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「はじめの一歩」はなぜ炎上したか?冗長な展開が破綻させた「頑丈じゃわい」のウソ [一歩]

はじめの一歩が炎上している。
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パンチドランカー疑惑を主人公本人が認めたことで大いに湧いたが、その次の回でまさかのKO負け。対戦相手は名かませ犬ポンチャイ・チュワタナの再来キャラ。新型デンプシーお披露目で死ぬほど長い間引っ張ってきたにも関わらずそれも不発。負けたら引退という流れだったために、ネットの反応は打ち切り予想が支配。はじめの一歩担当編集者が否定のコメントを出すほどの流れだった。そして炎上。
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「はじめの一歩」がなぜ少年漫画として画期的だったかというと、ケガして引っ張るという展開がなかったからだと自分は思う。それまでの漫画はケガで万全の状態で戦えないというのを主人公のピンチとして演出するものが多かった印象がある。自分にとって強いのはどっち?というのが一番の興味なのに、それに「もしケガが無かったら」だとか「アヤ」をつけられることは大いにしらける展開だったのだ。

はじめの一歩は仙堂戦で拳のケガはあったが、試合中にケガの影響はない。基本的にどんなに殴られようが、試合後の検査で「頑丈じゃわい」で済まされていた。漫画を面白くするものはリアリティーだが、大元の「もしもこんなウソが許されたら」というのが漫画の核である。一歩の場合、「頑丈じゃわい」という一つのウソを、多数のリアリティーで補強していた。

しかし連載が長期化しすぎて「頑丈じゃわい」も無理が出てきた。試合数が増えれば増えるほど破綻するウソなのである。そして作者の森川ジョージも一歩が殴られることでしかボクシングにおけるピンチを表現できなくなってきたというのが破綻を加速させた。
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一時期作中で、「頑丈じゃわい」に新たな理由づけを試みたことがあったがそれも失敗だったのか、物語はドランカー展開に舵を切る。

 
さて、自分はあまり一歩打ち切りはないだろうとは思っていた。しかし最近同雑誌で長期連載されていたテニス漫画が切られた話もあり、サンデーにおける炎上狙いの打ち切り戦略が業界のトレンドになったのかもしれないという危惧はあった。

打ち切られないとすれば、今後一歩はどういう展開になるのか。
かつて一歩の先輩である木村達也が引退を撤回する話があった。みっともなく宣言撤回して現役にしがみつくという展開になるのだろう。理屈ではない。母親や久美ちゃんを捨ててもボクシングにしがみつく。それが鷹村が散々振ってきた、一線を越えるということなのではないか。

例えば網膜剥離でボクシング協会からライセンスを剥奪され、海外に渡って試合をした辰吉丈一郎(はじめの一歩の表紙に登場したこともあった)のようにだ。

 
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基本的にドランカーになった選手は元に戻らない。
そこにブラックジャックが現れ治療を施すというのも漫画らしい展開であるが、それも無いとは言えない。もしくは「やっぱりドランカーじゃ無かった」で話を引っ張るのかもしれない。そもそも今回の敗戦も、来週「スリップ〜〜!!」で無かったことにされるんではあるまいな、とちょっとドキドキしている。立ち読みだったのでその辺、ちゃんと読んでいなかった。

リカルドマルチネスを倒して世界チャンピオン。
それを見るためにほとんどの読者は冗長すぎる展開、作者の劣化に耐えて一歩を読み続けている。俺は一回負けて再戦で倒すという予想だった。20年ぐらい前にした予想だ。しかしその展開だと350巻ぐらいかかるかもしれないと近年思い始め、流石にそんなのは耐えられないと今では一回やって終わりという考えに落ち着いている。流石にあのチャンピオンをドランカーがぶっつけ本番で倒すという展開にリアリティーを持たすことは無理だ。

路線変更をミスリードだとか、これこそリアリティなのだとか言い出す作家は多い。森川ジョージは今何を考えているのだろうか。

 

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