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「ロボットゲームは必ず失敗する」業界にトラウマを与え重役を老害化させたロボゲー戦犯は何なのか? [ゲーム]

田中圭一の「若ゲのいたり〜ゲームクリエイターの青春〜」のバーチャロンの回を読んでいて気になったことがある。

「電脳戦機バーチャロン」は、1995年にセガがリリースしたヒットゲームだが、企画では「ロボットゲームは売れない」と、常務の猛反発を食らったという。
戦犯1.png
「(企画書を)見なくてもわかる。オレはもう業界で30年やってるんだ」
「ロボットが主役のゲームは絶対にヒットしない!」
「社長!オレはこのゲーム、ダメな方にクビをかけます!」

似たような話を「ギャラクシアン創世記」でも読んだ。
1996年の戦車ゲーム、「トーキョーウォーズ」制作秘話である。
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澤野 当時は通信のゲームってドライブばかりだったからか、みんなドライブゲームの企画ばっかり出してきてねぇ。ドライブ以外で通信ゲームを作れ!って言ったんですよ。そしたらロボットの対戦ゲームを考えて企画を進めていたんで「やめろ」って言ったんです。

ー それは何でロボットはダメだったんですか?

澤野 ロボットなんて初めて遊ぶのにどうやって操作したらいいか分からないじゃないですか。誰も乗った人が居ないのに。そんなしちめんどくさいものをテーマにするんじゃないよ!って怒って。戦車なら良くわかるだろ?って。

ー 一般の人が戦車に乗ったことあるのか、というツッコミはさておき戦車がテーマであるならナムコ作品の系譜ですし、分かり易いかもしれませんね。
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トーキョーウォーズはゲーム画面のクレジットが1995年とあることから、電脳戦機バーチャロンとほぼ同じ時期の開発、稼働開始と考えて間違いない。同じアーケードの通信対戦ポリゴンゲームである。どちらに軍配があがるかと言えば、知名度的に言えば成功したのは圧倒的にバーチャロンだろう。

大成功するバーチャロンを見て、ナムコの製作陣はどう思ったのだろうか。澤野氏も間違いなく、その時に何か気まずい思いをしたと思うのだが忘れてるのだろうか。。。ちなみにインタビューは2017年のもの。澤野氏の退社したナムコはバンダイと合併。バーチャロン的なガンダムゲームがロングランヒットしているのを見て、何も思わないのだろうか。

インタビュアーはそのことについて突っ込んでいない。澤野氏も「トーキョーウォーズには凄い思入れがある」、「後からその判断で間違いないということを理解してもらえたからよかった(笑)」と気にする風でもない。

そもそもトーキョーウォーズもバーチャロンも、ポリゴンという業界の大革命である新技術で何ができるのかという企画である。この新技術は、多くの少年の夢である「巨大ロボを操縦したい」という願望に最も相性が良かったことは、「戦場の絆」「鉄騎」「アーマードコア」「ガングリフォン」「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」「アナザーセンチュリーズエピソード」など、名作が多く生まれたことからもわかると思う。

「若ゲのいたり」で、セガの社長がこう言ったとある。
戦犯2.png
「確かにロボットのゲームが成功したなんて話、私も聞いたことがない」
「なのに若い奴らからは毎年のようにロボットの企画が出てくる」
若手のクリエイターはロボットゲームを渇望していたのである。
そして需要もあった。

なのにポリゴンゲームの先陣を切ったナムコのリリースは、1993年の「サイバースレッド」、95年の「トーキョーウォーズ」だった。当時「わかってねえなあ」と思ったのを強く覚えている。トーキョーウォーズの市街戦というコンセプトは良いと思う。プラモ狂四郎を思い出した。
戦犯4.png
これがロボットだったらなと思う。
あと、トーキョーウォーズはゆうきまさみの「パトレイバー」の序盤に出てくる体感ゲーム「パトレイバー」も思い出す。
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この漫画に出てくるゲームにも、当時胸をときめかせたものだ。そういう人も多かったのではなかろうか。パトレイバーが1988年から94年の作品らしい。なぜ誰も真似しなかったのか。

よくよく考えてみれば、体感ゲームでは間違いなくリーディングカンパニーであったセガから、体感のロボットゲームは一作もない気がする。それほどまでに、ゲーム会社の重役たちがロボットゲームを避ける原因になった戦犯とは何なのだろうか。これはよく分からない。

ナムコといえば1989年の「ファイトネスアワー」がある。

まあヒットしなかったとカテゴライズしても間違いないゲームだろう。雑誌で見たときはロボットを操れると興奮したが、昔ジャスコで一度プレイしたっきりだ。面白いかつまらないか、どう感じたか覚えていないが、あまりピンとこなかった。

ファイトネスアワーが稼働した89年のナムコゲームに「ウィニングラン」がある。まさにポリゴン時代の先陣を切ったのがこのゲームで、この企画の系譜にトーキョーウォーズも存在する。ナムコの澤野氏は、ロボットの企画が上がってきた時にファイトネスアワーを連想したのではないだろうか。ナムコ発の「バーチャロン」を逃すにはちょっとボンヤリした理由だけども。

業界にトラウマを蔓延させるまでに至るロボットゲームの失敗作。
ちょっと思いつかない。
誰かわかる方はいないだろうか。

 

トーキョーウォーズ アーケード

トーキョーウォーズ アーケード

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワンダースピリッツ
  • 発売日: 1997/11/19
  • メディア: CD





ギャラクシアン創世記 -澤野和則 伝-

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  • 作者: ぜくう
  • 出版社/メーカー: 密林社
  • 発売日: 2018/05/20
  • メディア: ムック

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