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敵か味方か?ソニック誕生秘話を盗作と一蹴するブレイクJハリスの「セガvs任天堂」 [ゲーム]

dマガジンでファミ通を読んでいたら、ソニックの記事が目に止まった。新作が出るということで、過去作を振り返った特集をしている。デザイナーの大島直人が、ソニック・ザ・ヘッジホッグのデザイン決定の経緯を語っているのだけど、当然ながら「フィリックス・ザ・キャット」についての言及はなかった。

フィリックス1.png

ブレイクJハリスの「セガvs任天堂」下巻にはこうある。
フィリックス2.png

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「ところで」フィッシャーは突然、ある記憶を呼び覚まされて、微笑を浮かべながら言った。

「あのハリネズミのアイディアがどこから来たか、お話ししたことがありましたっけ?」

「例のマスコットコンテストからだろう」とカリンスキーは推理した。

「ええ、それはそうですが、コンテストに出されたアイディアがどこからきたかという話です」

「いや、聞いたことがないと思うよ」

フィッシャーは顔を彼の方に近づけると言った。

「これは僕が一番好きな話の一つなんです。ゲームのデザインをしたのは中さんだし、彼は強烈な個性の持ち主なので、全ては彼の手柄のように言われ、大島さんの貢献はそのどさくさで忘れられていました。そこである時、僕はソニックの本当の生みの親である彼のところに行って、あのアイデアはどうやって思いついたのかと聞いて見たのです。彼は本当に内気でまったく気取ったところのない青年なので、きっと『皆で努力した結果です』とか『たまたまです』などと言うに違いないとばかり思っていたところ、微笑とともに返っきた答えがこうでした。『フィリックス・ザ・キャットの顔をミッキーマウスの体に付けたらああなっただけですよ』

「いやまさか」とカリンスキーは言った。「それはあり得ないだろう」

「いえ、誓って本当のことなんです」とフィッシャーは声を立てて笑いながら言った。

「これはあなたにとって大きな驚きでしょうが、大島さんにとっては今までこのことを一度も咎められたことがない事実の方がよほど大きな驚きなのです。

 二つの異なるキャラを盗作して作られた新たなキャラが彼らの人生をここまで変えてしまったことに二人は苦笑するしかなかったが、フィッシャーは腕時計を見るとそれまでの冗談めかした口調を変えて言った。「ところで、ずっと間違いを繰り返していた人間がそれを認めないと言うのはよくあることですよね。でも、僕が腑に落ちないのは、あなたがどうして今になってそんなことを僕に聞くのかと言うことです。
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フィリックス・ザ・キャットに似ていると言う声はキャラ誕生当時から少なくなかったと思う。だが盗作というのは穏やかじゃない。カートゥーンのパブリックイメージから作られたという方が適正だろう。
フィリックス3.png

書いてる人にも、訳してる人にもゲーム愛が多少疑問に思えるこの「セガvs任天堂」。このフィリックスの話は、訳した仲達志も読みどころの一つとしてあとがきで引用している。

ちなみにフィリックスの歴史は古く、ミッキーマウス誕生以前にディズニーがフィリックスをパクったとして訴えられているんだそうだ。

 

週刊ファミ通 2017年11月23日号

週刊ファミ通 2017年11月23日号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/11/09
  • メディア: 雑誌



セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争(下)

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