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三国志を読み返す3、鳥を逃して新時代の到来を見た仲翔はその後どうなったのか? [名作紹介]

「やる夫が正史を書くようです」を読んでいる。
思ったより演義と大差ないので、読んでいて不安になってくる。

それによると、「横山光輝は虞翻(ぐほん)と仲翔(ちゅうしょう)を別人だと思っているのではないか」という疑問があるらしい。虞翻って聞いたことあるけど誰だっけ?調べてみたが、ピンとこない。仲翔は名前は完全に忘れていたが、横山光輝三国志での登場シーンは超強烈である。孫策に攻められた国で降伏を上申して追放され、帰宅して飼っている鳥を放した男である。孫策時代の到来を象徴するシーンだが、その後仲翔が全く出てこないので、思い返してみれば不思議な一コマになっている。
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調べてみると仲翔に「新時代に用の無い男」と言われた上司の王朗。横山光輝三国志では、いかにも凡庸な老害として描かれているが、調べてみると当時第1級の知識人で、孫策に敗れた後は曹操にスカウトされて昇進しまくり。特に没落したということも無いようだ。陳琳といえば袁紹の命令で曹操の悪口を書きまくったが、逆にその文章能力を曹操に褒められた人だが、その陳琳にも「自分より上」と王朗は評価されてる有様。
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一方、虞翻仲翔はどうなったかというと、王朗への上申が受け入れられなかったのは史実でも同じだったが、特に仲違いしたということもなく、王朗に付き従って逃亡の助けるために手腕を発揮。ある程度落ち着いたのだろうか、王朗は虞翻の母の身を案じて国へ戻るように勧め、虞翻もそれに従っている。二人とも良い奴じゃないか。

国に戻った虞翻は孫策にスカウトされ、一級のネゴシエイターとして力を発揮。降伏勧告が得意技だったようだ。曹操、張紘、呂蒙、孔融などの有名人が彼を評価している。しかし孫権とは上手くいかなかったようで、のちに左遷させられた。酒の席では孫権に斬り殺されそうにもなっている。

横山光輝三国志で虞翻として再登場するのは、呉による関羽討伐作戦の時。確かに別人に見える。年取ってちょっと太ったのかもしれない。ちなみに、この時に自分が降伏させた糜芳には、その後何でか知らないが辛く当たっていたらしい。犬ころ于禁にも罵声を浴びせたりして、孫権に軽蔑されている。
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演義だと、赤壁前に孔明が呉の重臣たちと言い争うシーンで登場しているらしい。横山三国志を読み返すと、似ている人が出ている。
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孫策はあまりにもかっこいい。
だから王朗が愚鈍だととてもしっくりくる。要するに引き立て役にされたわけである。引き立て役として一流だったのか、演義では孔明の北伐で舌戦で対決し、言い負かされた悔しさで死ぬという役割を負わされている。ちなみに、所詮フィクションなので、孔明の発言ロジックも極めて低レベル。こんなんで血を吐いて死ぬわけがない。

仕事も人格も一流だと三国志の原作者陳寿からも絶賛されている王朗なのだが、何故こんな役割を背負わされるのか。それこそ血を吐いて死にそうだが、彼は人格者なので許してくれるかもしれない。

ちなみに、横山光輝が虞翻と仲翔を別人と思っているのではという疑惑に関してたが、単に前に書いたのを忘れてるだけなのではないかと思う。

 
<2023年4月25日追記>
虞翻と仲翔は横山光輝三国志検定2級の問題になっているらしい。

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