鳥山明が褒めたことでジャンプ10週打ち切り漫画の伝説となった岸大武郎の「恐竜大紀行」 [名作紹介]
AmazonKindleの読み放題で、久しぶりに岸大武郎(きしだいむろう)の「恐竜大紀行」を読んだ。一話ごとにダウンロードしないといけないのが煩わしい。
いわゆる少年ジャンプの10週打ち切り漫画ではあるが、それを鳥山明が褒めたことで漫画界に大きな衝撃を与えた。今読み返しても面白い。面白すぎる。なにせ鳥山明が褒めたのだ。打ち切られたというバイアスは打ち砕かれ、漫画界の皇帝御用達というブランドによって2割、3割と面白く読める気がする。
なぜこんなにも面白いのだろうと分析すると、主人公たちの心理描写がリアルなのだ。寄生獣で相手の思考を昆虫のようだと分析するシーンがあったと思うが、この漫画に登場する恐竜もまるで昆虫なのである。一見、温和な主人公が多くてメルヘンな感じで最初は和むのだが、自己を守るためにあまりにも他の命を軽視する展開が多く、その落差がたまらない。食うか喰われるかの世界で生きている思考のリアルだ。
リアルタイムで読んだきりだったが、今でも鮮烈に焼き付いているのはパキケファロサウルスの話。連載していた30年前は頭突きサウルスと疑われていなかった。主人公ロックはリーダーのオスであるボイスに頭突き勝負で負けて彼女のフルールを奪われ、さらに群れから追い出されてしまう。当時大人気だった「北斗の拳」における、シンにユリアを奪われるケンシロウのようだ。ロックは密かに群れに戻ってフルールを連れ出そうとするのだが、彼女は「強い男が好きなの」と申し訳なさそうに主人公を拒絶する。これを読んで、多くの少年少女がトラウマになったに違いない。
やさぐれたロックは武者修行の旅に出る。ひたすら頭を打ち付けて鍛えまくる。近年は頭突きで戦うという説には疑問が持たれているようだが、この無骨な生態描写は男心がくすぐられる。「俺はフルールが欲しいだけなのに!ボイスは何もかも持ってるじゃないかァ!!」というセリフは胸にくる。
鍛えまくったロックは群れに戻り、ボイスにリベンジ達成。強いオスが好きなフルールはロックのものになる。フルールにとってロックの努力とか想いの強さとかはどうでも良く、ただ強いからロックのものになる。シビアである。作者も「これでいいのだ!」的にまとめている。
ちなみに、恋愛をするにはコミニュニティのカーストで上位にいる方が良いのは本当だ。
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いわゆる少年ジャンプの10週打ち切り漫画ではあるが、それを鳥山明が褒めたことで漫画界に大きな衝撃を与えた。今読み返しても面白い。面白すぎる。なにせ鳥山明が褒めたのだ。打ち切られたというバイアスは打ち砕かれ、漫画界の皇帝御用達というブランドによって2割、3割と面白く読める気がする。
なぜこんなにも面白いのだろうと分析すると、主人公たちの心理描写がリアルなのだ。寄生獣で相手の思考を昆虫のようだと分析するシーンがあったと思うが、この漫画に登場する恐竜もまるで昆虫なのである。一見、温和な主人公が多くてメルヘンな感じで最初は和むのだが、自己を守るためにあまりにも他の命を軽視する展開が多く、その落差がたまらない。食うか喰われるかの世界で生きている思考のリアルだ。
リアルタイムで読んだきりだったが、今でも鮮烈に焼き付いているのはパキケファロサウルスの話。連載していた30年前は頭突きサウルスと疑われていなかった。主人公ロックはリーダーのオスであるボイスに頭突き勝負で負けて彼女のフルールを奪われ、さらに群れから追い出されてしまう。当時大人気だった「北斗の拳」における、シンにユリアを奪われるケンシロウのようだ。ロックは密かに群れに戻ってフルールを連れ出そうとするのだが、彼女は「強い男が好きなの」と申し訳なさそうに主人公を拒絶する。これを読んで、多くの少年少女がトラウマになったに違いない。
やさぐれたロックは武者修行の旅に出る。ひたすら頭を打ち付けて鍛えまくる。近年は頭突きで戦うという説には疑問が持たれているようだが、この無骨な生態描写は男心がくすぐられる。「俺はフルールが欲しいだけなのに!ボイスは何もかも持ってるじゃないかァ!!」というセリフは胸にくる。
鍛えまくったロックは群れに戻り、ボイスにリベンジ達成。強いオスが好きなフルールはロックのものになる。フルールにとってロックの努力とか想いの強さとかはどうでも良く、ただ強いからロックのものになる。シビアである。作者も「これでいいのだ!」的にまとめている。
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2016-11-01 19:58
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