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三国志漫画の一番星、横山光輝「三国志」を違う角度から読み返す [名作紹介]

言わずと知れた三国志漫画の一番星、横山光輝「三国志」ですが、今読み返してみると色々変なことに気づく。原作からして蜀の人間が描いてるのだからしょうがないといえばしょうがないのだが、蜀贔屓がひどい。「泣いて馬謖を切る」とか、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」に象徴させるように、負け戦さをいかに勝ったように見せるかという表現のテクニックに注目すると面白い漫画と言えるのかもしれない。
帯ギュ14.png

最近全巻読み返していて、色々気になるところを検索して調べてみた。
中盤の名小悪党蔡瑁。一族の繁栄のために劉備の命をつけ狙い、曹操が攻めてくると降伏。最後は赤壁で敵にハメられて、無残な最期を遂げた。正史ではどうなったか調べてみると、特にどこで戦死したということもなく、順調に出世して天寿を全うしたようだ。蔡瑁の甥っ子の劉琮も、演義では降伏した後に曹操の刺客に暗殺されているが、正史では順調に昇進。特に非業の死を遂げたという記述は無いようだ。正義の劉備を裏切り、悪党曹操に加担したものはロクなことにならないよ、という話に改変されているという話。もちろん横山光輝のせいでは無いのだが。
于禁.png

さて、演義で劉琮を暗殺した于禁。
曹操軍を代表する名将で、戦いがあれば先鋒、撤退すれば殿というぐらいの猛将であったそうだ。彼を女にしたアニメもあった。
関羽に敗れ、無様に助命を乞い、「犬ころを切っても仕方ない」とまで蔑まれているが、この後どうなったのか調べてみた。こういう極端な格下表現に改変の匂いがするのだ。
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降伏の顛末が演義と同じかどうかはわからないが、史実でもこの降伏は相当評判が悪かったらしい。曹操には「わしが于禁を知ってから30年になる。危機を前にし困難に遭って、(忠義を貫いて死を選んだ)龐徳に及ばなかったとは思いもよらなかった」(wiki)と嘆かれ、呉軍の捕虜となった後に国に送り返され、曹丕にそれなりの役職を与えられたものの、自分が無様に助命嘆願して降伏した時の有様を絵にしたものを見せつけられ、心労のあまり病死したという最後だったらしい。ひどい。。。

【追記】
呉に保護された于禁は、虞翻から散々罵倒されるが、魏に帰国した于禁は虞翻を褒めたため、曹丕は虞翻のための席を用意したという。なぜ于禁が虞翻を褒めたのかよくわからないので調べてみたが、罵倒されて当然の身だと恥じ入っていたのかもしれないという説に納得できる。曹丕が虞翻を気に入ったのは皮肉の上乗せとも感じられてしまうけども。
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