スーパーマン、クリスマスに精神的にも肉体的にもぼっちになるアレックス・ロスの「ピースオンアース」 [名作紹介]
新型のiPad Proが発表された。
ストレージが最大のもので1TB!
ついに本棚を持ち歩ける日が来たわけだ。
お値段は20万円超え。
でも欲しい。
でも今のiPad Proにあまり不満が無い。
3年経ったのだけれど。
多少くたびれてきてはいる。
もっと本格的にアカンくなった時じゃないと無駄遣いのような気がする。
毎年新機種は出るわけだし。
さて、前回iPad Proを購入した時に紹介したのがアレックス・ロスの超美麗アートが堪能できるアメコミ、「マーブルズ」だった。
今回は同じアレックス・ロスの「スーパーマン ピース・オン・アース」を紹介しようと思う。
2000年に小学館プロダクションが邦訳したものだ。ちなみに同じアレックス・ロスのバットマンの短編とセット売りになっていたものを買った。もう邦訳されてから18年も経つにも関わらず、まるで色褪せてない良作だ。
脚本のポール・ディニについて全然知識がないが、物語も良い。
クリスマスシーズン。世界中の食糧危機の国々に、物資を配りまくろうと思いついたスーパーマン。感謝してくれる国もあれば主義思想の違いから拒絶する国もあったりして、打ちのめされてしまうという話。
だが、このヨーロッパの戦火の街では、希望の糸口さえ見い出せない。彼らは数えきれない地獄を見てきたのだ。家族が引き裂かれ、子供達が地雷の犠牲になる中、終わりのない戦いだけが続く。皆、黙って食料を受け取ると、静かに歩き去る。まるで幽霊のように。やっと一人の少年が口を開いた。彼は食料の箱を見つめ、僕を見て言った。「明日も来てくれるの?」僕は目を逸らした。
印象深いのが、独裁国家の元首がスーパーマンと対峙するシーン。
パパパっとやっつけちゃえば良かろうもんと思うのだが、なんだかんだでそうはいかない。元首の方も、よくもまあスーパーマンと面と向かって対峙できるものだなあと思う。
次に出会ったのは、違う種類の猛獣だった。仕事がら、この手の独裁者の噂は、耳にタコができるほど聞いている。武力と不正で国を牛耳っている輩だ。大げさな身振りで歓迎の意を示す。「これはどうも」声を振り上げる。「スーパーマン、今日は我が国を援助国に選んでくれて、皆、心から感謝している!」善意の微笑みは仮面に過ぎない。独裁者はさらに続けた。「早速だが」笑みが拡がる。「我々如きにかまって、君の貴重な時間を無駄にさせるのは実に心苦しい。あとは我が輩に任せてくれたまえ。ここから先は我々がやる」こいつの正体は盗人だ。武力で政権を乗っ取り、国民を恐怖で抑えつけている。こいつが国の資源を独り占めしているせいで、人々は悲惨な生活を強いられている。そんな男に食料を渡しても、隠匿するか、転売されるかが関の山だ。どちらにせよ…こいつの私腹を肥やすだけだ。人々の飢えは満たされない。僕はできうる限り丁重に、自分で人々に手渡したいのだがと申し出た。すると独裁者は何も答えずに、兵士達に向かってニヤリとうなずいた。次の瞬間、兵士達は銃口を対岸の人々に向けた。痩せ衰えた人々に。
スーパーパワーを持った人間の素朴な善意ですら、なかなか届けることができないという不条理。そういう想像の余地の及ばない世界にも想像力を働かせ、諦めず地道にでもいいからやっていこうじゃないかというお話。深い。
クリスマスプレゼントにどうだろうか。
ストレージが最大のもので1TB!
ついに本棚を持ち歩ける日が来たわけだ。
お値段は20万円超え。
でも欲しい。
でも今のiPad Proにあまり不満が無い。
3年経ったのだけれど。
多少くたびれてきてはいる。
もっと本格的にアカンくなった時じゃないと無駄遣いのような気がする。
毎年新機種は出るわけだし。
さて、前回iPad Proを購入した時に紹介したのがアレックス・ロスの超美麗アートが堪能できるアメコミ、「マーブルズ」だった。
今回は同じアレックス・ロスの「スーパーマン ピース・オン・アース」を紹介しようと思う。
2000年に小学館プロダクションが邦訳したものだ。ちなみに同じアレックス・ロスのバットマンの短編とセット売りになっていたものを買った。もう邦訳されてから18年も経つにも関わらず、まるで色褪せてない良作だ。
脚本のポール・ディニについて全然知識がないが、物語も良い。
クリスマスシーズン。世界中の食糧危機の国々に、物資を配りまくろうと思いついたスーパーマン。感謝してくれる国もあれば主義思想の違いから拒絶する国もあったりして、打ちのめされてしまうという話。
だが、このヨーロッパの戦火の街では、希望の糸口さえ見い出せない。彼らは数えきれない地獄を見てきたのだ。家族が引き裂かれ、子供達が地雷の犠牲になる中、終わりのない戦いだけが続く。皆、黙って食料を受け取ると、静かに歩き去る。まるで幽霊のように。やっと一人の少年が口を開いた。彼は食料の箱を見つめ、僕を見て言った。「明日も来てくれるの?」僕は目を逸らした。
印象深いのが、独裁国家の元首がスーパーマンと対峙するシーン。
パパパっとやっつけちゃえば良かろうもんと思うのだが、なんだかんだでそうはいかない。元首の方も、よくもまあスーパーマンと面と向かって対峙できるものだなあと思う。
次に出会ったのは、違う種類の猛獣だった。仕事がら、この手の独裁者の噂は、耳にタコができるほど聞いている。武力と不正で国を牛耳っている輩だ。大げさな身振りで歓迎の意を示す。「これはどうも」声を振り上げる。「スーパーマン、今日は我が国を援助国に選んでくれて、皆、心から感謝している!」善意の微笑みは仮面に過ぎない。独裁者はさらに続けた。「早速だが」笑みが拡がる。「我々如きにかまって、君の貴重な時間を無駄にさせるのは実に心苦しい。あとは我が輩に任せてくれたまえ。ここから先は我々がやる」こいつの正体は盗人だ。武力で政権を乗っ取り、国民を恐怖で抑えつけている。こいつが国の資源を独り占めしているせいで、人々は悲惨な生活を強いられている。そんな男に食料を渡しても、隠匿するか、転売されるかが関の山だ。どちらにせよ…こいつの私腹を肥やすだけだ。人々の飢えは満たされない。僕はできうる限り丁重に、自分で人々に手渡したいのだがと申し出た。すると独裁者は何も答えずに、兵士達に向かってニヤリとうなずいた。次の瞬間、兵士達は銃口を対岸の人々に向けた。痩せ衰えた人々に。
スーパーパワーを持った人間の素朴な善意ですら、なかなか届けることができないという不条理。そういう想像の余地の及ばない世界にも想像力を働かせ、諦めず地道にでもいいからやっていこうじゃないかというお話。深い。
クリスマスプレゼントにどうだろうか。
スーパーマン/ピース・オン・アース (DC super comics (No.011))
- 作者: Paul Dini
- 出版社/メーカー: 小学館プロダクション
- 発売日: 2000/06
- メディア: コミック
バットマン/ウォー・オン・クライム (DC super comics (No.010))
- 作者: Paul Dini
- 出版社/メーカー: 小学館プロダクション
- 発売日: 2000/06
- メディア: コミック
2018-11-02 07:01
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