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本人も知らないであろう松方弘樹主演漫画、みなもと太郎「波闘」!傑作の裏に隠された歴史の真実とは!? [歴史漫画]

松方弘樹が亡くなった。
松方弘樹といえば思い出すのは石ノ森章太郎の漫画が原作のTVドラマ「HOTEL」だが、もう一つあまり知られていない名作がある。

それがみなもと太郎が描いた「波闘」だ。河川環境管理財団依頼による、史実・宝暦治水のコミカライズ。公開後は氏の代表作であり歴史漫画の傑作「風雲児たち」本編に組み込まれた。ワイド版を最初から読み始めると、読みにくい下手な絵がいきなり達者になっているので戸惑うのだが、読めば必ず愛読者になること間違いなしの傑作だ。

話が若干逸れたが、主人公の薩摩藩家老、平田靱負(ひらたゆきえ)のモデルが松方弘樹なのだ。
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家来が強くなり過ぎないよう作った江戸時代のシステム、参勤交代。
旅費でお金をたくさん使わせて、経済的に疲弊させるのが目的だ。

宝暦四年(1754年)、幕府は木曽三川の治水工事を薩摩藩に命令。九州から愛知まで、ゾロゾロと人を派遣して工事をさせる。大変な費用がかかるが、もちろん薩摩藩の自腹。しかも幕府の決めた、嫌がらせとしか思えない決まりを守ってやらなければならない。
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あまりの過酷さに抗議の切腹をする薩摩武士も。
しかし抗議などタブーである。切腹は闇に葬られる。お上のやり方はあまりにも酷いと、幕府の役人まで切腹する始末。しかし幕府は最後の最後まで薩摩をいじめ抜く。最後には家老平田靱負が自らの命と引き換えに、難工事を終了させると言うお話。話の性質上、記録に残すことは憚られ、土地の人によって口伝で伝えられた。。。これらの業績を埋れさせるわけには行かない!と言う運動は明治時代からあったそうで、みなもと太郎に漫画を依頼されたののもそういう経緯だそうだ。
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ところがである、この話、ちょっとでティールがおかしいんじゃないかという話が、そういう運動に参加している中心的な人物から出ているそうなのだ。去年、読売新聞で10回にわたる検証コラムが連載された。不振のきっかけになったのは、公式な記録に残されている平田靱負の死因が病死だったということだそうだ。幕府に抗議と取られないように。。。という話があったが、切腹した薩摩藩士の中に同姓の者があり、それと混同されたのが広まってしまったそうなのである。
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他にも細かい違いは実際の記事を見てもらうとしてだ。なかなか「風雲児たち」のファンとしてはショックである。まあ、歴史ってものはそんなもんだけどねー。「正史」と「演義」みたいに受け止めれば良いのではないだろうか。時が流れれば、「演義」が「正史」となるような新発見もあるかもしれないし。
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60過ぎた母の就寝前の枕元に、風雲児たち幕末編の新刊が置いてあったので、このことを話してみると「知らない。」「読んでない。」とのこと。そんなはずはなかろうと詰めてみたが、初期は絵が読みにくくて読んでなかったとのこと。確かに風雲児たちの初期は辛い。しかし宝暦治水&解体新書のエピソードからいきなり歴史的傑作になるので、ぜひあのハードルを飛び越えて、たくさんの人に読んで欲しいなあと思うのだが。

 
風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

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  • 作者: みなもと 太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: コミック

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