星矢」(1986年)は大ヒット。その後、「鎧伝サムライトルーパー」「機動戦士ガンダムW」「超者ライディーン」などがそれを踏襲してヒットになった。腐女子ウケ狙いがあからさま過ぎて男性視聴者に敬遠されるので、今はあまり露骨にはやらないだろうけども。
(上画像は鈴木みそ「あんたっちゃぶる」2巻 1993年頃のもの。)
車田正美は出世作であるボクシング漫画、「リングにかけろ」(1977年)を途中から5人組で戦うフォーマットに路線変更し、大ブレイクした。その時の編成は「主人公(高嶺)、ニヒル(剣崎)、チビ(香取)、女(河合)、オッサン(支那虎)」であった。
続く学園忍者漫画「風魔の小次郎」(1982年)では「主人公(小次郎)、ニヒル(竜魔)、女(霧風)、?(小龍)、デブ(劉鵬)」と、定番のカテゴライズに少し当てはまらなくなってきている編成になった。
この中のデブ担当である劉鵬は最初から最後まで全く見せ場が存在せず不要なキャラだったことから、聖闘士星矢の「デブいらなくね?」という悟りに繋がったのではないかと思うのだがどうだろう。
残念なのが車田正美が新選組を描いた「あかね色の風」では、そのノウハウが全く生かされていないことだ。青年誌に掲載された作品なので、あえてジャリ向けの演出は捨てたということなのだろうか。倒幕側はカッコよく描かれているが、肝心の新選組の隊士は近藤土方沖田以外は皆モブ顔なのである。
(上画像は「あかね色の風」。左から原田、山南、井上なのだろうか。旗持ちと、その背後にいるのは斎藤永倉ということになるか?)
逆パターンで成功していると思うのが1991年のスーパー戦隊「鳥人戦隊ジェットマン」だ。今やスーパー戦隊も全員美形で当たり前だが、28年前のスーパー戦隊15作目の頃もすでにそういう風潮になっていたように思う。しかしジェットマンはあえてイエロー役にデブを配置。
秀逸なのが、変身してもデブなのである!キレンジャーよりもキレンジャー感を出すことに成功。仲間がスカしたポーズをとる中で一人、腕を組んで胸を突き出す野暮ったいシルエットが素晴らしい。
ジェットマンは色々と革新的な戦隊だったが、原点へのリスペクトも忘れない作品であることが一目でわかるのである。
桂正和のウイングマンも秀逸である。
ジャンプを夢中になって読んでいた子供の頃、なぜ特撮ヒーローや巨大ロボものの漫画が少ないのか疑問だったが、それらを卒業した子供が主な読者層だったからなのではないかと思う。それと仮面のヒーローやロボット物はキャラクターの命である顔の表情で感情を表現するということに向いていないという致命的な欠点がある。
桂正和もウイングマンの後の「超機動員ヴァンダー」で打ち切りを食らって以来、あからさまな変身ヒーローものは避けているし、弟子の黒岩よしひろはスーパーロボット漫画「魔神竜バリオン」で打ち切りを食らった。
それなのにウイングマンはそこそこのヒット(インパクトのある作品だと思うが、単行本は全13巻と短い)になれたのか。そこは半裸のムチムチ女子4人を加えた5人戦隊としたところにあると思う。戦隊を卒業した背伸びしたがりの男の子も、これなら見るというわけだ。
ヴァンダー、バリオンの打ち切りから、ジャンプ作家があからさまな戦隊ネタを避ける中、出し抜いたのが鳥山明だと思う。ドラゴンボールの「ギニュー特戦隊」は最も効果的な戦隊ネタの有効活用だったと思う。
何しろ主人公不在でヒーロー側のタレント不足なところに、敵の新たな増援が到着。緊張感ピークなところであのギャグである。完全にやられたと思った。しかも巻頭カラーのタイミングをしっかり計算に入れている。ギニュー特戦隊は周囲でも大反響を巻き起こした。
5人戦隊の元祖とはなんだろう。
スーパー戦隊の始祖である「秘密戦隊ゴレンジャー」が始まったのは1975年。
それ以前の五人戦隊といえば1972年のアニメ、「科学忍者隊ガッチャマン」がメジャーだ。
それよりも以前の5人戦隊というと、コレです(バン!)。
「三国志」の五虎大将軍。
関羽レッド、黄忠イエロー、、、(後が続かない)。
そもそも五人1組を最小のグループとしたのは古代中国で、そのリーダーが「伍長」。歴史上、最も有名な伍長はヒットラーなんだそうだ。「落伍者」という言葉もある。
話をガッチャマンまで戻すけども、主人公、ニヒル、デブ、チビ、女という編成はガッチャマンに限らず、当時のアニメの定番だったように思う。人数は様々だが、五人ぐらいが丁度いいと皆が気づいたのがガッチャマンだったのではなかろうか。
デブとかチビとかいらなくね?
全部美形でよくね?
ということに気づいてしまったのが車田正美なのではなかろうか。
当時、プロなら必ず押さえておくべき常識を覆し、レギュラーを全員イケメンにした「聖闘士星矢」(1986年)は大ヒット。その後、「鎧伝サムライトルーパー」「機動戦士ガンダムW」「超者ライディーン」などがそれを踏襲してヒットになった。腐女子ウケ狙いがあからさま過ぎて男性視聴者に敬遠されるので、今はあまり露骨にはやらないだろうけども。
(上画像は鈴木みそ「あんたっちゃぶる」2巻 1993年頃のもの。)
車田正美は出世作であるボクシング漫画、「リングにかけろ」(1977年)を途中から5人組で戦うフォーマットに路線変更し、大ブレイクした。その時の編成は「主人公(高嶺)、ニヒル(剣崎)、チビ(香取)、女(河合)、オッサン(支那虎)」であった。
続く学園忍者漫画「風魔の小次郎」(1982年)では「主人公(小次郎)、ニヒル(竜魔)、女(霧風)、?(小龍)、デブ(劉鵬)」と、定番のカテゴライズに少し当てはまらなくなってきている編成になった。
この中のデブ担当である劉鵬は最初から最後まで全く見せ場が存在せず不要なキャラだったことから、聖闘士星矢の「デブいらなくね?」という悟りに繋がったのではないかと思うのだがどうだろう。
残念なのが車田正美が新選組を描いた「あかね色の風」では、そのノウハウが全く生かされていないことだ。青年誌に掲載された作品なので、あえてジャリ向けの演出は捨てたということなのだろうか。倒幕側はカッコよく描かれているが、肝心の新選組の隊士は近藤土方沖田以外は皆モブ顔なのである。
(上画像は「あかね色の風」。左から原田、山南、井上なのだろうか。旗持ちと、その背後にいるのは斎藤永倉ということになるか?)
逆パターンで成功していると思うのが1991年のスーパー戦隊「鳥人戦隊ジェットマン」だ。今やスーパー戦隊も全員美形で当たり前だが、28年前のスーパー戦隊15作目の頃もすでにそういう風潮になっていたように思う。しかしジェットマンはあえてイエロー役にデブを配置。
秀逸なのが、変身してもデブなのである!キレンジャーよりもキレンジャー感を出すことに成功。仲間がスカしたポーズをとる中で一人、腕を組んで胸を突き出す野暮ったいシルエットが素晴らしい。
ジェットマンは色々と革新的な戦隊だったが、原点へのリスペクトも忘れない作品であることが一目でわかるのである。
桂正和のウイングマンも秀逸である。
ジャンプを夢中になって読んでいた子供の頃、なぜ特撮ヒーローや巨大ロボものの漫画が少ないのか疑問だったが、それらを卒業した子供が主な読者層だったからなのではないかと思う。それと仮面のヒーローやロボット物はキャラクターの命である顔の表情で感情を表現するということに向いていないという致命的な欠点がある。
桂正和もウイングマンの後の「超機動員ヴァンダー」で打ち切りを食らって以来、あからさまな変身ヒーローものは避けているし、弟子の黒岩よしひろはスーパーロボット漫画「魔神竜バリオン」で打ち切りを食らった。
それなのにウイングマンはそこそこのヒット(インパクトのある作品だと思うが、単行本は全13巻と短い)になれたのか。そこは半裸のムチムチ女子4人を加えた5人戦隊としたところにあると思う。戦隊を卒業した背伸びしたがりの男の子も、これなら見るというわけだ。
ヴァンダー、バリオンの打ち切りから、ジャンプ作家があからさまな戦隊ネタを避ける中、出し抜いたのが鳥山明だと思う。ドラゴンボールの「ギニュー特戦隊」は最も効果的な戦隊ネタの有効活用だったと思う。
何しろ主人公不在でヒーロー側のタレント不足なところに、敵の新たな増援が到着。緊張感ピークなところであのギャグである。完全にやられたと思った。しかも巻頭カラーのタイミングをしっかり計算に入れている。ギニュー特戦隊は周囲でも大反響を巻き起こした。
「夢戦士ウイングマン」CHAING BD-BOX [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: フロンティアワークス
- メディア: Blu-ray
2019-05-29 10:50
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